jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

相互関税は貿易には支障だが,国の独自性を育てられるいい機会でもある--日本らしさをもう一度考えてみてはどうだろうか

 アメリカのトランプ大統領による相互関税の発動で,世界中のモノの動きが変わる気配を見せている。

 アメリカは,国内で何でも製造することを目指している。石油すらシェールオイルを自国で開発・採掘して需要を賄う戦略だし,クルマでは完成車から部品,材料の鉄,そしてEVの蓄電池まで,国内で生産するのが目的である。海外企業が部品や材料を供給したいのなら,アメリカ国内にまだいくらでも残っている土地に進出してアメリカの中で生産して供給しろ,と提案する。アメリカへの投資と雇用の創出が狙いである。アメリカ・ファーストの自国中心主義のための措置の一環である。

 かつて,アメリカではクルマと言えば大型のアメ車だった。そこに日本から低価格で小ぶり,低燃費,低排出ガスのクルマがどんどん流入し,アメリカのクルマメーカーが疲弊した。そこで部品はアメリカ国内からしか買わないとして,アメリカへの工場建設を誘致した。今度は,その部品に使われる鉄鋼板も国内生産に切り替えるために,USスチールの日本製鉄による買収にストップをかけた。

 今や,アメリカの自動車メーカーでも燃費のいい小型車は作れるようになった。それどころか,EVではテスラ社が独占的に開発を進め,世界一のEVメーカーになった。

 しかし,ハイブリッド車では日本,EVでは中国が急成長した。海外からアメリカへのクルマの流入を止めて国内自動車メーカーを保護するために,関税を課す,そして同じ措置を相手国にも課す,それほど不思議でもないように思える。

 アメリカという市場を失うことは,日本や中国にとってどれだけの痛手になるのかを考えると,中国は国内に巨大な市場があり,影響はないが,日本は国内市場が縮小する中で痛手は大きい。さらに,アメリカから部品や素材を輸入している関係上,関税は痛いところである。

 かつて日本は,「原料を輸入し,それを加工して付加価値を付けて輸出する」というビジネスモデルで経済成長した。国内に市場がないための作戦だった。その後,日本では高性能な鉄板(高張力鋼板)を開発し,世界に輸出してきた。半導体も製造した。しかし,鋼板は韓国でも中国でも製造されるようになり輸出が減った。日本の自動車産業を維持するなら,アメリカに工場進出するしかない,という形である。

 それでも,アメリカ・ファーストではあるもののアメリカが鎖国したわけではない。現地生産という手段が提案されているからである。むしろ,非関税障壁も含めた日本の政策そのものが,ガラパゴスと批判されても仕方がない。ならば,日本独自を貫いて関税ぐらいいくらでも掛けて構わないといった独自性を育てた方が恰好がいいとも言える。

 いずれ食糧においてもこの相互関税が発動されるだろう。日本がアメリカのお米に対して高い関税を掛けて国内の農家を保護していることは明らかである。それでお米の流通量がおかしくなり,価格が高騰し,備蓄米の放出というおかしな手段を使ったが価格は元に戻らず,さらに輸出用のお米の生産量を10倍増になるように国内生産量を増やし,余裕を持たせるという方針を出した。しかし,農家が激減している現状でこれに対応できる余裕はなく,さらに政府買い取り価格が安く抑えられていることで農家の増産意欲を削いでいる。

 他の食料品も,海外から安い素材をどんどん輸入して消費するというバブル時代の生活からそろそろ抜け出して,日本の規模に見合った消費スタイルを提案する時期になっているにも関わらず,相変わらず「食べ物で遊ぶ」業界の悪習が抜けない。

 世界中には,食べ物もエネルギーも十分に得られない国がまだまだ数多くある。平和を自任する国なら,困っている各国が自立できるような技術ノウハウを移管して助けることが使命であり,軍事転用可能なロケットやロボット,AIなどにうつつを抜かしていてはならないと思う。ガラパゴスでもいいではないかと思う。そのうち,「ニホン」がガラパゴスと同じように使われる時代がくるかもしれない。その独自性が重要かなとも思うのである。