関越道67台絡む事故、トラックから遺体 死者2人に、負傷は26人 [群馬県]:朝日新聞 (2025/12/26)。年末の帰省ラッシュの時期である。今季最大の寒気が到来し,一晩に数十センチもの積雪の予想もあった。
おそらく,まだ渋滞は発生しておらず,どのクルマもかなりの高速で走っていたと思われる。そこに積雪があり,スリップして衝突したクルマに,後続車が次々と突っ込んだのだろう。
まず,天気予報では急な積雪が予想されていた。この1週間前の土日は,都内でも寒気が入り,ひょっとしたら雪の可能性もあった。筆者はこのときにスタッドレスタイヤへの交換を家で行った。実際はその週は気温が上がり,1週間早かったかな,と思ったものだが,この年末の積雪の可能性に対する準備はあらかじめできていた。関東地方で積雪になるのは数年に1回程度なので,スタッドレスへの履き替えは無駄になることも多いが,気持ちの上での安心感があるのである。
筆者は,家族を持って自家用車も所有するようになってから,毎年季節になればスタッドレスへの履き替え,およびノーマルへの履き替えを自分でしている。翌日,雨から雪に変わるという天気予報があれば,雨の中でもタイヤ交換はしてきた。それが当たり前だと思っていた。
ところが,この話をディーラーにしたところ,「えっ? ご自分でタイヤ交換されてるんですか」と言われた。正直,びっくりした。クルマを所持している限り,自分のクルマが万全でなければ,乗るのを躊躇してしまう。タイヤ交換やフロントガラスの油膜取り,足回りの異音など,いつもと違う状況になった際,いつもよりも神経を払ってきたつもりである。たとえばワイパーの効きに対応したり,エンジンや足回りの異音なども気になる。次に乗るときに,異常のまま乗りたくないからである。
今回の事故でも,事前にスタッドレスタイヤへの交換をしたり,雪が積もった段階でチェーンを付けたりすれば,スリップは避けられ,追突も避けられたと思う。67台のクルマにおけるスタッドレスタイヤの装着状況をぜひ公表してほしいものである。
自家用車はともかく,トラックなどの業務車なら,事前に天気予報から判断してタイヤ交換などをしておくべきだろうし,ドライバー自身も対応すべきだろう。しかも,トラックのノーマルタイヤを見ると,ほぼ溝がすり減ったツルツルのタイヤで走っているものが多い。スタッドレスに事前に履き替えるという意識のある業者,ドライバーは少ないように思われる。
今回の事故では火災が発生し,消火に7時間以上もかかった。道路の開通復旧の見通しが立たない状況だという。年末・帰省・高速,という状況で,迷惑を被っている人は何万人いるだろうか。それほど,罪は重いと思うのである。
自家用車だと家を出る前,業務用車だと仕事に出る前に,少なくともエンジンの起動音,乗り込んだときの車体のキシミ音,そして少し走り始めたときのタイヤ音やブレーキ音,そして身体の揺れなどに注意を払うべきである。いつもと異なる異音によって,ネジの緩みやエンジンの不調,タイヤのキズや異物などの存在を疑うことができ,大きな事故につながるのを未然に防げる可能性が高まる。
天候についても同様で,雨になりそうだったらウォッシャー液のチェックやワイパーのチェック,フロントガラスの汚れなどをチェックすべきだし,今回のような雪が予測されるような場合は,至急でスタッドレスタイヤへの交換やタイヤチェーンの用意,その他,長距離の場合は水や非常食,毛布,スコップなども用意するほか,随時,天候と道路状況のチェックが必要である。
さらに,走行中も車間距離を取る,スピードを出さない,そして前方の状況をいち早く察知してスピードを落とすなどの対応が必要である。
今回の事故・火災も,複合的な要因が重なって大事故に拡大してしまったと思われる。運転者,そして会社の運転管理者の意識が低すぎるのではないだろうか。
筆者も,発進時のタイヤの異音でタイヤのナット外れに気づいたことがある。前日に同じクルマに乗ったドライバーは,ナットが外れたまま走っていた。場合によっては大事故につながっていたと思うので,気がついた自分を褒めてやりたいと思っている。
昨今のクルマは,何でも自動化とコンピュータ化であり,メンテナンスをドライバー自身がすることもほとんどない。タイヤ交換もディーラー任せ,さらにタイヤの管理もディーラーに預けると聞く。定期点検に合わせて雪が降るわけではない。タイヤ交換ぐらいは自分でするぐらいの意識がなければ,クルマに乗る資格はない,とまで言うのは言い過ぎかもしれないが,正直,意識の低いドライバーが多すぎるように思う。
逆に高齢ドライバーは,運転経験が長いだけに過信し過ぎであり,そこに昨今の電子化されたクルマの操作に慣れないうちに事故を起こすケースがあると考えられる。
かつて「クルマは凶器」と言われた時代がある。歩行者に対しても凶器なら,クルマ同士の事故でも双方がケガをしたり死に至ったりする。ようやく「危険運転致死」の数値基準が提案されたが,事故時点の速度認定で罪の重さを判定する以前に,危険運転車を随時チェックするようなセンサー,画像解析技術,そして可能なら人工衛星からの画像解析ができるようになることを望みたい。