トランプ大統領が,各国に対して相互関税を掛けるという政策を打ち出し,自動車については日本も例外なく25%の関税を2025/4/2に発効,4/3から実施すると3/27に発表された。
これを受けて,3/28の日本の株価は一時,下げ幅900円を超え,3万7000円を割り込んだ。最終的には前日比679円64銭安の3万7120円33銭で取引を終了した。
自動車の輸出に対して,これまでの2.5%の関税を10倍の25%にすることで,アメリカ国内への輸出車の価格が高くなり,アメリカでの競争力が低下し,売り上げが減って自動車産業の売上や利益が上げにくくなり,業績が悪化する,という理由で,クルマ関連株を手放す(売り飛ばす)というのが,投資家の心理である。
要するに,投資というのはマネーゲームである。クルマ関連産業や,モノづくり輸出産業など,日本の経済を支えてきた企業だから株を買う,というのではなく,業績が上がって株価が上がるから株を買う,株価が上がったところで売り抜けて利益を取る,というだけのバクチを打っているだけである。クルマ産業に対する愛情も応援の気持ちもまったくない。
「それでも株主なのか」と言いたい。買った株が,企業の努力で株価が上がり,投資家も利益を得られたのに,やむない事情で業績の悪化が懸念されるという理由だけで,その企業を見捨てるのか。
もし,その企業を本気で応援したいのなら,こういう場面では株を保持し,あるいは買い増して,その企業を支えるのが,正しいやり方なのではないのか。
フジテレビジョンのように,もはやその企業に対する愛情も支援する気持ちもなくなったのなら,株を手放してもいい。その企業が今後どうなろうと知ったことではないからである。それを逆に,株価が下がったから責任を取れとばかりに訴訟を起こすバカ者も出てきた。それこそ,推しの女性に裏切られたからといって刺し殺してしまった事件と何ら変わりはないような低レベルな発想に思えるのである。
その企業への投資価値を正しく見極める必要があるのが銀行である。事業計画を分析し,将来性を判断して融資し,利益を出して,その一部を預金者に利子として還元する。読みが外れれば,焦げつきとなり,大損となる。しかし,その企業が存続できるようなアイディアを出したり,経営に参画したりして,サポートする。それが正しい投資だと思う。
逆に証券会社は,マネーゲームで一般人を顧客に誘い込み,取り引きの手数料で利益を上げる。顧客が得しようが損しようが関係ない。取り引きの回数が多ければ多いほど手数料が多く取れるから,売買を頻繁に行わせるようにする。証券会社自身は投資するわけではないので,リスクがない。
日本経済が低迷したのは,国民が消費を抑え,貯蓄で守りに入ったために,お金が市場に流通しなくなったからだとされており,そこでどうせ貯蓄しても利回りがないことを口実に,NISAという非課税枠を拡大して,国民に投資を煽る,というのが現在の状況である。そして,日本株は長い目で見れば必ず上がるから,目先の株価の上下に目を奪われずにじっと我慢して持ち続けなさい,と指導する。ならば,市場で株を売り買いして簡単に手放してしまう投資家は,日本経済を壊しているとも言える。
株の売買で利益を得るマネーゲームは,いい加減に「違法」とすべきなのではないか,というのが筆者の私見である。そんな投資についての教育を子供のころから教え込んで,マネーゲームでおカネを稼ぐのが一番,と思い込んでしまう国民が増えてしまえば,それはもう国家の滅亡を意味すると筆者は考える。いやすでに,モノづくりや物流,そして警察,消防,医療,介護,自衛などの肉体的業務に対する評価価値の低下により,優秀な人材が実務につかず,ヘラヘラと世渡りする人間ばかりが世の中にあふれてしまっている。正直者はバカを見る。もはや後戻りはできないのかもしれない。