オーストリア軍、“脱マイクロソフト”を加速--「LibreOffice」全面採用の狙いは? - ZDNET Japan (2025/9/26)。
IT全盛の中で,プラットフォームの主導権を握っているのがアメリカ企業であり,これに対抗するように中国企業が新しい仕組みを投入しているのが,現在の構図である。特に,太陽電池によるメガソーラー,EV,ドローンと,国策でもあるかのように次々に世界を席巻する動きがある。治安維持のための監視カメラやドローンによって,情報が筒抜けになることを恐れて,アメリカ国内での使用が禁止されてきているし,プラットフォームとしてのTikTokをアメリカ国内でいったん禁止し,アメリカでの事業をOracleが継承するという流れになっている。
日本は,基本的にアメリカ製のプラットフォームの上で動いている。パソコンの大半はMicrosoftのWindows OSで動いているし,残りもAppleのMacintoshである。アプリケーションソフトも大部分が海外製で,中でもMicrosoft Officeはビジネス上のデファクトスタンダードになっている。インターネット関係では,Google検索によって個人の嗜好性や思考パターンが企業に提供され,これがターゲット広告として機能した。スマホに仕組まれたGPSによって位置情報が把握され,渋滞情報などが自動的に把握されるようになった。世界中の文献や書籍の情報を蓄積し,これをベースとした機械翻訳が登場した。その膨大な情報をベースに,アメリカのベンチャー企業が生成AIを開発。GoogleもMicrosoftもAppleも追従して,生成AIのオンパレード状態になっている。一方で,AppleのiPhoneでスマホの使用状況が把握され,Apple WatchやAirPodで健康状態が把握され,保険会社に情報提供されているとも聞く。
この状況を快く思っていないのが,ヨーロッパ諸国であり,旧大英帝国グループなのだろう。GAFA,MEGAに飲み込まれたくない,という思いがあるのだろう。今回の脱Microsoft戦略は,オープンプラットフォームのLibreOfficeと,同じくオープンなLinuxの全面採用ということになる。
筆者も正直,Windowsとの付き合いに疲れてきている。一時期,Macintoshに移行し,そこで出会ったARA(Apple Remote Access)というリモートアクセスの仕組みに驚き,ファイルメーカーというカード型データベースに出会って,仕事の仕方がガラリと変わった。できるだけExcelやWordを使わない主義を通しているが,ビジネスのベースがOffice基準のため,両方を使わざるをえないという歯がゆい状態が続いている。ファイルメーカーがWindowsにも移植されたことで,またWindowsに戻った。
Windows10にアップデートするタイミングでLinuxも評価したし,android上で動くChromeOSも評価してきた。ブラウザーなどインターネット系のアプリの利用にはまったく問題はなかったが,壁となったのがMicrosoft Officeが使えないことだった。またファイルメーカーも使えないのは,筆者にとっては致命的である。
現在は,どのOSからもMicrosoft 365というクラウドベースの元Officeソフトが使えるので,プラットフォームの問題はなくなりつつある。ファイルメーカーすらFileMaker Cloudで利用することができるようになった。しかし,サブスクリプションで毎月の使用料がかかることや,ネットワークを常時使う必要があるなどの問題がある。
筆者も,クラウドサービスに移る前のパッケージ版を入手したところで止めている。いずれ最新機能は使えなくなるのだが,あくまでも30年前のExcelやファイルメーカーでの使い方の域を出なくても十分だからである。
そういう意味で,オープンソフトを全面選択したオーストリア軍に敬意を表したい。
ただ,当初からOffice互換ソフトはいろいろと評価し,LibreOfficeも評価の対象になっているが,たとえば修正履歴が入ったファイルや,表が入ったようなやや複雑なOfficeファイルを開こうとすると,エラーが起きたり表が消えてしまったりする。また,マクロや関数などの互換性にも問題が残っている。「関係者全員がLibreOffice」ということになれば,問題は起きないのかなと思うし,徹底的な互換調査をして改善を図ることになるのかもしれない。とりあえず保険としてクラウドの「M365 Copilot」も登録している。
かつて筆者は,表計算ソフトを「Lotus 1-2-3」から始めた。中でも,セル間を自動で移動しながら処理を進めるスクリプトは,記号ベースで記述でき,感覚的にわかりやすかった。Excelではマクロプログラミングになり,理解するのに時間がかかった。結局,大量のデータ処理はExcelではなく,ファイルメーカーで実施することになった。
一方で,日本語ワープロソフトは,本来なら和製の「一太郎」を使うべきところだが,Officeという形でWordが一緒についてくるので,わざわざ一太郎を入れるという流れにならなかった。今でもWordの複雑怪奇なクセを完全に克服はできておらず,基本はただのベタ打ち用ソフトとして使っている。したがって,こちらもファイルメーカーで十分代替できている。
業務ソフトとしてのExcelをやめてグループウエアやノーコードアプリを使おうという動きがある。しかし,CMを見る限り,グラフを書いたりするなどExcelでもできていた域をそれほど越えていないように思える。顧客の一括管理や稟議書回覧など,DXを進めるにはリレーショナルデータベースの活用が必要になってくると考える。処理能力や信頼性にやや問題が感じられるが,ノーコードとプログラミングの双方に対応できるファイルメーカーを中心としたソリューションが,最もコスパがいいシステムになると考える。Office系ソフトは,エンドユーザーの「必要悪」レベルである。