ベンチコートが欲しいと思ったことがある。冬場の屋外でじっとしている仕事をしていたときのことである。じっとしているから,足元が冷えてくる。そのときは脚に毛布のようなものを巻いて寒さをしのいでいた。丈の長いベンチコートがあったら,暖かいだろうな,と思ったものである。
ベンチコートは,どうやら和製英語である。日本ではほかにはグランドコートという 呼び方もあるようだが,英語圏ではスペクテーター・コートと呼ぶようである。野外スポーツ観戦のときなどに着用するコートで、別名スタジアム・コートや、ベンチ・ウォーマーなどともよばれる。
スペクテーターとは、スポーツ観戦する人の意味である。サッカー選手は,待ち時間に着るコートはベンチ・ウォーマーと呼ばれている。チームのカラーやマークが入ったサッカー観戦用のコートのことを、サポーター・コートともいうようである。
筆者は持っていないので想像だが,一般に膝下まで一体に覆うので風を防ぐことができ,暖かいだろうなと想像する。ただ,ベンチコートと言うだけに,試合中に着るわけではないので,「控え選手用」といった印象がある。スポーツをする人にとって,活動的な印象がないのである。
また,丈の長いスカートをイメージさせるため,女性用のコートという印象もある。何となく弱そうな印象があるのである。
屋外での仕事が一時的なものだったので,結局は買うことなく終わっている。ただ,今年の冬は寒いので,持っていたら着るかもしれないと思いつつ,ビジネスマンが街中で着るコートではないような気もするのである。
ビジネスマンは,基本はトレンチコートである。それから多少派生したとしても。ダッフルコートまでかなと思う。近年は,ダウンコートが流行りなのだが,やはりビジネスマンには似合わないように思う。ましてや,ベンチコートに至っては,フォーマルからはかけ離れた印象なのだが,今や1/3の男性はベンチコートを愛用しているように見える。
しかし,運動前のウォーミングアップや,運動後の調整時に着用するのならいいが,やはりビジネスシーンには向かないように思えるのである。ビジネスマンは,走れるような印象がある。したがって,軽量なトレンチコートが似合う。ベンチコートでは,動作が鈍い印象なのである。
筆者も,腰まで覆えるダウンコートを持っている。お尻がすっぽり入るので,暖かい。ベンチコートはさらに膝まで覆うので,さらに暖かいだろうなと想像してうらやましくなるのだが,ビジネスでは使えないと考えると利用シーンは限られるようになり,結局は買わないという選択になるのだと思う。
ベンチコートを着て会社に向かうという姿は,筆者の目から見ると仕事という「戦闘モード」に入っていないような印象を受ける。戦士としてのビジネスマンは,普通のコートを着るべきかなと思うのである。これは単なる個人的な感想に過ぎない。
ベンチ・ウォーマーというのは,先発メンバーに入れず,補欠としてベンチで出番を待っている人たちを指す。主役になれる可能性はあるが,おそらくほとんど起用されないで終わるのだと思う。ベンチコートだと,ますます出番がなくなるような気もする。
寒さを防ぐためのベンチコートではなく,むしろウォーミングアップした身体をキープするためのベンチコートになるように,事前準備はベンチコートを着て入念に行い,身体を冷やさないために使うことが大事だと思う。
筆者はもはや屋外での仕事には体力的には適応できないと思うので,よほどのきっかけがない限り,ベンチコートには手を出さないと思う。トレンチコートないしダウンウエアで,活発に動ける姿をアピールした方がいいように思う。膝下まで丈があるので,そのまま走ったり階段を上り下りするには脚に引っかかってしまうように思えるからである。
ベンチコートの別名であるベンチ・ウォーマーには,「補欠」という意味もある。ウォーミングアップをするならともかく,じっとベンチに座っているだけでは,活躍できないのではないだろうか。最大寒気がいったん退いた後,今週末にはまた伸びてくるようである。屋外で一日中仕事をする人以外は,街中を颯爽と歩いてオフィスに向かう,そういった元気な社会であってほしい。