iPhone12以降の本体の裏側にはガラスケースの内側にリング状のマグネットアレイが埋め込まれている。Magsafeという仕組みで,これにちょうど大きさが合うリング状の磁石が入ったスマホスタンドやスマホホルダーなどにピタッとくっつけて固定できる。磁石同士が引き合うので,かなり強力に固定できるらしい。
しかし,磁力は極の間の距離に反比例して急速に減少する。スマホケースなど厚さ数mmの間隔が開いたとしても,磁力は急速に減り,支えることができない。iPhone本体に直接くっつけるか,間に金属リングなどを挟むなどの工夫が必要になる。
Appleが決めた規格なので,Androidスマホでは採用されていない。ただし,Androidスマホに鉄製のリング板を接着すれば,Magsafe対応のスマホスタンドなどに固定することはできる。ただ,磁石を内蔵しているiPhoneと違って,スタンド側の磁石の磁力だけでくっつくので,固定強さは半分ぐらいになってしまう。当然,離れればすぐに磁力は大幅に減少し,固定から外れてしまう。
磁力でも接着剤・粘着剤でもマジックテープでも吸盤でも,固定した当初は2つの物体の間の距離が近く固定力が強い。しかし時間が経つと接着剤や粘着剤,マジックテープの場合は物体間の距離が徐々に開いて固定力が少しずつ弱くなる。吸盤の場合は,中の真空状態に空気が徐々に入り,吸着力がゆっくり減っていく。最後はどの固定法でも一気に外れてしまうのだが,磁力の場合は少しでも間が開くと一瞬のうちに固定力がなくなって外れてしまう。
接着剤や粘着剤,マジックテープでは,固定状態から外れるまでの間に「揺れ」「ガタ」などの状態があり,ここで気づいて取り付け直せば,外れるのを防ぐことができる。吸盤は柔軟なモノによって粘着力をある程度の時間維持できる。
ところが磁力の場合は,いったん磁力がなくなると途中の状態がなく外れてしまうのが欠点だと言える。
通常の使用では,手で少し力を入れて引っ張れば外れる磁力式は便利である。マジックテープや吸盤も,取り付けたり取り外したりを繰り返す場合は使い勝手がいい。逆に接着剤や粘着剤は,いったん固定したら簡単には外すことができない点が厄介である。
特に,スマートフォンのように小型ながら結構価格の高いモノを固定する方法として,磁力の利用には筆者はかなり抵抗がある。規定の固定力以上の力が加わった場合に簡単に外れてしまうからである。
Magsafeの場合,iPhone側の磁力はAppleが保証するが,それに対応するスマホホルダーやスマホリングなどのメーカーは,保持力の保証ができるのだろうか。その辺りの磁力の数字を見かけたことがない。おそらく,メーカーによって使う磁石の磁力強度や大きさ,極の位置などはバラバラなのではないだろうか。実際に取り付けを試してみて,たとえばくっつけた状態で振り回して外れないかどうか,といったことを実感しない限り,これを通信販売で買うのは当たり外れがありそうで怖い。iPhone側の磁力だけに頼っている製品もある可能性はある。
せめて,iPhoneを直接取り付けた場合に何グラムまで支えることができるのか,といったスペックを掲載してほしい。
それでも,間に何か1枚挟まっただけで,磁力は急速に弱くなることが考えられる。筆者はandroidスマホユーザーなので,とりあえず別の方法での取り付けしか試せないが,いずれ同じような仕組みの採用もされると考えられる。また,同じ規格の採用でもいいと考える。何が最適な固定方法なのか,引き続きトライを続けていくことになる。