2025年段階,「結婚」はどういう意味を持っているのだろうか,と考える機会があった。
その前に,筆者が結婚したことを考えてみると,それは子供として「家」を継いだという気持ちがあったと思う。墓を守るという意識があった。好きな人との恋愛結婚がベストと考えていたが,お見合いもしたし,紹介所に登録して紹介を受けて出会ったりもした。自分なりに「家」のイメージを持っていたので,条件をお互いに擦り合わせるのが大変で,なかなか決めることができなかった。条件が整って,人物としても一緒にやっていけると判断した人と結婚をし,30年を過ぎることができている。
いろいろと考え,周囲の意見も調整し,納得づくで結婚し,長く続いているし,子供も国民再生産に必要な3人を設け,自分で言うのも何だが立派に成長して巣立って行った。いい父親であり,いい母親であったと思う。もちろん,恋愛結婚ではないにしても,夫婦としてのお互いの愛情もあったと思う。古いタイプの結婚という意味では,理想の結婚であったと言える。ただし,ベタベタの恋愛の末の結婚ではないところで,何らかの冷めた見方をしている部分は否定しない。
さて,現代言われている「理想の結婚」とは,何を意味しているのだろうか。筆者の時代と違って,現在はデジタル的な手段で交流する方法が一般的に使われるようになっている。マッチングアプリによる出会いから結婚に至る人も多い。どちらかといえば,趣味や好みなど,男女二人がうまく暮らして行ける出会いを提供することが,理想の結婚なのだろうか。もちろん,家庭を持って,子供を作り育てて,素敵な家族を作ることが理想の結婚だと思う。
しかし,それには子供が巣立つまで少なくとも30年,何があっても家族を壊さないという覚悟が必要だと思う。お見合いだろうと恋愛だろうとマッチングアプリだろうと,出会いの方法と家族の安定性との間に相関関係はない。しかし,恋愛の場合,2人で盛り上がった感情が,結婚の後の長い期間の間に覚める確率も高いと考えられる。2人だけでなく,それぞれの両親などの親戚付き合い,共働きが当たり前となった中での夫婦の役割分担,そして育児,教育,そして預け保育など子供を巡る考え方など,恋愛時代には考えることもなかった話題についての考え方の相違など,一時の恋愛感情の延長では解決できない課題が山のように襲ってくる。2人が一緒になるという意味での結婚と,家族を支えるという意味での結婚ではまったく意味が違ってくる。
そういう意味では,性格や趣味だけでなく,将来の家族づくりについての考え方まで含めてマッチングを行う紹介所やマッチングアプリが,「理想の結婚」を標榜するのは当たっているかもしれない。
筆者は古い人間なので,夫が生活費を稼ぎ,妻が家庭を支え,子供の育児から教育まで方針を持ち,それを夫がサポートする,という形が理想と考えていた。これを実現するには,共働きでなくても必要な生活費が数十年単位で安定して稼げる仕事を得ることが重要だと考える。ところが,経済成長が停滞し,企業が正規雇用の枠を狭め,非正規雇用やアルバイトなどでつなぎ,あるいはせっかく入社できた会社でも数年,あるいは数ヶ月で転職してしまうような状況では,結婚後のシナリオを描くことは難しい。いくら将来に向けての考え方が一致していたとしても,それを支える安定した収入が得られない世の中では,結婚生活を数十年にわたって継続するのは並大抵ではないと思うのである。
残念ながら現在の政策では,子供をサポートするいくつかの取り組みが進められているが,だからといって結婚生活を継続するのに十分ではない。本末転倒しているのである。