2025年,クマによる人的被害が拡大している。もともと,人間と山の動物はうまく棲み分けられていたはずだが,人間の居住域の拡大に加えて,気候変動による山のエサ不足,そしてクマにとっての冬眠習慣の阻害など,クマと人が出会う機会が増えてしまう状況を作ってしまったのは,やはり人間のエゴなのだと感じる。
人的被害を減らすための自衛策(クマ防御にヘルメットと防弾チョッキの提案--山に行くなら“戦闘”の装備が必要な時代かも - jeyseni's diary 2025/10/21),クマの動きを緩める目的でのネットランチャー(クマ相手にネットランチャーはどうだろうか--廃棄する漁網で周囲を取り巻くとか - jeyseni's diary 2025/10/23),クマの接近を検知するセンサー(クマにAirTagはどうだろうか--人里への接近を検知する仕組みの開発が急務 - jeyseni's diary 2025/11/1)などをコメントしてきた。いずれも,クマとの共存のための人間側の知恵として提案しているのだが,現状の対策は猟銃による駆除とワナによる捕獲だけである。
世界でも,野生の動物と人間の接触による被害は多い。アフリカのライオン,中国やインドの野生ゾウ,そしてアメリカのヒグマなどが挙げられる。いずれも広大な国土があるのだが,「野生動物の保護区」が設定されていることが多い。保護区から外に出て人間の居住区に入ってしまった動物は駆除の対象になりうるが,可能な限り傷つけずに保護区に戻す対策が取られる。
一方,国土の狭い日本では,野生動物の保護区という考えはないように思える。国土はすべて人間のものとばかり,勝手な開発が行われる。近年のメガソーラー設置なども影響しているかもしれない。国立公園として指定された自然地域での大規模開発は禁止されているが,そこに野生動物の保護区という意味合いは感じられない。
戦後から2000年までは,日本は急速な経済発展をし,人口も増加し,GNPを生む工場も各地に作られた。森を切り開いての開発は,経済発展のための犠牲になってきた。しかし,2000年を過ぎて急速にブレーキのかかった日本経済と,それに伴う人口減少など,これ以上の自然破壊をせずに,コンパクトな国家にまとめていく流れが見えてきた。かつての「野生動物との共存」から「野生動物の保護区設置」へと考え方を切り替えて,人間社会と切り離すことを考えてもいいかもしれない。
2025/10/21に高市早苗氏が総理大臣に任命され,高市政権が発足した。すべてのメディアが予想を外したほか,筆者にとってもコメントしにくい結果となった。公明党の離脱は予想したことだったが,日本維新の会との連立政権のスタートは予想外だった。
経済政策や対外政策などに手腕を振るっている一方で,防衛能力の拡大など,対外摩擦となりかねない政策も明らかになっている。その中でのクマ対策として秋田県からは防衛省に対して自衛隊の出動要請が出され,実際に出動準備が進められている(自衛隊、クマ対策派遣準備 輸送など後方支援方針―直接駆除「ノウハウなく困難」:時事ドットコム 2025/11/2)。秋田県の鈴木健太知事が自衛隊派遣を要請したのは,前の石破政権で農林水産大臣を務めた小泉進次郎防衛大臣。また内閣官房長官の木原稔氏もクマ対策へのコメントをしている。前政権でのコメントはなかったように記憶する。
国立公園の管理も含めて環境省も関係するだろうし,農作物への被害という意味では農林水産省も関係するだろう。また省庁の壁が邪魔をしないか,懸念している。
本来なら,厳密な鳥獣保護区を区切り,その外に出さないような対策が必要だと思われるが,フェンスの設置などの実現は難しい。人間のエゴによる開発は,まだまだ進む可能性がある。逆に,クマを徹底的に駆除するということも考えられるが,一方でシカやキョンなども急増してしまうため,シカによる農業被害も拡大することが懸念される。もはや,徹底的にクマやシカ類を排除するぐらいの政策も必要かもしれない。ただ,沖縄のマングース駆除の例を見ても,根絶には数十年の時間がかかることが予想される。自然保護団体からの反対もあるだろう。
しかし,秋田県を中心に被害が拡大している地域にとっては死活問題である。自然のある程度の犠牲はやむを得ないかもしれない。