jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「相互関税」と「消費税」の似た部分--一律に税金を掛けると弱者が困るという話

アメリカファースト策としてのトランプ大統領の相互関税が発効(2025/4/3)して数日が経つ。世界中が大混乱に陥りつつある。

 筆者はこの相互関税発効はトランプ氏の得意の「ディール(取り引き)」だと思っていた。相手国に対して条件を叩きつけることで譲歩を引き出し,ほどほどのところに収める,というディールである。

 ガザ地区紛争でも,ウクライナ紛争でも,強烈なディールを発動し,確かに「停戦」という建前を双方が認識できた。実際はその後の交渉が難航し,戦闘が再開されたり,部分的に進められたりしている。

 この紛争交渉の真っただ中に,相互関税を発動したために,紛争解決のためのディールがウヤムヤになってしまいつつある。

 たしかに,2025年1月末のロシアのプーチン大統領との交渉の後,ウクライナのゼレンスキー大統領との間でも話し合いが持たれ,原子力施設への攻撃中止,空爆の中止など,終戦に向けて一歩ずつ成果が出ていたように思えていた。ディールの力はすごいなと思っていた。相互関税問題で,この紛争解決のディールが無力になる可能性があるのが残念である。

 相互関税の主旨が,アメリカがこれまで搾取され続けてきたのを解消する,という意味では,それなりに筋が通っている。国の産業を発展させるために,輸入するものに関税を掛け,国内の同じ産業を保護する,というのは,弱小国が採ってきた政策である。急速に経済力をつけてきた中国に対抗して,アメリカの国力を増強するために,関税政策を採るという判断である。いわば,輸入を減らして,国内産業を育てる,というアメリカファーストに沿った政策である。

 完全に貿易を絶ってしまえば,かつての日本の鎖国状態となり,必要なモノを国内で作って供給する自給自足であれば,平和な面もある。しかし,アメリカも日本も,かつてのような一次産業(農業,水産業)や二次産業(工業,モノづくり)を国内で回すことができるだろうか。一度,金融やエンタメといったバーチャルな世界を味わった民族が,ブルーカラー系の仕事に回帰できるだろうか,と考えると,一律で関税を掛けるという政策そのものには無理がある。これをディールとして提示し,その後の譲歩を狙っていると,筆者はいちおう楽観的には捉えたい。

 今回の相互関税は,すべての国を対象に一律で10%の関税を掛け,貿易赤字額の大きい国に対しては追加関税を掛けるという方法になった。各国からのアメリカへの輸出に対してすべて価格に10%が上乗せになり,販売競争力が落ちる。弱小国にとっては輸出できないケースも出てくる。

 一方,大量にアメリカに輸出をしているモノとして,日本からはクルマと和食系素材や和牛などの一部の食料品がある。クルマは,アメリカ国内での現地生産が要求されており,投資はかさむものの実現は可能だろう。アメリカのクルマ企業も,ニーズのある小型車を生産するという新しい投資をして活性化ができる。しかし,和食などの食料品は,アメリカでの生産ができない。これは日本食を求めるアメリカ国民にとっては負担となる。

 同じように,中国からはさまざまな電化製品やおもちゃ,工業用品がアメリカに輸出されている。クルマもEVやPHEVがアメリカ市場に投入され,テスラを追い上げた。中国はアメリカ国内での生産はしないので,高い関税が輸出の壁となり,テスラの養護になる。しかし,電化製品やさまざまな工業製品は,アメリカではいったん絶滅してしまっており,これらを国内生産で賄えるようになるには時間がかかる。そこで物価が上がり,アメリカ国民にしわ寄せが来て,景気が悪くなる,と考えられている。

 おそらく,日本に対しても中国に対しても,国単位の一律課税で脅しを掛けた後,アメリカが必要とする日本食材や日用品,電化製品などについては例外措置を取ることになると思う。そのタイミングを計っているところだと考える。

 一律課税で庶民に負担が掛かっているのが「消費税」である。食費比率の高い低所得者層にとって,消費税は負担が大きい。食料品の課税が8%に抑えられることで,若干の負担軽減になっている。相互関税についても,同じような政策が採られることになると期待している。