jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

とりあえず「非礼は詫びる」ところからゼレンスキー氏は歩み寄ることを提案--やはりTシャツ姿はまずかったのではないか

トランプ米大統領ウクライナのゼレンスキー大統領の2025年2月28日の会談が決裂してしまった。1月20日にトランプ氏がアメリカ大統領に返り咲いた後,2月18日にアメリカとロシアの間で外相級の会談が行われ,これに対してゼレンスキー氏がウクライナ抜きの会談に異議を唱えた(米露交渉は「ウクライナ抜き・欧州抜き」ではなく,糸口を開く第1歩--下手に騒いだことで泥沼に - jeyseni's diary 2025/2/18)。そして,ウクライナの鉱物資源開発の利権をアメリカが握ることと平和維持に協力するという交渉カードをトランプ氏が提案し,これを受けてゼレンスキー氏がアメリカのホワイトハウスを訪問するという流れになった。世の中は,この交渉カードをゼレンスキー氏が受け取って平和解決の方向に進むと読んでいたが,決裂したことになる。

 2/28の後,ゼレンスキー氏は3/2にイギリスのスターマー首相と会談,フランスのマクロン大統領からも支持を受け,3/3には欧州を中心に15か国の首脳が集まった会議に出席した。ウクライナへの支援強化や安全保障,トランプ氏との関係修復について議論がされたようだ。

 筆者は,先に「下手に騒いだことで泥沼に」と書いたのだが,残念ながらゼレンスキー氏の「政治家」としての資質に問題があると受け止めている。

 人間の間で意見や考え方の違いはあり,おそらく主義主張がまったく異なる自由主義国家と社会主義国家の間で合意が形成されることは永遠にありえないと思う。しかし,それぞれの国,それぞれの国民が生き延びて行くには,「棲み分け」が必要になる。たまに干渉してイザコザが発生することもあるが,それぞれが独自に生き延びる方法を模索することが,生き物の知恵である。人間の場合は,「議論」「交渉」「妥協」で線引きをするという知恵がある。

 そういう意味でウクライナは微妙な位置に立っている。元々はソビエト連邦の一部であり,言語も民族もロシア寄りである。ソ連が崩壊し,ロシア周辺国が独立したのも,ロシア支配から外れて西寄りの自由主義路線に進むという流れだったろう。それでも,社会主義だった東ドイツが西ドイツと一体化したとしても国内での東西の軋轢は残っているし,EU欧州連合)という大枠で国境を実質的になくすという大胆な交渉がまとまったにも関わらず,EU内での不満はくすぶっており,2020年1月31日、イギリスは欧州連合EU)を離脱した。NATOという軍事上の枠組みは欧米がロシアに対抗するために作られたが,ウクライナがその枠組みに入るのかどうか,やはり微妙な状況にある。

 かつてソ連は南下政策を実行してきた。貿易のできる凍らない港が必要だったからである。もちろん貿易だけでなく,軍事的にも戦艦や潜水艦を機能させるために必要だった。せっかく獲得した南側の諸国が独立したために,再びウクライナに対してクリミア半島の併合に続き,ウクライナ南部を併合するために今回の紛争が始まった。陸続きの国同士の厄介な関係である。

 そういう意味からすると,欧米から見るとウクライナEUNATOの枠組みの中に入ることに対して100%歓迎というわけではないのかもしれない。枠組みに入ることで,ロシアとのバランスがまた崩れてしまう危険性があるからである。事実,トランプ氏はNATOからの脱退意向も表明している。ヨーロッパのことはヨーロッパがすればいい,という考えである。それもアメリカ・ファーストであれば一理ある。

 次の交渉の手段は難しくなっているのだが,筆者はまずゼレンスキー氏がいかに戦時体制中だといってもTシャツ姿でホワイトハウスの会談に臨んだことについての非礼をトランプ氏にお詫びすることを提案したい。別にパーティーに招かれたわけではないが,国のトップ同士の会談をするのに,礼儀として正装はすべきではなかっただろうか。ここは「政治」の世界である。形から入ることも必要だったのではないだろうか。

 言いたいことは山ほどあっただろうが,会談の場で深呼吸して平静を取り戻せなかっただろうか。会談の後,ホワイトハウスを出た足でテレビ出演してしまったのもまずい対応だったと思う。残念ながら,政治家としての資質には疑問を感じてしまった。

 その後も,お詫びの意思はないと繰り返し発言しているが,「一転して態度を変え」ても構わないと思うのである。それが政治の世界だと思うのである。

 日本の政党間でも同じような交渉が見られる。過半数割れとなった自民・公明与党が予算を通すために,複数の野党と交渉をする中で,野党第1党の立憲民主党,第3党の国民民主党は絶対に譲らないとしているのに対し,第2党の日本維新の会は自党の政策を一歩進めることで合意を引き出し,予算賛成に回ることになった。100%の主張が通ったわけではなく,予算成立後に検討を続けるという条件で合意したのである。これは妥協ではなく,交渉だと思う。糸口を掴んだということである。もしもその約束を反故にすれば,次の選挙で徹底的に攻撃することができると考えているのだろう。これが政治というものだと感じた場面である。

 馬子にも衣裳で,形から入ることが必要な場面は世の中にはたくさんある。約束の時間に遅れない,忘れ物をしない,ときには手土産も必要である。交渉に臨む際に,冷静にカードを何枚も用意する必要があったのではないか。ゼレンスキー氏の場合,切るカードを持ち合わせていなかった。鉱山の採掘権という交渉カードは,トランプ氏が大統領になって初めて聞いたことで,「そういうカードがあったのか」と感心したものである。さすがにビジネスマンだなと思った。カードをうまく使えなかったゼレンスキー氏には,残念な思いがある。

 ここで交渉を絶ってしまうと,逆にアメリカとヨーロッパの関係も怪しくなる。米・露・中という大国連合ができてしまうかもしれない。相互関税という考え方では,資源のある国が得をする。中東諸国が石油というカードで世界を支配していたが,アメリカがシェールオイル,中国が石炭,ロシアが天然ガスでそれぞれ流通をシャットアウトしてしまうことができてしまう。それぞれの国の中に巨大なマーケットもあるので,鎖国状態になっても困らないからである。

 小国が大国の言いなりになることは望ましくない。日本も相変わらず,アメリカの傘の下にあり,言いたいことが言えないというもどかしさもある。せっかく経済大国になれたのに,それを奪われてしまうとは情けない。海洋や水という資源,そこから生み出せる水素というエネルギー資源,そしてコメという食糧資源をもう一度見直し,他国に頼らない国家を再構築する必要があるのではないか。そうした「礼」「文化」のある国としてのお手本を示すべきではないだろうか。ゼレンスキー氏を日本に呼んで,「礼」について知ってもらう機会を設けることも提案したい。お茶会で心を静めてもらいたい。