ARメガネ,XRメガネが一気に世の中に出てきた。先行した中国のXREAL社が完成度をどんどん高めて行く中で,ブランドメガネメーカーのレイバンとコラボしたアメリカのMETA社,オーディオに特化した中国のHUAWEI社,そしてとうとう大手パソコンメーカーでもある中国Lenovo社も市場投入してきた。
米Apple社のARゴーグル「Apple Vision Pro」(一線を超えたApple Vision--「現実」が“現虚”になってしまうのか - jeyseni's diary 2023/6/17)がARディスプレイでの見え方の理想形まで提示した。同社もメガネ型の開発を進めているという感触が2025年の中盤に示された。さすがにゴーグルをしたままでの一般作業はできないということだろうか。
しかしメガネ型ディスプレイは,身に着けていても自然に見せるために,サングラスや黒縁メガネに似せようとしている。このため,これまでもプライバシー侵害などの問題になっていたスパイメガネとの差別化に苦慮しているようである。
ARとして,現実社会と仮想社会を同時にディスプレイに映すには,眼の前の光景をメガネのレンズを通してリアルで見せるか,前方をカメラで写してバーチャル映像と合成するかのいずれかになる。カメラを取り付ければ,それはスパイメガネとの差別化が難しくなる。しかし,前方の風景を分析するにはカメラを使わざるを得ない。この辺りのジレンマが,ARメガネの開発がなかなか進まなかった理由と思われるが,この辺りに無頓着とも言える中国メーカーが先行したために,カメラなしモデルを中心に,有名ブランドとのコラボを武器に各国での開発が進んでいる。
日本メーカーでは,唯一エプソンがARメガネを開発したが,あまりにも一般のメガネからはかけ離れた外観だったこともあり,普及しなかった。他のメーカーもおそらく開発プロジェクトはあったとは思われるが,プライバシー問題をクリアできないと判断して積極的な開発が進まなかった。かつてこのような細かいガジェットを作る能力と好奇心のあった日本メーカーは,今はない。日本の製品から多様性がなくなった--面白くて安く,多様なモノを産み出せる中国のすごさ - jeyseni's diary (2024/12/13)で紹介したようなスマートリングも,中国のベンチャー,韓国はSamusungがフル装備の製品を開発しているのに,日本では数社が及び腰という感じに見える。実際,日本でスマートリングを着けている人にはまだ出会ったことがない(筆者も,上記のスマートリングはLEDの時計表示があまりにも目立ち過ぎたので,その後はお蔵入りになっている)。
それにしても,サングラスも黒縁メガネも,オシャレではないと個人的には感じる。白人社会ではサングラスは常識に近いので違和感はないが,日本では別のイメージに映る。黒縁メガネもかつてのエコノミック・アニマルのイメージがあって嫌いである(外国人観光客に“荒らされる”日本--かつて日本人が海外を“荒らし”回ったツケか - jeyseni's diary 2023/7/5)。
すでに画面精細度として4K画素まで登場しているが,高精細化は後でいくらでもできる。基本的なVGAでもその1/4でもいいから,普通のメガネに組み込んで世界を驚かせるARメガネを発表してほしいものである。いや,できると信じている。
【追記】日常に、見えない知性を。次世代型AIグラス「Halliday」|マクアケ - アタラシイものや体験の応援購入サービス。ARメガネの記事が,ここ数日いろいろと出ていた。その中で気になったのが,このHalliday。ディスプレイは緑色単色で基本的に文字情報の表示のみ。画素数の記述はないが,VGAレベルと思われる。PCやスマホ画面を表示させたり,映画を鑑賞するという目的ではなく,文字で情報を表示する機能に徹している。マイクロLEDの表示を網膜に直接投射する方式で,近視や遠視に関係なくピントが合う。フレームは黒縁ベースだが,グラデーション,べっ甲などのフレームが用意されている。
元々筆者は,PCの画面を眼の前に表示して,寝っ転がってでも仕事ができると面白いと思っていた。Apple Vision Proも複数画面を眼の前に配置して仕事ができるというイメージだった。街中ではナビを表示することを,電車の中ではテレビなどの映像を鑑賞できるといいと思っていた。一方,Hallidayは用途としては非常に面白い。端末のディスプレイ表示はできない代わりに,手ぶらでさまざまな情報を表示できる。1日中,付けっぱなしで使うと,いろいろとアシスタントしてくれるように思える。もう少し完成度が上がった段階で,選択肢の1つに上がってくるような気がする。