2026/4/8 日本時間の午前9時を期限に,アメリカのトランプ大統領はイランのエネルギー施設に対する最大規模の攻撃を行うと宣言していた。その直前に,停戦合意が成立し,攻撃実施を2週間延期すると表明した。これに伴い,日経平均は「一時2900円以上の大幅値上がり 5万6000円台を回復」した。「米イラン停戦合意で安心感広がる」のが要因だという。
筆者の周囲でもNISAをやっている人が増えているので,株価が上がることは財産価値が増えることで喜ばしいと思う人も多いのかもしれない。しかし,株価が動く理由が「平和」ではなく「戦争」だという点を,世の投資家,いやこれはもうマネーゲームとしか言いようがないから“投機家”と呼ぶのが正しいだろう。要は,「丁半バクチ」である。しかも,上がっても下がっても差分を狙って利益を得ようとする。
個人の“投機家”はもちろん,大手の証券会社も組織ぐるみで動く。しかし,証券会社はさらにタチが悪くて,顧客の投資額に応じてその手数料で儲けているから,顧客が仮に損しても関係がない。おいしい情報を顧客に提供したとしても,それで勝つかどうかの保証はない。天気予報は外れてもせいぜい雨になるだけで傘を買えば凌げるが,株取引は救いようがない。そこに導くのが証券会社である。
「株を買う」という行為は,その株式を発行した企業の将来的な社会的価値を評価することであり,「株式を持つ」ことで企業を応援し,その社会的活動から得られた利益の一部を得る,ということが本質だと考えている。それだけに,日々の値動きだけで売り買いを繰り返すデイトレーダーは,その企業の将来的価値や社会貢献そのものはどうでもよく,株価が上がるか下がるかだけを判断して瞬間的に売り買いを行って利ざやを稼ぐ。今回のような戦争や災害といったマイナス要因も逆手に取り,利ざやを稼ぐ。
NISAは,株式などの金融商品を長期間持つことを前提に確保した利益に対する税金を控除する制度であり,基本的には経済の発展が前提となる。高度成長期のような右肩上がりの経済が期待できない現在,その存在意義については筆者は否定的だが,企業活動を支えるという意味では経済の下支えになっているのだと考える。
その合間を縫って,日々,あるいは時々刻々の株価で利ざやを稼ぎ,その一部は「億万長者」となって,そのテクニックを披露した書籍を出版してお山の大将になっている。投資,投機ができるのは,億単位で損を出してもそれをカバーできる資産耐力があるからで,ほとんどの投資家は損を出している。まさにバクチである。
国全体の利益は,企業という組織による総力戦で得られる。個人による一人勝ちは,個人の欲望が満たされるだけで,周囲は何も効果を得ない。それどころか,搾取されることもある。資産家が篤志家になるケースはほとんどない。もともとそういう意志がない成金だからである。
といっても,結局は「勝ち組が勝ち」というのが資本主義の原則である。搾取であろうが,脱税であろうが,法の隙間をかいくぐってでもお金に執着するという一面は,どの人間も持っていると理解してあきらめるしかないのかもしれない。