今季最大の寒気団がようやくいったん退いたが,今週末にかけてまた日本に迫ってきそうである。日本海側を中心に大雪となり,積雪量の記録更新が相次いだ。
この寒気団による降雪についての説明で出てくるのが,「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)」である。略語の部分は,Japan sea Polar air mass Convergence Zoneで,日本海側特有の現象として気象関連の論文で作られた言葉である。一般人には,大雨をもたらす「線状降水帯」と並べて「線状降雪帯」と言った方が分かりやすい。ただ,「線状降雪帯(JPCZ)」という表現は,略語の意味でもないので,混乱を生じやすい。「日本海側特有の線状降雪帯」と言ってくれるとうまくミックスされた感じがする。
これに対して,「線状降水帯」は世界中で起きる現象のようで,英語ではRain band,Precipitation band,Linear Rainfall Zoneなどの言葉が見られる。2番目の熟語は気象専門用語のようであり,一般にはRain bandで「線状・帯」と「降水」の意味を持たせている。逆に「線状」ならLinearを頭につけたいと思ってしまうが,やはり単語に対する感覚に日英で差があるようである。
ほかにも,Training rainfallという言い方もある(台風は恐ろしいが,線状降水帯はもっと怖い--英語のTrain-ing(列車のように繋がった)の方がわかりやすいかも - jeyseni's diary 2022/9/19)。こちらも日本人には別の意味を連想してしまう人が多いだろう。
日本発の英字メディアではlinear rainband(s)という表現が多いのだとか。ならばお得意の短縮形で“LRB”とし,線状降雪帯はこれに合わせて“linear snowband(s)”“LSB”としてもいいような気がする。
かつて,気象庁でも台風の卵を「熱帯性低気圧」と呼んでいたものを,「温帯低気圧」に合わせて「熱帯低気圧」を主に使うようになった経緯がある。日本人に分かりやすいように揃えてもいいように思う。ちなみにsnowbandは正式な英単語として存在する。まあ,JPCZは気象業界の重鎮の開発した言葉なので,業界にいる限りむやみに別の言葉を使うのが仁義に反するということなのかもしれないが,四季折々の気象を持つ日本だからこそ,発信できるスマートな言葉づかいではないかと思うのである。変な和製英語よりはよほどマシだと思う。