2025/8/17,アラスカのアンカレッジでアメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が対面で会談し,ウクライナ情勢についての解決の糸口を探った。今回の会談では結論は出なかったが,ロシアが提案しているウクライナの一部割譲に対してアメリカが理解を示した形となった。もちろん,この条件をウクライナは受け入れる様子はない。
西側諸国がロシアに対する経済制裁を掛けて兵糧攻めにすることが1つ考えられるが,ロシアと国境を接する中国やインド,そして北朝鮮と多くの物資がロシアと取り引きされており,西側諸国がいくら制裁をしても効力がない。
さらに,日本はロシアから天然ガスを輸入している。ほかにも鉱物資源や食糧資源などを頼っている部分もある。他の西側諸国でも多かれ少なかれロシアとの取り引きがある。これを完全に遮断できないところに,発言の弱さが出てしまう。
かつては,中東からの石油輸入のシバリからオイルショックが引き起こされた。近年では,世界的な天候不順による小麦の収穫減から,パンをはじめとした小麦製品の大幅な値上げを招いた。民間レベルだけでなく,国と国との間での取り決めでもモノが行き来する現在である。
紛争による物流の切断,天候によって左右される食糧の収穫量など,約束した数字を達成できない不測の事態が起きる。そうした問題を回避できるような世界共通のストックがあれば,人道的な措置として不幸を最小限に抑えられるのではないかと思うのだが,なかなかそのバイアスを設けるのは難しいのかもしれない。
世界の富豪や財閥と呼ばれる人たちが,ここは一肌脱いでほしいところなのだが,彼らは結局は善意ではなく将来のリターンを狙った投資でしか動かないから,難しいところである。
日本は,オイルショックで石油依存の酷い目に遭って原子力発電を推進したが,相次ぐ事故で推進できなくなった。再生可能エネルギーの代表である太陽電池パネルも,性能重視,品質重視がたたって数で中国に完敗した。最先端の核融合すら,米中が成果を出しつつあるのに,日本ではいまだに研究室レベルにとどまっている。
太陽電池は中国に任せ,その出力である電気エネルギーを使って水素エネルギーサイクルを動かすというシナリオを唯一動かせるのが日本なのだが,まったくと言っていいほど,政治力が発揮されていない。「手取りを増やす」根本的な政策が無駄をなくすだけという無策だからである。
天候不順,大雨,猛暑,干ばつなど,食糧自給もまったく目処が立たない。早急に植物工場による安定生産に切り替えなければ,コメの増産指令を出しても,増産どころか不良で減収になりかねない。
さまざまな雇用を生むという意味でも,水素エネルギーと植物工場への取り組みに大きく舵を切る必要があるという筆者の声は,まったく届かない。
ウクライナは,豊かな資源と豊かな穀物生産で世界に貢献している。ロシアとの取り引きは基本的にはなく,今回の紛争は仕掛けられたケンカなので引き下がる必要はないのだが,国民の安全のための譲歩はこの際受け入れて平和を得た方がいいのではないだろうか。領土問題は,日本も複雑なものを抱えている。しかし,いったん負けを認めたうえで,アメリカやヨーロッパの各国の支援を受けて再び交渉を仕掛けるという選択をしてはどうだろうか。筆者はウクライナ紛争が始まった初期に,この線引きについて言及している(「ロシア」という国名を捨てる覚悟が必要なロシア国民 - jeyseni's diary 2022/4/9)。この中で「親ロシア派地域からウクライナ人を救出した後,その地の線引きの交渉をする」ことを提案している。ただしこのときは「国連」が主導する案を出したのだが,もはや国連はほとんど機能していない現実では,アメリカ提案を受け入れるという道を選ぶことを提案したい。