JAL | モバイルバッテリーの機内持ち込み個数および充電に関するルール変更についてのお願い(2026年4月24日以降) 2026/4/14。国土交通省の発表を受けて,航空機の機内持ち込みバッテリーが2個以下,バッテリーから機器への充電,バッテリーへの充電を禁止,という措置が取られることになった。
リチウムイオン電池搭載機器が,衝撃を受けたり,過充電などによって発火する事故が後を絶たず,特に航空機では大事故につながることから,世界中で規制が始まり,日本でもようやく対応がされることになった。
電気自動車(EV)やノートPCなど,メーカーによる十分な試験が行われている機器での内蔵バッテリーの不具合は,寿命劣化に伴う変形はあっても,発火に至ることは少ない。EV先進国となった中国では,EVや電動バイク,電動アシスト自転車などで自然発火して火事になるケースが報道されているが,これも稀なケースだろう。
スマートフォンでも,よほどのことがない限り発火には至らない。普段,手に取って操作している中で,使用時間が短くなったり,充電に時間が掛かったりすることでバッテリーの劣化が認識されると,機種交換のタイミングと重なるため,劣化したまま使い続けることはまずない。
一方,タブレットは参入メーカーも多種多様で,性能もピンキリ。品質保証についても十分とは言えない面もある。特に,パック型のリチウムイオン電池パッケージを使っている場合,バッテリーの劣化でパッケージの中でガスが発生して膨らみ,タブレットそのものが壊れてしまうケースが報告されている。
そのスマホやタブレットの充電に使うモバイルバッテリーに至っては,まったく無名のメーカーが乱立している。格安モデルの中には,安全回路を省いてしまったり,部品のクオリティが低かったりして,異常発熱からの発火や,衝撃による発火の例が多数報告されている。
さらに,「充電式」と言われる電気製品のほとんどはリチウムイオン電池が内蔵されているが,ハンディファンの落下衝撃で火災が発生する例も多く報告されている。このクラスになると,どんなバッテリーが使われているのか,まったく信頼できるものではない。
今回の航空機への持ち込み制限や使用制限だが,そもそも航空機内でモバイルバッテリーからスマホを充電しなければならないのかどうか,という疑問があった。長時間運行している航空機なら現在,座席に商用電源のコンセントが設けられていると思うからである。変圧アダプターを使ってスマホを直接充電すれば問題ないのではないかと思った。たとえば,「旅客機内の個人用電源」といったキーワードで検索すると,いろいろな情報が出てくる(飛行機にコンセントがある航空会社|コンセントがない場合の対策も紹介 – Jackery Japan)。これによるとほとんどの航空機で座席でコンセントの利用ができるので,モバイルバッテリーの出番はないように思える。
一方で,モバイルバッテリーの残量が少ないから,機内で充電してしまおう,という考えでコンセントを使うケースが考えられるが,今回,この行為は禁止された。もともとどんな品質のモバイルバッテリーか分からないものに充電して,発火を招く危険性が最も高いからである。
航空機の中でスマホを長時間使うのなら,個人用コンセントから電源を取って使えばよく,わざわざモバイルバッテリーを使う必要はない。最近のスマホは,パススルー電源方式でバッテリーとの充電と同時に視聴しても問題ないモデルが出ている。そういうモデルを選択するべきだろう。
リチウムイオンバッテリーは,適格モデルはメーカーが回収するルートができたが,格安モデルや中華モデルは回収されず,処分に困る状況がまだ続いている。正規に回収できても,リサイクルされることはまずない。何らかの安全処理をしたうえで廃棄されていると思われる。それでもリチウムイオンバッテリーを作り続け,供給し続けるのかと,業界のエゴを感じてしまう。
筆者も,初期のスマホはバッテリー交換式だったため,充電は自宅の電源で行っており,モバイルバッテリーは使わなかった。しかし,バッテリーが交換できなくなり,ケーブルをつないで充電しなければならなくなってから,モバイルバッテリーも必需品になった。当初は価格も高かったため,選択肢として中華モデルを購入したりしていた。現在,それらのバッテリーは自宅で死蔵状態にある。どう処分するか,対応する時間が取れないからである。なるべく早く,固体電池やナトリウムイオン電池など,発火の恐れの少ない電池に切り替えていく必要があると考えるのだが,残念ながら現在の主要電機機器メーカーが中国にあり,聞く耳を持たないかもしれない。