『BS-TBS 4K』、放送終了を発表 民放全局終了へ ビジネス環境厳しく | オリコンニュース(ORICON NEWS) (2026/4/15)。
BS,つまり放送衛星(Broadcasting Satelite)は,帯域の狭い地上波ではハイビジョン以上の高画質を送出できない解決策として,4K,8Kといった高画質映像を送出するために打ち上げられた。当初はNHKのみが運用し,これに民放が加わった形だが,コンテンツ的には地上波の番組と大差なく,高画質を生かした映像が提供されたとも言えない。広帯域の電波を使って3D映像を送出する実験も行われたが,これを生かすコンテンツも少なく,さらに対応したテレビ受像機も限定的に終わった。
電波の帯域を申請して確保できたのは,資金力と技術力のあるいわゆる放送局企業であり,企業数も限定された。もともと電波帯域も限られていたし,必要な設備への投資も大掛かりになった。
一方,受信者側も小型のパラボラアンテナを別途購入して設置し,正確にBS衛星に向けて固定する必要があった。筆者も,比較的早い段階でセットアップした。パラボラアンテナを微妙に動かしながら電波が受信できたときはさすがにちょっと感動したものだった。大雨のときには電波が乱されるという性質についても確認して,自然との関わりを実感できた。
専門メディア向けに,CS(通信衛星=Communication Satellite)を使ったチャンネルが提供されるようになり,映画やスポーツなどの専門チャンネルが有料で番組を提供し始めた。BSとCSで衛星の位置が異なるため,パラボラアンテナを2つ,ないし1つで両方が受信できるタイプを設置する必要があった。筆者はこのエンタテインメント系のコンテンツにはほとんど興味がなかったので設置しなかった。のちに,ケーブルテレビ契約でアンテナなしに地上波,BS,CSのすべてのチャンネルが提供される環境にした。衛星放送といっても,受信用のパラボラアンテナは使わなくなった。
せっかくBSチャンネルで4K8Kのコンテンツが提供されているので,それに対応した4K液晶テレビも導入したが,正直言って目が覚めるほどの没入感は得られなかった。かつて4K8KのデモンストレーションをNHKで視た際は,送信側と受信側が直結され,ノイズもなく,完璧な調整がされた状態だったと思われる。実際には,放送局からBS衛星経由で家庭の小型アンテナないしケーブルテレビ局の大型アンテナで受信され,さらにメタルケーブルや光ファイバー経由で長い経路を送信されてくる中で,映像の劣化もあったのではないだろうか。
4L8Kのコンテンツを作るための放送用ビデオカメラや,送信に必要な設備への投資もバカにならなかったと思われる。規格を推進してきたNHKは意地でも採用したが,コンテンツが広告の取れるバラエティ中心の民放局では,投資に見合う効果がなかったのだと思われる。
一方,インターネットの動画配信サイトの登場によって,動画コンテンツの発信元が,テレビ局から個人へと大転換された。放送局は,放送コードというルールに合ったコンテンツしか発信できないが,個人の情報発信は何でもありになっている。しかも,放送局が掴みきれなかったコンテンツがどんどんアップされる。放送局側が逆にこれらのコンテンツを集めた番組を作って放送するといった逆転現象も起きている。さらに,個人レベルの配信でも,ビデオカメラやスマホのビデオ性能が格段にアップし,4K8Kレベルの情報発信も簡単に行えるようになってきた。コンテンツの価値も,映像の細かさよりその内容が重視されるようになり,放送局からの高画質コンテンツに対するニーズがほとんどなくなっているようである。
現在,チューナーの入っていないチューナーレスのテレビが話題になっている。通常のテレビだとBSカードなどの設定のほか,NHKとの受信契約などがデフォルトにあるが,ネット配信を表示するディスプレイとして利用するだけのユーザーが増えてきているのだという。
筆者の場合,もともとケーブルテレビの契約は,受信しにくかったNHK教育テレビ(NHK Eテレ)が子供たちに必要と感じていたからである。子供も独立し,筆者の好きなサスペンスドラマが,CS番組として繰り返し提供されている。NHKは情報源として必要と思っているが,民放局は現状はほとんど必要としていない。さまざまな視聴者がいると思うが,高画質,高品質のコンテンツをテレビという時間の限られたメディアで視聴するというニーズは,ほぼなくなっているのが,今回の動きなのだと思う。筆者にとって,BS-4K民放チャンネルがなくなっても,まったくといって影響はないのである。時代の流れとも言えよう。