ここ1年ぐらい,新しいモビリティについて考えている。電動キックボードも,存在そのものを筆者は否定しているが,場合によってはうまく使えそうで,ちょっと魅力もある。
一番関心があるのが,自転車である。筆者は現在,電動アシスト自転車を所持しているが,もう15年も前のモデルで,充電池がかなり弱くなっているのだが,もはや代替品がほぼ手に入らない状態である。普通にまだ乗れるのだが,電源を切ってアシストなしにすると,普通の自転車よりもペダルが重くなり,長距離はちょっと難しくなる。
普通の自転車だと,変速機付きが欲しくなる。しかし,ロードバイクほどスピードが欲しいわけではない。むしろ,タイヤサイズは小さくてもいいかもしれない。そうすると,今度は電車に乗せやすい折り畳みタイプがいいかもしれないと思ったりする。
小さいタイヤだと軽いのかなと思ったりするのだが,逆に構造をしっかりしなければならないのか,15kgほどとかなり重くなる。そこで軽量化のために,アルミパイプや繊維強化樹脂などを使うモデルもあるのだが,重さが8~10kgと軽くなるものの,価格も数十万円と一気に高くなってしまう。
電動キックボードが,車道を走れば時速20km以内でクルマから逃げられず,歩道だと時速6kmとなり,歩行者との衝突の危険もある。
そこで,普通のキックボードを探してみた。折りたためば持ち運びしやすいし,5kg以下と軽めで,いつでも持ち運べそうなのだが,玩具としてしか扱われないため,公道は乗れない。「公道」の定義が意外にあいまいなのだが,一般の歩道での使用は基本的にダメとされているので,駅までの移動ですら使えない。スケートボードも同様に玩具扱いのため,移動手段としては使えない。電動キックボードが歩道走行できるのだから,普通のキックボードも車両扱いに登録できないものかと思ったりする。
「鉄腕ダッシュ」の企画の1つに,旅行用トランクにまたがってゴールまで規定歩数以内に着けるかというものがある。これを公道や公共交通機関の中でやっていいものかどうかは疑問だが,簡易モビリティーとも言える。実際,トランクの形を椅子型にして,子供が座れるようにした製品も売られている。一種の乳母車である。
感覚的には,荷物を運ぶ折り畳み台車が,イメージに近いかもしれない。人間が乗ってもびくともしない。4輪あるので安定している。この台車と,4輪のキャリーバッグを足して2で割ったようなものが,いいかもしれない。
世の中にはモノづくりが好きな人もたくさんいるようで,手作りモビリティーで検索するといろいろ出てくる(組み合わせ自由自在。スティック型電動モビリティを作って遊ぼう! | fabcross)’(自作/改造モビリティが集合——第1回自作モビリティショーに行ってみた | fabcross)。公道が走れるように登録までする人もいる。面白い世界である。
ひょっとしてあと10年もするといわゆるシニアカーのお世話にならないとも限らないのだが,なぜか数十万円と高額な設定になっていること,サスペンションはあるものの,地面の傾斜には対応していないので左右に傾いてしまうこと,そして重さが数十kgと重いため,万一転んだときには自力で起こせないこと,バッテリー切れで戻れなくなる可能性がないとは言い切れないことなど,高い割に満足のいく製品にまで仕上がっていないように思える。正直,ほとんどのシニアカーや電動車いすが町工場で手作りで作られているような代物なので,コストダウンの余地がない。ベンツ並みの位置づけなのである。
正直,現在の日本の歩道を4輪で走行するのは「危険」だと思う。4輪の台車に荷物を載せて運んでいても,傾いて崩れることがある。段差を乗り越えるのも大変である。以前から提案しているが,2輪車(電動キックボードを含む)が安定して走れるように,平らな専用レーンを整備することを進めなければならないと思う。そのレーンをシニアカーが走れるレーンとして使えるようにすれば,安全に移動できる。スペースが必要なので,現在の街路樹を取り除く。これらの提案は,過去に何度か投稿してある。
小型1人乗りEVなどが発表され,注文も増えているようである。いくら資金は集まったとしても,しょせんは町工場である。クオリティの担保はできない。小型モビリティーとして,大手自動車メーカーが本気で開発・製造・販売をしてほしい。
手作りモビリティを作ってみたい,とは書いたものの,残念ながら個人では限界があるし,街中の部品を集めても限度がある。子供の工夫工作のような手作りというわけには行かない。いい企画の製品が手に入る日が来るのか,また世の中の動きを検索して妄想してみるしかないかもしれない。
【追記1】旅行用トランクにキックボードを組み合わせた製品があった(Amazonで「キックスクーター-キックスケーター-キャリーバッグ-キャリーケース-トロリーケース」で検索して出てくる一覧の中のeモンズで紹介されている製品)。筆者のイメージにピッタリのケースである。ただ,評判はすこぶる悪いのが気になる。ムービーを見ている限り,おもしろい発想である)。同じところにマイクロスクータージャパンという製品もある。こちらはキックボードを外して使うことができるようである。さらに高額になるが,海外での評判はまずまずのようである。