jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

運転者,操縦者とアルコール--ストレスの克服と業務の責任をどうバランスを取るか

JAL飲酒機長、アルコール検査記録を改ざん…飲酒リスク高い「要注意者リスト」に名前 : 読売新聞 (2025/9/4)。国際線に強みを持っていた日本航空では,海外の空港での便待ち滞在中の飲酒が頻繁に行われていた。飲酒して酔った状態での乗務もあったが,寝過ごして遅刻し,便の出発が遅れるなどの問題も起こしてきた。

 一方で,日本郵便は乗務前後のアルコールチェックをせず,運送業法で定められた点呼も怠っていたことで,車両の使用停止命令が出た。大型トラックとワンボックスカーの使用停止に続き,オートバイでの運用も禁止,そして最後まで残った軽バンについても2025年10月から順次使用停止が予定されている。

 筆者もクルマの免許を持っているし,自家用車も運転する。お酒も好きである。しかし,クルマの運転をするときにはもちろん飲酒はしないし,飲酒は夜間に限っているので,翌日運転をする場合はアルコールは抜けていると思っている。当然,夜間に家族の送り迎えなど急な用事が生じたとしても,飲酒後に運転することは絶対にしない。たとえ一口飲んでしまっただけでも,運転はありえない。

 一方,仕事でクルマを運転したり,航空機を操縦したりするドライバー,パイロットの場合,仕事は朝から始まるから,前日に飲酒すれば普通ならアルコールは抜けると考えるのが普通である。しかし,お酒の量や種類,飲み始めた時刻,飲み終えた時刻によって,翌日の体内アルコール残量が必ずしもゼロになっているとは限らない。

 クルマのドライバーはほぼ毎日が稼働日だが,仕事のスタート時刻が同じとは限らない。したがって,仕事スタート時の体内アルコール残量は確定できない。仮に毎日アルコールチェックしたとしても,アルコール量ゼロないし規定値以下ということはない。しかし,シフトはすでに決まっている。アルコールチェックで規定値を超えていたとしても,いまさらドライバーを即刻変更すれば業務に支障が出る。アルコールチェックの結果の改ざんが行われてきたのも理解できないわけではない。

 もちろん,ドライバー自身は,自分の仕事のスタート時刻から逆算して,飲酒をするかしないか,あるいは量や時間をコントロールするのが業務の責任の1つであるはずである。しかし,日常の運転業務から解放された自分の自由時間まで,気にしながら飲食しなければならないとすると,仕事のストレスをいつ発散できるというのだろうか。

 国際線のパイロットともなれば,社会から見ればエリートである。世の中で最も高給取りの職業である。責任感を持って業務に当たっていると世の中では考えられている。本人もそのつもりで仕事をしているはずだが,時にはその責任感によるストレスも抱えるだろう。仕事中はともかく,フライトを終えた後の自由時間に飲酒をすることを止めることはできない。しかしそこにも,次のフライトスケジュールから逆算して時間,量をコントロールする理性が求められるはずである。

 ほかにも,業務スケジュールが決まっているのが電車の運転士である。時刻表どおりの運行をしなければならないという責任を持たされている。また荷物の運送を請け負う運送業のドライバーも,決められた時刻に納品しなければならないというプレッシャーを持たされている。いずれも,乗客の乗り降りや交通渋滞などの不可抗力を言い訳にできないというストレスがある。

 逆に,家庭への荷物の配送ドライバーやタクシードライバーは,ある程度自分の体調に応じた調整は可能ともいえる。出勤時にアルコールチェックして規定量を超えていてもスタート時刻を遅らせるなどの調整で対応している可能性も否定できない。

 いずれの場合も,「運転者」は自分の仕事のスケジュールから逆算して自己コントロールすることが求められる。しかし,超高級取りの航空機パイロットを除けば,「運転者」は社会の中ではエッセンシャルワーカーである。無くなれば社会が機能しなくなるが,社会的に尊敬される仕事ではない。収入も基本的には歩合制であり,不安定な場合が多い。それだけに,給与が保証されていて収入が安定している航空機パイロットや鉄道運転士,郵便局の配達員が,「サラリーマン意識」で業務に臨み,またそれを管理する部署も「サラリーマン意識」で適当に仕事をしている実態は,許せるものではない。特に,高級取りの航空機パイロットには,あきれてモノも言えない。

 今回,日本郵便に対しては車両の運行免許の取り消しという厳しい処分が出された。しかし,日本航空に対して航空機の運航免許取り消しという処分はされず,パイロットの減給処分程度で済まされてしまっているのは,おかしな気がする。ここにも政治的なニオイがする。むしろ,一般乗客の生命を守るというより責任の重い業務での過失について,より重い処分をすべきなのではないだろうかという気がするのである。

 もちろん,ただ荷物を運ぶだけの日本郵便の業務体質を肯定できるものではない。運送業者として,民間業者とは違うという意識がどこかにあった甘えから生じていることは間違いない。これは国鉄(JR),電電公社(NTT),専売公社(JT),そして電源開発(J-Power)などのかつての国有企業,特殊法人にありがちなことである。

 筆者も近頃,何だか1日の仕事が終わると疲れてしまって,晩酌にお酒を飲むことが多くなった。かつてはビール350ml缶1本と麦焼酎お湯割り1杯ぐらいで止まっていたのだが,昨今は焼酎が3杯ぐらいまで増える日が出ている。フルタイムで勤務しているので,出勤時間は決まっているのだが,前日の飲み終わりと就寝の時刻はバラついている。果たして朝の業務開始時刻にアルコールが抜けているのかどうか,ちょっと気になりだした。そこで,市販されているアルコールチェッカーを購入することにした。

 ここで何を言いたいかというと,運転者,操縦者なら,自腹でもアルコールチェッカーを購入し,自分のアルコール傾向のチェックをすべきではないか,と思ったことである。正直,組織から業務命令でアルコールチェックされるのは,気分のいいものではない。個人のプライベートに立ち入っているからである。ならば,運転者,操縦者としての誇りがあるのなら,自分で自分の体内アルコール残量を確認して,ハンドルを握るかどうかを自分でまず判断すべきだと思ったのである。もちろん,出勤してのアルコールチェックは自信を持って臨めばいい。それぐらいの気概がほしい。

 特に,高給取りの航空機パイロットは,それぐらいの理性の持ち主であってほしい。翌日のフライトが早ければ禁酒するぐらいの節操があっていいのではないか。

 アルコールには依存性がある。飲みたいという欲望はなかなか抑えきれないことは理解できる。しかしそれを理性で抑えるのが社会人の使命ではないのだろうか。同じように性欲望も,理性で抑えられなければ社会人としての資格はない。まして,社会の秩序を維持することを仕事としている警察官や教員,自衛官などの性犯罪は容認できない。もちろん,高学歴であるはずの医師,弁護士,裁判官などの性犯罪は,さらに厳罰が加えられる必要があると考える。

 一方で,「運転者」「公務員」のエッセンシャルワーカーとしての社会的な位置づけの低さにも問題がある。エッセンシャルワークを1段下に見下ろす横柄で横暴な人が増えている。エッセンシャルワークなので,きちんと業務されていることが当たり前,ミスは許されない,というのは正しい。だからといって,見下したような言い方をしていいものだろうか。逆に普段の仕事の中で感謝の言葉をかけるぐらいのコミュニケーション力が求められるのではないだろうか。その感謝の言葉は励みとなる一方で,責めの言葉は罵倒になる。ここのバランスが崩れると,日本という社会は成り立たなくなるほど微妙な問題であることを認識すべきである。

 エッセンシャルワークだから,管理する側も「働き手の代わりはいくらでもいる」という認識があり,しかも薄給で,公務員以外は身分保障もない。年配者や学生,女性のアルバイト,派遣社員契約社員との期限付き契約などで人件費を減らすような運用ばかりしているから,組織としての結束力がなくなり,競争力がなくなる。さらに人件費を下げるために,海外のワーカーを使うなど,かつての不況のどん底だったアメリカの政策を彷彿とさせる。

 さて,クルマをすべて取り上げられた日本郵便は,今後はどうするのだろうか。残るのは民間業者が使用している自転車やカートによる人力配送しかないのだろうか。

 すでに,ポスト収集などの一部の業務を多くの民間会社に委託しての経営実態がある。一般家庭への郵便物配達業務も,学生アルバイトを使うケースもある。

 信書である手紙の集配,個人情報である住所やフルネームの書かれた荷物の集配など,生命以上に重要かもしれない情報を取り扱う業務なのに,その人材運用があまりのもズサンな感じがする。

 残念ながら,こういう現状になった原因の1つが,大手宅配業の業界参入と価格破壊,そしてAmazonという独占企業による価格破壊であると考える。筆者も同社の恩恵は受けているものの,配送のズサンさに結果が表れていると感じている(Amazonの置き配に配慮がない--荷物が雨に濡れてもお構いなし - jeyseni's diary 2025/3/3)。いっそ,同社の配送業務を請け負わないという英断を業界全体ですべき時期なのかもしれない。そうすれば,運送業界の経営環境,労働環境も改善するという希望もある。でないと,いずれAmazonが外国人配送員だけで構成する運送会社を作って,一層低コストでの運用を始めないとも限らない。そうなったら大手宅配業はすべて仕事がなくなってしまうだろう。これはディール(交渉)で解決すべきテーマのように思う。