筆者は、マイナーな雑誌の記者を長く勤めた。世の中では記者といえば「事件記者」というイメージなので、雑誌記者は比較的楽な仕事だった。読者が限られているので、その限られた読者に必要な情報に絞って伝えれば良かったからである。不要な情報は伝えない。情報を入手しても不要と判断すればシカトしていれば良かった。
これに対してマスメディアの記者は大変である。どんな視聴者がいるのか分からない。小さな事件でも、伝えるための情報を最大限集める。そして集めた情報は全部伝えないと気が済まないというのが記者の悲しい性(さが)だし、これを受けるデスク(紙面責任者)も多くの情報を求める。競合メディアより1つでも多くの正確な情報を1秒でも早く発信するというのが既存のマスメディアの悲しい性である。
このために、警察などのコメントを取ったり、周囲の一般人のコメントを取って伝えたりする。「すごい音でした」とか「ビックリしました」とか、全く無意味なコメントでも伝える。「原因を調査することにしている」など、当たり前の情報を伝えたりする。締めの決まり文句になっている。パターン化しているのである。
2024年からいろいろな情報を耳で聞く「耳ナビ」の内容を広げているなかで、ニュースをSpotifyで聞くことを加えた。これまでも、動画ニュースではTBSのNewsDIGを使っているが、動画なしで音声だけでニュースを聞きたいというニーズに,通信料の多い動画ニュースは向いていないからである。
このSpotifyでは,読売新聞と朝日新聞の音声ニュースを評価した(耳を塞がないイヤホンが大流行--とはいえ,周囲への配慮は限定的 - jeyseni's diary 2024/10/17)。テキストを音声合成で淡々と読み上げる方式なので,事実だけが伝えられ,無用な一般人コメントやお決まりの締め文句が省かれている。すっきりした情報提供になっている。
このブログもそうだが,文字にまとめると最後に「読み返し推敲」ができる(筆者のこのブログは,タイプしたまま送信するので,たびたび誤植や失言が入ってしまうので,反省しているのだが・・・)。無駄な表現,誤った表現,繰り返しでしつこくなっている表現などを修正し,正しい情報を完結に伝える,という常識を働かせることができる。リアルタイムニュースでは,それができない。
1分1秒を争うという姿勢は,インターネット時代には無理になっている。それを定時のニュースに背負わせるのは酷だし,15分間のニュースの中で伝えるために,余分な言葉を加えたり,時間ピッタリに終わらせるようにアナウンサーを教育したりすることも,もはや無駄に思える。新聞でも,基本的に同じページ内に情報を収めなければならないので,無理に延ばしたり縮めたりする。そういう努力も無駄な感じがする。
筆者のブログも,基本的に1000文字程度に止めたいと思っているのだが,つい話が展開して3000文字を超えてしまうことも多い。付き合っていただき,ありがたく思っている。ただ,最初の1000文字は伝えたいこととその背景,それに続く余分な部分は,エピソードだったり,筆者なりに頭が整理されて追加したいと思った情報である。後半も楽しんでいただけるとありがたい。記者時代も,とにかく一気に書き込んで,それを後から読み直して推敲し,より良い内容にしようとするとともに,デスクや制作部が指定する長さにピタリと収めるための訓練を積み重ねてきた。マニュアルがあるわけではなく,そういう意味では職人技と言ってもいいだろう。ただ,職人では食って行けなくなっていることも事実である。この世界には「資格」も「免許」もないからである。