近年の映画興行収入のランキングを見ると,上位にアニメ作品が並ぶ。特に,「鬼滅の刃」「呪術廻戦」という2大作品が牽引したように思う。
筆者はこれらのアニメの予告ムービーしか見ていないが,その画面展開の速さに圧倒され,見ないことにしている。しかし小さい子供たちも含めて,キャラクターとして人気を集めている。長いムービーである。ストーリーの展開を子供たちが理解できているとは思えない。主人公や登場人物の格好良さが,男の子にも女の子にも受けているのだと思う。
しかし,筆者がこれらのムービーを好きになれないもう1つの理由がわかった。それは「血」の表現の生々しさである。
いまの人はほとんど知らないだろうが,かつてテレビはモノクロだった。時代劇であろうと,剣さばきは鮮やかだが,斬られて血が飛び散るといった演出はなかった。かりに演出があったとしても,モノクロ映像では「頭でイメージする」しかなかった。カラーテレビ放送になっても,時代劇は剣術を見せる芸術であり,美しい殺陣(たて)がポイントである。
しかし,アニメーションは何でもありである。撮影の視点も,水平方向だけでなく,鉛直方向の移動も何でもありえる。昨今は,アニメの実写化という逆方向の企画が大流行で,俳優さんもワイヤアクションが必要となったり,スタントマンが必要だったりと大変である。
その中での過剰演出が,「血しぶき」である。あまりにも生々しい。筆者が見ても思わず身構えてしまう。正直,小さい子どもにこれを見せて大丈夫かと思えるほどである。この生々しさが,おそらく海外で受けている要素の1つではないかと思うのである。サムライもニンジャも,日本の文化と思われる上に,アニメでの新しい表現が現代の日本の文化と捉えられたのではないかと思う。血の気の多い海外の人に受けたのではないかと思うのである。
筆者が愛してやまないアニメに「名探偵コナン」がある。この中では,そのほとんどが殺人がテーマである。しかし,殺害の場面や,死体の表現では血の色を「黒」で表現している。これが作者である青山剛昌氏が子ども向けのアニメとしてこだわった点だと知って,すごいと思った。そうした配慮が,今のアニメ業界にはない。
ただ,そのような生々しい表現が受けて,評判となって興行成績が上がれば,大義名分が得られたということになる。これが広がっていくのかと思うとちょっと恐ろしい気持ちになる,というのが筆者の感想である。