日本郵政(JP)が,運転手への点呼やアルコールチェックなどの運行管理をほとんどしていなかったことで,国土交通省は同社の「自動車貨物運送の事業許可取り消し」を決定した。全国で2500台が運用されていたトラックとワンボックスカーの運用がJPではできなくなる。これに引き続いて,運行管理が義務付けられていない軽ボックスカーの運用についても調査指導が入ることになる。
ただでさえ,物流業界は人材不足で,仮にJPのゆうぱっくなどの小包配送業務ができなくなった場合,他の物流業者が代替受託することは能力的に無理だと思われる。たとえばヤマト運輸と佐川急便に半分ずつ委託したとして,両社の取扱量が50%増しになったとして,それを吸収することは難しい。
もう1つ考えられる方法としては,JPの小物荷物を受け付けているローソンが業務範囲を広げる可能性だが,おそらくコスパが悪い仕事だと思われ,引き受けるメリットがないと判断する可能性が高い。
そうすると,JP自身が手持ちのトラックやワンボックスカー,運転要員を切り離して,委託できる体制を作るしかない。別会社を立ち上げ,JPの運転担当職員を解雇し,新会社が全面採用する。業務の認定,車両の認定は国交省がまた独自基準で行う必要があり,これにどれほどの時間が掛けられるのかわからないが,1日も早く実施しないと国内の物流に大混乱が起きる。
とりあえず,処分を30日延期して,その間に法手続きと社員教育を進めて運用開始,とするしかないかなと思われる。
トランプ政権が独断で関税率を変更し,直後にその適用を90日延期する,といった判断をしたのには驚いたが,これも一種の交渉術だと思った。日本でも今回のような緊急事態では,こうした超法規的な対応が取られて,国民が犠牲になることを極力なくすような対応をしてほしい。「規定の点数を超えたから許可取り消し」といった杓子定規な法解釈だけでなく,「アメとムチ」があってもいいかなと思うのである。