jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

座礁コンテナ船を陸から引く案(勝手ですが)

スエズ運河にコンテナ船が座礁したのが2021/3/23。今日,3/29の段階で,船首が20m,船尾が50m動き,今晩の満潮を待って作業を再開し,解決へと向かいそうである。

 さて,状況を少し整理したい。まず,スエズ運河のどの辺りでコンテナ船が座礁したかという点である。運河はほぼ南北に掘られているようで,全長は193kmもある。南側は紅海のスエズ湾,北側は地中海に通じている。今回,長さ400mの大型コンテナ船が座礁したのは,この南口から6kmほど北上した辺りのようである。

 座礁は船首側で東側の岸壁に突っ込んだようである。衛星画像で見ると,少し丸い側が船首で,球状船首(バルバスバウ)のある側である。船尾は角張っている。ということは,コンテナ船は南から北,つまり紅海側から地中海に向けて北上している最中に事故を起こした,ということになるかと思われる。

 運河というと,高低差のある海面同士の航行を可能にするため,「閘門(こうもん)」と呼ばれる門で航路をせき止め,そこに水を導いたり,水を引いたりして水位を調整し,水面の高低差を乗り切るイメージなのだが,スエズ運河にはこの閘門がなく,季節によって水の流れる方向が変わる。冬場は北から南に水が流れるようで,今回はその流れに逆らって北上していたということかと思われる(【訂正】動画で見ると,水の流れは船尾から船首に向けて,つまり南から北に流れていた)。砂嵐で視界が悪かったらしいが,流れを遡って北上中に誤って舵を右に切ってしまって東岸に座礁,そのまま水の流れに押されて東岸方向から南方向に向けて押され,座礁の深さを大きくしてしまったようだ。

 離岸させるために,東岸のしゅんせつを進め,タグボートで引くことで,船首を離れさせる作戦が進められている。

 水の流れが北から南(【訂正】南から北でした),座礁が東岸,ということになると,コンテナ船の後部,船尾も西岸に近づいてスクリューや舵が砂にめり込んでいるようである。すると,船尾の砂を取り除けば,水流は左舷から船尾を西岸から離す方向に働くのではないかと考える。これに合わせて,船尾下部にワイヤをかけて,東岸から引くようにすれば,船が離岸し,少し南方向に戻されるような形になって解決するのではないかと思ったりしている。エンジンもスクリューも問題ないようなので,離岸したらすぐに態勢を立て直すことができるかと思われる。

 地図や衛星画像を見るかぎり,東岸は広い砂状の土地が広がっているようだ。ワイヤーで引くためのベースを確保するスペースはありそうだが,十分踏ん張れるだけの強度を地面が持っているかどうかは怪しい。しかし,タグボートよりはパワーを出せそうな気もする。

 どうやら,ここ1両日で完全に離岸できそうな様子なので,地上から引かなくてもよくなりそうだが,どうだろうか。たしかに,ワイヤにどれほどの荷重がかかるか予測がつかないので,ワイヤが切れるなどの不測の事態が起きた場合の被害は大きいかもしれない。また,膨大な数のコンテナを高い位置まで積んでいるコンテナ船は,非常に不安定なため,横方向にワイヤで引けば倒れてしまうかもしれない。

 福島第一原子力発電所の水素爆発の後のガレキの処理は,高い濃度の放射線のために作業がなかなか進まない。今回のコンテナ船の座礁も,人が作り上げた巨大な構造物に人自身が手を出せないような状態にある。ガンダムウルトラマンなど,日本が生み出したヒーローは,こういうときに助けてくれないものか,と思ったりする。

【追加】日本時間で3/29 22時ごろ,コンテナ船は座礁から離れ,北に向けて自力で航行を始めたとの中継があった。まずはめでたしである。船体の損傷などの確認が必要とのこと。