準天頂衛星システムのためのみちびき衛星の5号機が,2025/2/2に打ち上げられた。このシステムは,最終的には7機の衛星で構成し,日本の真上に常に3機以上の衛星が存在することで,cm精度のGPSを構成するシステムとして期待されている。
みちびき衛星は 地球の周りを周回するのだが,地球の自転と組み合わせることで,ちょうど日本上空で8の字を描くような軌道となる。実によく設計されている。衛星が日本の真上にあることで,高層ビルの間でも衛星からの信号を捕捉できるため,cm精度の位置確認ができるという。おそらく,高度についても高精度に計測できると思われる。
筆者も,GPSにはお世話になっている。もともとは軍事技術である。誘導ミサイルを正確に目標に命中させるための技術である。民間でその情報を活用できるように,精度を落とした情報が提供された。当初は20m程度の誤差があったが,段階的に精度の高い情報が提供され,現在は数mの精度で位置を確認できる。一般的なカーナビは,地図との画像マッチングと合わせることで,正確な道路トレースができている。みちびきのcm精度のデータなら,地図とのマッチングなしでもナビゲーションができると思われる。
しかし,せっかくのこのcm精度を使えば,定点の位置測定,標高測定を高精度で履歴を取ることができると考える。これを使えば,微小な位置の変化,標高の変化を読み取ることができるので,地盤の変化に対応できると考える。
2025/1/28に起きた埼玉県八潮市の道路陥没事故は,深さ15mという地中にある直径5mという太い下水管の中で現場から100~200mも先でトラックのキャビンが見つかったという思わぬ展開になっている。そうすると,最初にトラックが落ちた時点ですでに トラックの先端が下水管の深さまで達しており,そこに開いた穴にキャビンが落ちて流されたということになる。その後,トラックの荷台を引き上げた時点でキャビンが外れて下水管の内部に落ち,流されたという可能性がある。荷台の引き上げの失敗で周囲の土砂が崩れ,8mの深さまで土砂が埋まり,下水管も埋まってしまった。それでも下水管からの漏水が上に吹き上げ,一方で下水管に土砂が流れ込んで,下水管の中で先に流れたキャビンの後ろに土砂が堆積して穴を塞ぎ,これがさらに下水管の穴からの吹き出しにつながって,穴の中に溜まるような流れになってしまった,と推測する。
この事故を受けて国土国交省は,全国の下水の一斉点検を指示し,その中にはドローンで管内を観察するなどの方法も挙げられている。
しかし,何でも後出しジャンケンである。そもそも,検査もメンテナンスも費用がかかる以外に,危険作業でもある。だれもやりたがらないし,おそらく検査して危険と判断できるような欠陥はほとんど見つからないだろう。そしてその後数年の間にまた同じような事故は起きるだろう。
上水道の漏水検査ですら,深夜の交通量が減ったところで,道路に高性能マイクを当てて人の耳で音を聞き分けて検査する。1晩で通り1本も検査できないだろう。上水道の漏水は,地盤への影響以外に,水の無駄を減らすことでコスト効果がある。しかし,下水道では,検査に費用を掛けても得られるものがなく,放置されてきた。もし今後の調査で下水道管の不具合が発見されたとしても,その対策がどこまで取られるか分からないし,対策自体も危険作業であり,また深い地下まで掘り返すというとんでもない工事になる。修復が行われるとは思えない。
通常の三角測量でのポイント以外に,今回指摘している主要な下水道,そして活断層の活動を発見するために,国内数万箇所にポイントを設置し,その位置データのビックデータを分析して,地殻変動を測定すべきかなと思う。
人工衛星を打ち上げるコストパフォーマンスは高くないと思っているし,世の中には無駄な衛星も多数打ち上げられる。せっかくの日本らしい人工衛星である。有効に活用してほしい。