jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

筋トレよりウサギ跳び--相撲力士の弱体化への私論

相撲が本当に面白くなくなっている。強い力士がおらず、ブヨブヨした力士ばかりで、しかも怪我人ばかりである。昔の力士はテーピングなどしなかったし、そもそも怪我をしない取り組みをしていたと思う。

 力士の身体づくりも合理的になり,マシンを使った筋肉トレーニングが普通に取り入れられるようになった。かつてはウサギ跳びなども普通に行われていたと思われるが,一般的には筋肉強化の効果がないどころか,膝関節を傷める逆効果しかないとまで言われるようになり,多くのスポーツではウサギ跳びは過去のものになっている。

 しかし,相撲が他のスポーツと唯一異なるのが,身体,特に股関節の柔軟性が求められていることである。

 普通に180度開脚ができるといえば,体操の選手がほぼ必至であり,フィギュアスケートでも圧倒的に演技の幅が広がる。特にピールマンスピンは圧巻である。一方,相撲の力士も基本的に「股割」という180度開脚は求められる。おそらく,土俵の上で素足で踏ん張るためには足腰の筋肉以外に柔軟性が必要だからと考えられる。

 一般人にとって,9割以上の人が開脚はできない。日常生活で自分の体重以上の力を支える機会はほとんどないし,支えられなければ手を放して支えなくていい。無理に支える必要もなく,支えることで自分の身体が傷つくことを避けるという選択ができる。凍った道で滑ってしまうのは,足の滑りに対して脚の開き具合を変えたとしても,それで自分の身体を支える筋肉が働かないことが原因である。股関節や膝,足首などの柔軟性と,それを支える筋力が必要なのである。

 力士にとって,足首や膝には最も負担が掛かる。しかも相手も100kgを超すような巨体である。一般人でも自分の体重の数倍の力が掛かる関節にとって,その周囲の筋肉を鍛えるとともに,必要以上の力に対して曲がることで力を分散して支えるなどの柔軟性が求められると思う。

 練習にマシンによる筋トレを導入することで,相撲を武道ではなくスポーツや格闘技に摩り替えて応募者を増やそうとしているようにも思える。〇〇部屋にはジムがあるから入門しよう,といった気持ちが見え隠れする。筋トレしている間は相撲の基礎練習をしていないことになり,結局はサボっていることになり,相撲という激しい動きに付いていくだけの身体ができなくて,おかしな転び方やおかしなひねり方をして怪我をしてしまうのではないかと思える。

 結局,がっぷり四つに組んで寄り切る推進力がなくなったために,はたき込みなどの引き技ばかり目立つようになった。特に横綱大関による引き技は見苦しい。やはり相撲の「引き技」は禁じ手にすべき--格上力士が使う手ではない - jeyseni's diary (2024/1/15)と書いたが,そもそも押し技,寄り切り技をできる力士がいなくなったのではないか。

 絶対的に強い力士がいなくなり,しかもすぐに怪我をしてしまうので,テーピングやサポーターが当たり前のようになった。序盤戦からの途中休場が多くなり,結局数場所後には引退してしまう。横綱がいないからといって,ギリギリの戦績で格上げしてしまうので,品格が問われる。本当に土の上で戦ってきたモンゴル出身力士ばかりが上位に進み,国技としての相撲界を席巻する。どうにも違和感を感じてしまう。

 タイトルで「ウサギ跳び」と書いたが,ウサギ跳びは100害はあるものの,たとえばしゃがんだ状態でバランスを取るための指標にはなる。足首や膝の柔軟性の確認,しゃがんだ状態での押し合いなどで,力の使い方を体感するなど,使い方1つだと思う。「ウサギ跳びでグラウンド1周」などというのが間違っているだけである。

 かつて,親方にしごかれて育った力士が引退して親方になり,かつてのような精神論での指導ではなく,スポーツ科学に基づいた合理的な練習を取り入れたことで,スポーツの仲間入りができたが,逆に武道としての心を失ってしまっているのではないだろうか。髷(まげ)を結うのは武士道からの流れではないのだろうか。稽古部屋風景でスマホゲームをしている姿が映ったりするとがっかりするし,かつての横綱が痛いCMに登場するのもやり切れない。

 筆者は,子供のころは大鵬柏戸の時代である。親戚を見送りに行った空港で,たまたま柏戸関を見る機会があった。子供心に,恰好いいな,大きいな,という印象を持ったことを覚えている。「大鵬・長嶋・玉子焼き」と言われた時代であり,相撲は憧れのトップだった時代である。その後,強い横綱が現れては犯罪に手を染めたり,過剰な攻めで注意を受けたりして消えて行った。しかし怪我で引退というパターンはあまりなかったように思う。ここのところ,怪我で引退というパターンが増えた原因をもう一度考えて,ルールをもう一度決め直して,「仕切り直し」で立て直しを図ってほしいと思うのである。