jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

タバコの煙とウイルスのサイズはほぼ同じ--マスクがいかにウイルス防護に効果がないかを確認できる

タバコの煙の粒子の直径は 0.1~1.0μmである。一方,インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスのの大きさは直径0.1μm程度である。つまりほぼ同じサイズといえる。いずれもPM2.5(2.5μm)よりも小さい。 

 最近は,タバコを吸いながら歩く人は減ったが,以前はどこでもスパスパと喫煙されていた。通勤で駅に向かう歩道でも,後ろを歩くほかの人のことなどお構いなしでタバコを吸っていた。駅周辺は禁煙になっていることも多いが,駅から少し離れた辺りまでは思いっきり吸われていた。

 筆者の前を歩いている人がタバコを吸っていたら,息を止めて早足で追い抜くか,道路の反対側に渡って別の歩道を歩くというのが常だった。

 タバコの煙の拡散とウイルスの拡散のパターンが同じだということは,2年前から指摘している タバコの煙とウイルス拡散が同じであるという件 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/6/24。1人がタバコを吸って歩いていたら,そのあと1分以上はタバコのニオイが残っている。ウイルスのマイクロ飛沫も同じように長時間同じ場所に漂い,他の人がそれを吸い込めば感染の危険がある。

 新型コロナウイルス禍3年目の夏に近づき,屋外でのマスク着用に対する緩和が進められているが,すれ違い時の距離によるマスクのありなしは,すれ違いの瞬間に相手がくしゃみや咳をする以外はそれほど問題ではない。むしろ,同じ方向に歩いている人がずっとおしゃべりをし続けることで放出されるマイクロ飛沫を,その後ろを歩いている人たちが連続して長時間吸ってしまうことのリスクが問題なのだが,一向にこの議論がない。

 さらに言えば,マスクの効果である。PM2.5対応の不織布マスクは最低限必要と考える。「マスクの性能よりもウイルスのサイズが小さい」という事実はあるが,不織布マスクの繊維に起こる微小な静電気によって,ウイルスがある程度吸着される効果が期待されるからである。医療用認定のN95マスクは息も通しにくいため,一般人にはきつい。一方で,布マスク,ウレタンマスクはマイクロ飛沫をほとんど通してしまうので,拡散させると同時に相手のマイクロ飛沫を吸い込んでしまうのを防げないので,罹患の危険性が高い。

 夏場,屋外でのマスク着用を,場合に応じて判断するのは合理的だと思う。周囲を見回して人がいなければ外していいし,会話もしなければ外していてもいい。しかし,外でおしゃべりをしないというシチュエーションは少ないし,1人でいることも少ない。くしゃみや咳を絶対にしないという人もいない。マスクを着けたり外したりするのも面倒である。したがって,できるだけ不織布マスクを着用し,人がいない屋外ならずらす,というぐらいの使い方しかできないのではないかと思うのである。

 なお,着用時にきちんと顔に密着させるのが望ましいのは言うまでもないが,咳やくしゃみをする瞬間にはマスクを押さえて息が漏れないようにしてほしい。正直,この咳・くしゃみエチケットができている日本人をほとんど見かけたことがない。

 くしゃみは突発的だし,アレルギー性の場合もあるから,エチケットができているならそれほど目くじらは立てないが,咳は,家を出るときにノドの調子を見れば分かるので,そこで休みを取るなり,コンビニでのど飴を買うなりして,電車の中でのノドのイガイガを抑える努力をしてほしい。

 

ありそうでなかった「スマホでQRコードを読んでPCで開く」アプリ【追記】

スマホで便利な機能の1つに,バーコードの読み取りがある。標準のカメラアプリでもできるし,数多くのバーコードリーダーアプリが提供されている。

 筆者も,クーポンの応募などに便利に使っている。LINEのともだち登録などにつなぐケースが多いので,特に不便は感じてはいなかったのだが,たまにWebページにアクセスするケースがあると,やはりPCで閲覧した方が見やすいこともある。

 スマホWebブラウザーのお気に入りに入れ,PCの同じWebブラウザーと同期を取っていればあとで開けるし,URLをLINEのメモやメールにコピーし,これをPC版のLINEで開いたり,メールで受信してもいいのだが,いくつもになると,その度に操作するのも面倒に感じていた。

 そこで,スマホQRコードを読んでPCで開くアプリがないかと探していたのだが,なかなか見つからなかった。多いのは,スマホとPCを同期させてファイル転送するアプリだが,今回の用途には向かなかった。

 やっと1つ見つけたので紹介したい。英語版だがそれほど難しくはないので,ニーズのある人は試してみるといいと思う。

 スマホで読み取ったQRコードをPC側のサーバーソフトにWi-Fiで飛ばす方法である。「Barcode to PC--WiFi」というスマホアプリ。AndroidiOSいずれにも対応する。以下のサイトからスマホ用アプリをダウンロードする。
Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.barcodetopc
iOS
https://apps.apple.com/jp/app/barcode-to-pc-wi-fi-scanner/id1180168368

またPC用サーバーソフト(WindowsMacLinux)を以下のサイトからダウンロードする。
・PC
https://barcodetopc.com/

 PC用ソフトを起動し,次にスマホアプリを起動する。同じWi-Fi環境に接続していると,スマホアプリがサーバーを探し,ソフトがインストールされているPCが表示されるので,クリックして接続する。
 スマホアプリのカメラを使ってQRコードを読み取り,「送信」すると,QRコードで読み取ったURLなどの内容がPC用サーバーソフトのウインドウに表示される。連続で複数のQRコードを読み取り,一度に送信することもできる。
 あとはその文字列をPCでコピーし,Webブラウザーにペーストすると目的のサイトを開ける。サーバーに対して1台のスマホ登録で,月間300送信までフリーで使える。

 Android用にはこのほか,「無線バーコードリーダー」というアプリがあった。こちらは日本版である。
Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.poyosoft.WBR
・PC
https://goo.gl/2kzYBY
 「無線バーコードリーダー」は,PC上の任意のカーソルの位置にスマホアプリで読み取った文字を飛ばすことができるのが特徴。URLをWebブラウザーの検索窓に直接入力できる。若干,自作っぽい雰囲気のアプリだが,安定して使える。

 QRコードが書籍に印刷されている場合,それをスマホで読み取り,PCに送る,という操作はそれほど多くないかもしれない。だいいち,QRコードは書籍の上ではあまり美しくない。あまり増えすぎる前に,もう少しスマートな方法がないかと思うのだが,リアルな書籍ではなかなか難しい。

 最近は,テレビとWebサイトをリンクさせるのにQRコードを画面上に表示させることが増えている。これをスマホで読み取ったあと,PCでじっくり調べるのに,このアプリは便利かなと思っている。まあ,それほど頻繁に使うことはないかもしれないが,仕事で単発的に大量のバーコードを読み取る必要がある場合に,思い出していただけるといいかもしれない。

【追記】このブログを書いたあと,デンソーからQRコードの高さ1/3という細長いrMQRコードをリリースしたとの発表があった 細長いQRコード登場 読み取り速度と情報量はそのまま“狭い場所”に対応。これが使えると格好いいかなという期待がある。従来のQRコードリーダーで読めるといいのだが。

ゼレンスキー大統領の発言に違和感--クリミアまで取り返すことに言及するとは意外

プーチン集団によるウクライナ侵攻から3ヶ月も経ってしまった。マリウポリの製鉄所でのウクライナ兵士の投降により,平和的な道に進むかと思ったが,残念ながらプーチン集団による攻撃は続き,さらにウクライナ軍による反撃も続いている。平和交渉が始まる気配がなく,また多くの人の命や街が犠牲になるという懸念がある。

 その中で,2022/5/24にウクライナのゼレンスキー大統領へのNHKの単独インタビューに応じた ゼレンスキー大統領「まずは領土を侵攻以前の状態に」 NHK単独 | NHK | ウクライナ情勢。家族の話などでは穏やかな表情を浮かべて答えていたが,戦いの話になるといつもの厳しい表情に変わった。その中で,侵攻された領土を取り戻すまでは停戦交渉はない,と語ったのが,非常に違和感を覚えた。今回,侵略された東部,南部を取り戻すだけでなく,先に侵略されたクリミアも取り戻すというのである。

 日本の第二次世界大戦終結のことを考えると,単純に見れば「広島・長崎に原爆が落とされるという最悪の被害が出て,国民のこれ以上の犠牲を出さないために昭和天皇が敗戦条件を飲んだ」という構図になる。

 ウクライナの場合も,製鉄所の制圧で戦火が収まり,平和交渉へと入ると思っていた。東部,南部はもともと親ロシア派が多い地域だし,さらにその西側の黒海へのルートを確保できることで輸出産業へのダメージも少ない状態で妥協できるのではないかと考えたからである。

 しかし,現状はウクライナの軍事援護をNATOが進めていて,ウクライナ軍への欧米の兵器供給が進んできたことで,停戦,敗戦を受け入れるという姿勢から転じて,士気の乱れや武器供給に陰りの見えてきたロシアを軍事的に押し戻そうという不屈の姿勢が見て取れる。

 取られたら取り戻すとは,何だかヤクザの抗争みたいに見える。その抗争の間にまた,多くの軍人と民間人,特に今度は親ロシア系の元ウクライナ人が戦火に巻き込まれることになる可能性が高い。また,NATO対ロシアの対立構図もますます先鋭化してしまう可能性がある。ここでプーチン大統領を追い込むと,いよいよ核兵器の使用の危険性が高まってしまう。

 世界的な食糧不足,エネルギー供給不安のことを考えると,ゼレンスキー大統領はここでさらなるゴリ押しをするのではなく,停戦提案,平和交渉の提案をロシア側に提案するのが,格好いいやり方だと筆者には思える。これ以上の戦死者を出さないことが,まず今すべきことだと思うのである。

船、落としますか--詰めの甘さを感じる【訂正あり】

2022年5月24日、知床半島観光船の引き上げが行われた。その後、港に曳航する途中で海中に落下したという速報を見た。

   深さ120mから一気に引き上げ、これを一気に港まで運ぼうという計画に、本当に大丈夫かな、と実は思っていた。もともと海流もかなり強く、また天候もかなり荒れていたからである。吊り上げるのに2本のワイヤーを使う、というところでも、やや心配していたし、その後、曳航する際に曳航船に固定した、と報じられていたが、ワイヤーの本数を増やしたかどうかも不明である。

【訂正】吊り上げに使ったのは,5本のナイロン製の帯で,曳航中にそのうち2本が切れて落下したとのこと。安全策は取っていたが,十分ではなかったようだ。2回目の引き上げには,さらに強度の高い帯2本を使うという。これこそ2本で大丈夫か,という心配も出ている。【訂正終】

 筆者が考えたプロセスは、ワイヤーで船体を引き上げたあと、その落下を防ぐために船体の下にトレイを挿し込み、そのトレイに載せて安定させたうえで船上に引き上げるというものだった。海上が比較的落ち着いていれば、そのままトレイごと船上に引き上げ,曳航するにしても船体に影響が及ばないようになるべく囲むぐらいの措置はすると思っていた。

 事故の証拠品である。すでに運用上の不備がいくつも明らかになり,刑事罰は免れないにしても,外的要因による浸水なのか,船体そのものの老朽化なのか,整備不足なのか,などの原因究明によって,責任が重くも軽くもなる重要な証拠品の扱いとしては,あまりにもズサンではなかったか。民間業者の勝手な判断で進められただけで,行政の指導があってしかるべきではなかったのだろうか。現場での立ち会いはあったのだろうか。

 落とした船体は,船底を下にまっすぐ深さ180mの海底に沈んだという。さらに引き上げが困難な深さであり,さらなる負荷がかかって事故原因の解明が難しくなることが考えられる。

 せっかく鹿児島からはるばる移動し,潜水士も加圧室で準備するなど,危険の伴う作業を無事に成し遂げられたと思っていた矢先で,海上での作業担当者に何らかの気の緩みや責任感の欠如があったのではないかと思われて残念である。潜水士もまた加圧室に入り直しになるのか,別の潜水士が対応するのか,これもまた命がけの仕事をしなければならない。

 潜水士による最初の調査で,行方不明の方の情報は得られなかったという。そもそも,浸水の連絡があってから実際に沈むまでに1時間以上もあり,急に沈没して船内に取り残されるという状況は想定できなかった。また,強い海流によって国後島で発見された方もおられ,船体付近に留まっている可能性はほとんどないと思っていた。やはり初動の遅れが残念である チグハグな日本の「可視化」技術--木を見て森を見ずの科学立国政策・自衛隊政策に失望感【追記】 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/4/29。

 東日本大震災の行方不明者が,11年経った現在も2500人を数えるという。震災の被害の大部分は津波と思われる。水の怖さを改めて考えさせられる。船の事故の場合,多くは岩礁との接触による船体損傷である。大型船の場合は,早めに気づいても進路を変更できないこともあるかもしれないが,小型船なら避けることもできるかもしれない。船舶への“i-サイト”(この場合は2つのソナーで障害物を検出して自動回避する)といった仕組みの開発・導入も必要かもしれない。

「屋外2m」というまた訳の分からない基準--会話がなくても,咳くしゃみで拡散

マスク着用の緩和基準が,厚生労働省から発表された。屋外で2m離れていれば,マスクなしで会話してもいい,という。会話なしなら,すれ違い時にマスクなしでもいい,という。

 人の後ろを歩くことは想定されていない。屋外で会話はないが,常に10分以上も同じ人の後ろを歩いている間に,咳やくしゃみをしない,という保証はない。咳・くしゃみエチケットがほとんどされていないのは,これまでにも何度も指摘したことである。止めようとして止まるものではない。それをなんとか拡散させないための咳・くしゃみエチケットだが,それも守られないようでは,マスクなしにする意味はないのではないか。

 「2m」という具体的な数字を出せば,マスコミ側からのツッコミをかわせると思っているのだろうか。

 オフィスでの席同士の間隔を2mとする話は以前からあった。しかし,マイクロ飛沫による空気感染が明らかになってからは,パーティションを設けることが推奨されたが,強制換気をしなければ結局はパーティションを越えて隣に流れていってしまう。

 「屋外2m」は,何の根拠もない数字に見える。海外だと,くしゃみをするときにオープンにする人はいないし,誰かがくしゃみをすると必ず「God bless you!(神のご加護を)」と言ってくれる。日本では,くしゃみのし放題である。そんな国で,マスク着用緩和など絶対にしてはならない。

 この発表を聞いて,「家を出たら屋外」として,会社までの通勤の歩道でも電車の中でもマスクなしで歩く人がほとんどだろう。筆者としては,4回目のワクチン接種まではもう一度,テレワーク態勢に戻りたい気持ちである。

 東京都も,「リバウンド警戒期間」である2022/5/22を延長しないと発表した。6月からは海外からの入国者が現在の2倍の1日2万人に拡大する。いよいよまた第7波への条件が揃ったという思いである。

「額縁」は5mmは欲しい--次世代ではスマホ画面は5型程度でよく,丈夫なことが求められる

スマホを使い始めてそろそろ10年になる。胸ポケットに収まるギリギリのサイズまで画面は大きくなり,使用時間を3日ぐらいまで延ばすために大型のバッテリーが搭載され,当初のスマホよりずいぶん重たくなった。文字入力をするにも,片手で持ったまま親指だけで入力,となかなか行かなくなり,両手で取り扱うことが増えた。

 最初に使ったモデルは5.1インチだった。スマホとしては軽く,片手で操作できるのが快適だった。当時,画面周辺の「額縁」と呼ばれる部分は幅が5mmほどあった。多少は外形よりも画面が小さくなるが,特に不自由には思っていなかった。パソコン用モニターでは,額縁が狭いモデルが大半を占める。画面サイズはギリギリまで大きい方が使いやすいからである。

 現在使っているモデルは5.5インチ。額縁は3mmほどあるが,最初のモデルに比べて丸みがある。右側のボタン操作をする際,画面に触れてしまうこともある。ということで,筆者は,スマホ画面の額縁賛成派である。

 ところが,世の中には額縁がほとんどないモデルや,側面まで画面が回り込んでいるモデルがある。側面まで画面にできるのは,有機ELモデルである。ここはタッチにも反応するのだが,どういうメリットがあるのだろうか。たしかに画面サイズは本体サイズとほぼ同じになるが,画面が指で隠れてしまったり,誤操作にもつながる。また,側面まで画面が回り込んだ場合,画面の左右が歪んで見えてしまう。

 自撮り棒で本体の側面をバネの力で挟むモデルが多いが,スマホの側面の強度が十分あるのかどうかいつも心配で,ほとんど使ったことがない。どう見ても,本体のすぐ下にディスプレイの周辺に付けられたフレキシブル配線板が巻き込まれており,それに多少なりとも歪が加わるのではないかと心配なのである。実際,画素数分の細かい配線を印刷したフレキシブル配線板がディスプレイの液晶パネルに接続されているので,そこに力は加えたくない。

 タブレットの場合はある程度重さもあるから,両手で操作することになる。入力操作をする場合は,片手で支えなければならず,必然的に親指を画面側にも回して支えることになる。額縁は1cmぐらいあってもおかしくないが,これもどんどん狭額縁化している。

 パソコン・モニターの狭額縁も流行りだが,これも1cmぐらいの幅があってほしい。個人的には,この額縁の部分に付箋を貼って仕事の予定の整理をしたいからである。しかし,狭額縁でしかも表面をザラッとした加工にしてあるため,付箋がすぐに外れてしまう。まあ,これは個人の好みもあるが。

 限界の額縁0mm,さらに回り込みまで最初に実現させたのは,台湾の液晶パネルメーカーであり,韓国の液晶パネルメーカーの有機ELディスプレイだった。特に有機ELパネルは日本が先行していたにも関わらず,量産ラインを作るだけの投資決定ができなかった。その前の液晶パネルの大型工場での投資で勝てなかったからでもある。有機ELを使った折りたたみ式のスマホも,コンセプトは日本やヨーロッパでは出ていたが,製品化までできたのは韓国メーカーだけだった。

 スマホの次に,メタバース用としていよいよ標準的になりそうなのがゴーグルやグラス(メガネ)だが,これも日本メーカーはほぼ手出しができない。さまざまなパネルを試作して検討している台湾,韓国,中国,そしてアメリカのメーカーに対し,コンセプトモデルしか提案できないのが日本である。なにしろ,実験しようにも自分たちの自由になるパネルが手元にまったくないからである。

 数年後には,メタバースパラレルワールドとして一気に花開くだろう。アニメやゲームに慣れた若い世代は,一気にメタバースに入り込んでしまい,実業としての農水生産物に関わる若者と二分してしまうかもしれない。

 筆者は,その中間としてのAR(拡張現実)でリアルとバーチャルのいいところ取りをしたビジネスモデルが性に合っているように思っている。ただ,メタバースビジネスに比べれば極めてマイナーとなるのだろう。そこでは,リアルとバーチャルを同時に表現できるARグラスがポイントとなると思っている。

 ゲームに特化したゴーグルをアメリカが,ARグラスを中国が,現時点では製品化されている。メタバースのコンテンツが足りないと,アメリカの企業を買収しようという動きもある。何か「思想」というものを感じない。筆者は,ARグラスを用いた現実味のあるデジタル空間での情報提供の形をイメージしている。そろそろ実験に入りたい段階なのだが,中国企業が正直,信頼ができないのも事実である。

 ARグラスとスマホは相性がいい。スマホをサブディスプレイとして使えるからである。メールを発信したり,検索したりするのに,手でスマホを操作し,結果をARグラスに表示する,といった連携が可能だからである。ゴーグルだと,完全にメタバース空間に入らなければならず,そのインタフェースは非常にまどろっこしいものになると考えるからである。そのとき,スマホフリック入力ができるだけの大きさがあればよく,片手で操作できることを考えれば,筆者が最初に手にした5.1型程度のスマホで十分ということになるのではないかと考えている。ポケットにも入りにくい5.5型はもう不要かなと思ったりするのである。

カネで人を雇うことについて--人のやる気と創造性を引き出す関係づくりが必要

企業への就職というのは残酷なものである。応募する側は,その企業の表の顔しか知らない。その会社の立派な社会的活動に参画できることに思いを馳せ,就活マニュアルに取り組み,エントリーシートに必死にこれまでの自分をアピールし,試験や面接に臨む。しかし相手は,企業そのものではなく,ただの人事部の人間である。自分の思いや熱意がどれほどあろうと,人事部担当者はそんなことはほとんど見ていない。単に,育ち,学歴,過去の誤ち,そして言葉遣いなどの社会常識,それも就活マニュアルの完コピーかどうかをチェックし,点数を付けて並べて,上から選ぶだけである。

 実際,学生がどれほどの数の企業にエントリーしているだろうか。仮に50社にエントリーしたとしよう。本当に自分が仕事をしたい会社を第1候補としたとして,では第2候補以下はどういう位置づけになるのだろうか。単に同じ業界に入りたいという思いから,いわゆるライバル会社にもエントリーする。それでいいのかな,という気もする。

 業界1位の企業と2位以下の企業では,おそらく思想がまったく異なる。トップ企業は市場での優位性を獲得しており,潤沢な資金を使ってさらに前進しようとする。その動きはほぼ変えることができない。正解であろうと不正解であろうと,その流れについていくことを求められる。個人の意見などほぼ通らず,ただ歯車となって動かされることになる。黙々と働き,より上の歯車になることが,仕事であり,その立場の仕事以外のことは何もできない。森が見えない状態になる。

 逆に2位以下の企業は,必死でトップを目指す。こちらも歯車になる以外にはないが,トップを追い落とすためにあらゆる手段が講じられる。場合によっては法律スレスレのトリックで切り抜ける場面もあるだろうし,道を誤ってさらに転落することもある。一種の賭けでもある。

 どの会社でも,最初からやりがいのある仕事を与えられるわけではない。この時期がいちばん苦しい。5月病という言葉はいまだに健在である。心を弾ませて入社したのに,自分の思いと違うと感じてしまう人は多い。かつては終身雇用制と言われていたので,必死に食らいついていったものだが,現在は自分の将来は大企業であってもまったく保証がない。3ヶ月ぐらいで辞めていく若者も多い。そして,派遣社員やアルバイトで食いつなぐという道に入ってしまう。

 戦後の高度成長期に日本経済を支えた大企業の多くが,儲けを出せない状況にある。重工業,自動車業界,電機産業,エネルギー産業,コンピュータ,金融業,運輸業,観光業のいずれも,自立できる道がない。原料を海外に頼ったり,部品を海外から輸入したり,すべて海外依存状態で,ひとたび経済の流れが変わると途端に取り残されて動きが取れなくなってしまっている。為替に翻弄される面も大きい。

 日本国内に大きな市場があった時代はよかったが,経済が低迷して国内市場が縮小した。企業は経費を抑えるために,投資を抑え,人件費を削減した。日本人労働者も賃金は上がらず,海外からの研修生を安い給料で働かせて辻褄を合わせてきた。これによって,日本人の労働市場がさらに縮小し,行き場がなくなっている。高度成長期なら,汗水を流して働いても給料はどんどん上がって行ったから良しとしていたが,給料がまったく上がらない状況で,苦しい汚い仕事は敬遠される。海外からの労働者にとっては,それでも自国での収入の数倍は得られるので,頑張って働いてくれる。ウエットな手作業をしなくなった日本人は,ドライなコンピュータ作業などを目指すが,ここでは英語の壁が待っている。すでにパソコンもネットワークもAIもメタバースも,すべて英語圏の企業の独創的な発想によって先行独占され,その歯車に入る以外に道はなくなってしまっている。

 現在の英語教育も,はなはだ情けない状況にある。小学校での英語義務化が始まったものの,結局日常的に英語を使うわけではないので,ネイティブやバイリンガルにはなれない。英語でモノを考えるぐらいのパラダイム・シフトがない限り,日本は「歴史的に行って観る価値のある国」としてしか残らない。人口の減少によって経済衰退に拍車がかかり,一方で老人が残って国をさらに食いつぶすという悪循環に入りつつある。

 モノづくりはもう無理だろう。メタバースでは「企業」ではなく「個人」として活動する人が勝つ。リアルの企業にこだわっていては,収入は得られない。企業が給料で人をつなぎ留めることは,難しくなってくる。リアルな企業との関係は,得られる収入分の仕事をするだけというドライな関係になる。かつての日本企業の強みだったチーム力や「カイゼン(改善)」などは,ほとんど行われなくなるのかもしれない。

 企業は,営利目的である。お客様におカネを出させるような魅力的な製品,商品,商材を提供する必要がある。そのための知恵は,熱意のある人間からしか生まれない。かつてMicrosoftAppleなどが1人あるいは数人の仲間から成長したように,熱意と発想で突き進む企業がどんどん生まれてほしい。

 正直言って,現在の就職活動ほどムダなものはないのではないかと思うのである。どの企業に行っても将来性が見えてこない。かと言って,Youtuberが世界経済を救うとはとても思えない。

 筆者は,世界経済を救うのは,やはり「リアルなモノ」だと思うのである。食糧も作らなければならない。エネルギーも作らなければならない。病気も克服しなければならない。ゴミを減らし,海を救い,ほかの生き物も救わなければならない。

 若い人には,リアルにモノを見てもらいたい。物理や化学,生物の実験や観察をベースに,命を守り,生活必需品をどうすれば生み出せるかを考えて取り組んでほしい。もちろん,農業や水産業の新しい流れを作ることは必要だし,新エネルギーのための技術開発も魅力的である。エンタテインメント,金融,ゲームなどばかりを目指さないでほしいのである。

 時間が来たら家に帰れるような仕事は,その企業にとっての発展性がない。何か新しいものを生み出すには,常にアイディアを膨らませるだけの余分の時間が必要である。人との時間外の交流も重要だし,時間に拘束されない働き方も役に立つ。企業がカネで人を雇うにしても,雇われた人が自分の能力を発揮できるような環境を整え,単に歯車にしないような考え方が必要だと思う。そういう意味では,新型コロナウイルス禍によるこの2年間のテレワーク生活は,自分の創造性を非常に高めたと思っている。