筆者はandroidスマホ一択でこれまで過ごしてきた。AppleのiPhoneが独走する中で,日本,韓国,中国の各スマホメーカーが技術にしのぎを削って立ち向かっている努力を買っている。
PCの開発でも,AppleのMacintoshは基本ソフトであるOS技術もボディの加工技術も,Windows陣営から1歩先を進んできた。WindowsがMacをマネしていると言われても仕方のない状態である。Appleの「開発コンセプト」が先進的だからであろう。
現在,スマホは「折り畳み型」と「薄型化」が開発の中心になってきている。折り畳み型では,中国メーカーが先陣を切り,これに韓国のSamsungが大攻勢を掛けて製品化を進めている。もともとフレキシブルなディスプレイである有機ELパネルはスマホ用ではSamsungの独壇場であり,中国メーカーに先を譲るわけには行かないという理由もあるだろう。
これに対してAppleは,MagSafeというスマホ背面を使った無線充電を他社に先駆けて採用した。直径約6cmのドーナツ型の電極を本体背面に埋め込み,外部電極との間で電磁誘導の原理で非接触で給電する。その電極位置の固定のために,本体が支えらえるほど強力な磁石を利用する。従来のQi(チー)規格の非接触給電では電極位置がずれて充電がうまくいかないことがあったが,磁石で電極の位置を固定することで,高速大電流充電ができるようになっている。
電磁誘導を利用するため,iPhone8以降,本体背面はガラスになっている。これは,まだ他社がマネできない仕様である。ディスプレイ側も従来は液晶パネルでガラス製だったが,iPhone12Pro以降は有機ELが採用された。現在のiPhoneの有機ELパネルの基材はガラスだが,次に登場が期待されている折り畳み型ではフィルム製の有機ELパネルが採用されるだろう。それまでは,現在のiphoneは表も裏もガラス板という形になっている。
ほとんどのユーザーは,液晶ディスプレイが割れないように保護フィルムを貼る。従来は樹脂フィルムが主流だったが,タッチの感触が近いガラスフィルムが最近は主流になっている。さらにiPhoneでは背面のガラスの保護のためのフィルムも販売されている。
強度から言えば,iPhone8以前に使っていたアルミをボディーに使うのが理にかなっている。強度を保ったまま薄型化,軽量化することもできる。Samsungが2025年7月に発表した折り畳み型スマホ「Galaxy Z Fold7」は折り畳み時に厚さ8.9mm,広げた時は4.2mmを実現した。これに対して,2026年登場予定のiPhone17では,薄さ5.65mmのモデルが予測されている。ガラスボディーでの限界への挑戦のように見える。
薄型化に伴って,搭載できるバッテリーの容量も減る傾向にある。この辺りのバランスを今後どうするのか,両社およびこれに追随しようとする中国メーカーの動きが気になる。
「薄型でフィルム製ディスプレイ搭載」といえば,筆者が思い出すのは「フィルム電卓」である。かつて日本で電卓の薄型化競争があり,最終的にカシオ計算機がボディからキーボード,液晶ディスプレイまですべてロールフィルムを重ねて連続生産したフィルム電卓を製品化した。その厚さは0.9mmと1mmを切っていた。こうした設計・生産技術は,日本が世界をリードしていたのである。現在の日本で,対抗できるスマホを開発できるメーカーはなくなってしまった。
スマホの次のIT機器とされるARメガネにしても,日本には要素技術すら作れるメーカーがなくなり,まして製品としてまとめる力は皆無に近くなった。後追いすらできなくなった日本が情けない。