2021/3/21に新型コロナウイルスの2回目の緊急事態宣言が全面解除された。1/7から始まって2/7から1ヶ月延長,さらに3/7から1都3県が2週間延長をしたあとでの解除。ワクチン接種が,2/17に医療関係者から始まり,当初は3月末には高齢者という話で,3/25からの聖火リレーのスタートを見据えた3/21での宣言解除だったかと思われる。
しかし,ワクチン接種がどんどん遅れている。アナフィラキシーの割合が各国より多いため,接種に抵抗を覚える人も増えてきている。さらに,世界的な変種ウイルスへの転換によって,ワクチン生産各国が自国優先の方針を出し始めた。高齢者が4月末,一般の人は,オリンピックが始まる7/21ごろにようやく始まるかどうか,という観測も出てきた。
ワクチンはいわば「保険」である。感染しない,という保証ではなく,感染しても重症化を防げる可能性が高い,ということである。しかし,無症状感染の状態になることもあり,他人への感染拡大を防ぐ効果も限定的である。自動車保険をかけても事故を起こすのを防げるわけではなく,事故を起こした際に相手への保障を担い,自分が亡くなったときの家族への金銭的な補助を担うだけである。
それでも,ワクチン接種によって感染確認者数は減ることが期待され,人の行動制限もかなり緩和でき,経済活動も元に戻る,というのがシナリオなのだが,ワクチンが遅れて緊急事態宣言が解除されることで,アクセルの方が先に踏まれた形になったようだ。
緊急事態宣言に代わって,「蔓延防止等重点措置」が段階的に取られることになるようだが,「休業の要請を行うことは出来ない」「休業の命令を行うことは出来ない」,過料の減額,協力金の減額など,アクセルも踏めない,ブレーキも踏めない,という状況が続くだろう。その間に,第四波の拡大を招くことになりそうである。
緊急事態宣言解除でアクセルを踏まなければならなかった最大の理由が,東京オリンピックだろう。海外からの観客を入れないという英断をしたのが,宣言解除直前の3/20。何が何でもオリンピックは開催する,という気持ちは伝わった。しかし,結局,3/25からの聖火リレースタートで,オール・オンラインなどの新しい取り組みは何も考えていないようだということがわかった。「オール・オンライン・オリンピック」で行こう - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/3/20。
経済回復へのアクセルを踏むと,新型コロナウイルス拡大へのアクセルにもなる。緊急事態宣言は,経済にはブレーキになるが,ウイルス拡大に対してもブレーキになる。これに対してワクチン接種は,経済回復のアクセルと同時にコロナウイルス拡大に対してはブレーキになるはずだった。緊急事態宣言解除による経済回復アクセル+ウイルス拡大アクセルが,やはり解除が早かったのではないか。
関東1都3県で解除されてまだ1週間だが,筆者は早めに第3回めの緊急事態宣言を発する必要があるように感じている。タイミングは今週末4/4(日)から6/6(日)までの2ヶ月である。しかし,緊急事態宣言は人の動きをある程度止められるが,海外各国のロックダウンのような拘束力がない。ヤンチャ人は結局言うことを聞かないし,マジメ人は我慢しても報われない。
どうせロックダウンできないのであれば,たとえばリズム感をつけてみてはどうだろうか。クルマの運転でいう「ポンピングブレーキ」である。
今からだと,4/4(日)に緊急事態宣言を発し,期間は4/28(水)までとする。4/29~5/5のゴールデンウイークは宣言を解除する。そしてまた,5/6から6/6までを緊急事態宣言期間とするのである。ブレーキを強めに,そして一度緩め,またもう一度強めに踏む。これはクルマのブレーキングの基本の一つでもある。一気に踏み込むと,ブレーキパッドが過熱してブレーキの効きが悪くなる。そうなると,いくらブレーキを踏んでも効かなくなる。そして,ブレーキが効いたとしても,車体にもサスペンションにも乗車している人にも負担がかかり,一気に反発が起きる。ソフトランディングのための手法である。
この期間を経て,ワクチン接種を一気に拡大して,ウイルス蔓延へのブレーキをかけるのである。
緊急事態宣言中なので,始まった聖火リレーはいったんペンディングする。再開後は期間が短くなるので,クルマで全国を駆け抜ける方法でクリアし,7/21の開催に間に合わせる。オリンピックをどうしても開催したいのなら,これぐらいの大胆な措置が必要だろう。そして,オール・オンライン・オリンピックで日本の技術力を世界に見せつける。これなくして,今,日本でオリンピックを開催する意味はないと思うのである。