かつて,最初のハイブリッドカーが登場したとき,モーター駆動によって走行音が聞こえないのは危険だ,として,発進時に何らかの疑似音を出す工夫が求められた。スピーカーを使って音を出したり,タイヤの回転によって物理的にコンコンといった音を出すアイディアが出された。しかし,いつの間にかこのような対策はウヤムヤになり,唯一,筆者が嫌うインバータ音のみが残った(モーターの回転音,インバータ音が嫌い - jeyseni's diary 2021/5/29)。
ところがどういう訳か,EV車はほぼ無音である。街中でTESLAやBYDをかなり見かけ右ようになり,日産のEV車はたまにサクラを見るぐらいなのだが,そのほとんどが無音で走っているように思える。日産のモータ駆動カーであるe-Power車も,市街地ではほとんど無音に思える。これは単に慣れてしまったからだろうか。しかしトヨタやホンダのハイブリッドカーは,相変わらず発進時のインバータ音が聞こえる。
まあ,ハイブリッドカーは走り出して5mも進まないうちにエンジンが始動するので,発進時のインバータ音とそれに続くエンジン音がするので認識しやすい。発進時にできるだけバッテリーを使おうとしてノロノロと運転することや,赤信号のかなり手前で早めに車速をダウンするなど,イライラさせられる面が多いものの基本的に危険なことはない。ただし,発進時に音が小さいため,誤ってアクセルを踏み込み過ぎたりして暴走する危険性があると思う。高齢者が真新しいハイブリッドカーで暴走事故を起こし,「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」と証言しているが,単なる踏み間違えではないと思うし,理由がいつも同じなのは,弁護士がそう言わせて罪を逃れようとしているとしか思えない。
一方,歩行者にとってのEV車は,音がしないのでやはり危ない存在だと思うが,外見が目立つので,なんとなく気をつけることができるようになってきたのは皮肉なものである。
ところが,最近厄介な乗り物が車道を走り始めた。電動バイクと電動キックボードである。何が困るかといって,四輪車の周辺を無音ですり抜けるので,危なくて仕方がない。特に電動バイクは,加速時もほとんど音がしないので,あっという間にクルマの前を斜めに横切ったりする。バイクなら加速時にエンジン音が大きくなるので,耳で聴けば動きがある程度予測できる。しかし電動バイクはまったく予測ができないのである。
普通のバイクでも,すり抜けは危険である。電動バイクはもっと危険である。
これまで,四輪車と二輪車のレーンを分け,歩行者とも分離することを提案してきた。そのために街路樹はなくした方がいいとも提案した。しかし,二輪車レーンができたとしても,電動キックボードと自転車の接触も問題になる。
そうすると,四輪車・モーターバイク/電動バイク・キックボード,ロードバイク/電動アシスト自転車・自転車/歩行者・シニアカー・電動車いす,という4段階のレーンが必要なのではないか,という気持ちになってきている。
世界各地で,無人運転車をベースとした街づくりが実験的に作られている。日本でも,富士山の麓に作られつつある。こうした新しい都市構造の中に,よりきちんと分離した車線のアイディアを実現してほしいものである。そこでの試みをベースに,都市の走行レーンのあり方をもう一度考えなおしてほしい。