ハイビジョンテレビ放送が始まったころ,スタジオではちょっとした問題が持ち上がったという。女優の肌の調子まで映ってしまうので,アップを断ったり,顔の左右,照明の当て方まで注文をつけるようになったという話である。
今や,さらにその4倍,8倍も画素数のある4K8Kまで当たり前になってきた。2025年流行りの「ビジュ,いいじゃん」はもはや,ヒアルロン酸注射から美容整形まで容認が必要なのかもしれない。
一方で,筆者のような一般人がカメラの前に引き出されるのが,zoomなどのビデオ会議である。冗談だが,下はパジャマのままでもOKだし,背景をぼかしたり別の画像をはめ込んだりできるので,気軽に普及してきた。自分が相手にどう見えているかもあらかじめチェックできるから,安心だと思っているのだが,1つ落とし穴があった。
それは,相手がどんなディスプレイを使っているのか分からないことである。
ノートPC同士,スマートフォン同士なら,画面の大きさは想像できるから,自分の顔が実物より大きく映ることはない。しかし,相手が大型モニターを使っている場合は,実物以上の大きさで映っているかもしれない。
大型モニターで複数の参加者を並べて表示する場合は,1人分の大きさは小さくなるが,相手が勝手に1人だけに表示を切り替えれば,巨大な顔が表示されることになるが,映されている自分には状況が分からないという恐さがある。
テレビには最適視聴距離があり,たとえ大型テレビでも数メートルは離れるが,モニターは1メートル程度で使われるので,自分の顔が大映しになるという危険がある。見る側でも,もっと自由に設定したいときもある。
相手のモニターサイズを検出して,自分側で出力サイズを決められる機能が欲しい。プリンターで紙のサイズを指定できるような機能である。もっとも相手側がさらに表示の拡大をしてしまうと,意味がなくなるかもしれない。
かつてのエレクトロニクスショーで,壁全体がディスプレイになり,相手が実寸大で表示されて臨場感のある対話ができるというデモンストレーションがあった。映される自分側のカメラアングルに無理があることは明白なのだが,おもしろいプレゼンテーションだと思った。今なら,ARメガネに相手を表示して対話できるかもしれない。その際,相手に対してリアルなサイズで表示されることは必須だと思う。
自分の顔の代わりにアバターを使うという手もあるが,動物に変身するのも相手に失礼である。自分そっくりのアバターを作ることもできるかもしれないが,不気味かもしれない。今ならひょっとしたら有名人にフェイクしたテレビ会議アバターを実現できるかもしれないが,これはもう論外である。フェイク音声での詐欺も行われるようになった。いよいよフェイク動画で知り合いに化けて犯罪が起きる時代が来るのかもしれない。ビデオにも本人確認が必要なのかもしれない。