2025年9月22日に自由民主党の総裁選挙が告示された。国会議員295人の投票日が10月4日。全国の党員・党友による党員票295票のための投票締め切りが10月3日。党員数は全国で約100万人が投票対象である。
投票は,各都道府県の県連事務所に出向くか,郵送になる。党から党員への発送は往復はがきで,告示日の翌日9/23にはすでに発送されているらしい。何とも手回しがいい。毎回同じ仕様だから準備が早いのだろうか。
はがきでの投票の締め切りは10/3。早々に発送する人もいるだろうし,ギリギリになる人もいるだろう。つまりこの選挙活動期間中,全国津々浦々の郵便ポストのどこかに,最大100万枚の投票はがきが投函されることになる。
昨今,郵便事業での不手際の露見が相次いでいる。配送業務での点呼スルーや記録の改ざん,不配達,住所読み取りでのストーカー行為など,物流の根底を揺るがす不祥事である。ポスト収集が民間業者に委託されている地域も多い。
選挙といえば,投票所に出向いて,立会人監視のもとで厳重に密閉された投票箱に投票するのが当然で,期日前投票といえども投票所に出向くしかない。その投票を,はがきへの記入,ポスト投函で集める,というのは,セキュリティ上の問題を考えるといかがなものだろうか。
配達側のミスがなかったとしても,意図的に途中で抜き取られたり差し替えられたりなどの不正が行われないという保証はどこにもない。それこそ1票の重みを軽視しているとしか思えない。
配送側の責任も重大である。ポストには鍵が掛けられているが,ポスト回収時には鍵を開けて中身を取り出し,クルマに移す。その際はまったくオープンな状態である。回収車が襲われたり,紛失したりする危険性もある。意図的に差し替えをする可能性も否定できない。何かあった場合には,日本郵便や配送委託会社の責任も問われる。
ネットワークのセキュア接続はいちおう信頼できるものとなっている。費用も人件費も掛かるはがき投票ではなく,オンラインで接続して投票するぐらいの仕組みも簡単に構築できる。なぜこういう仕組みを使わないのか,不思議に思う。