jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

プラごみのリサイクル意識と現場の矛盾--担当者に怒られた件

筆者の住む自治体では,ゴミの分別を燃えるゴミ,プラスチックゴミ,燃えないゴミ(破砕ゴミ),およびリサイクルが前提の段ボール,ペットボトル・ビン・缶,小型家電,電池,衣料などに分別収集される。

 筆者宅ではこのほか,紙類,新聞紙などは専門の業者(といっても信じてはいないが)に持ち帰ってもらっている。またペットボトルと再生可能なプラスチックを近くのスーパーマーケットのリサイクルボックスに持ち込むことにしている。

 先日,溜まったペットボトルと食品トレーなどをリサイクルボックスに持ち込んだ際,担当者に怒られた。分離が甘い,というのである。

 まず,透明なプラパックだが,シールの剥がし跡が残っていた。たしかに剥がそうとした形跡はあり,表面の印刷された層までは剥がれているが,粘着層が残ったままだった。これを完全に取らなければリサイクルできない,というのである。

 たしかにそれは正論だとは思うのだが,そもそもシール類は剥がれにくいように貼ってあるので,剥がし残しがかなりの確率で出てしまう。これに対応する接着シール技術はあると思うが,結局はコスト優先になるのだろうか。

 かつては,ペットボトルでも缶詰でも,商品説明のシールがべったり貼られていた。現在では,切り取り線から割いたり,接着個所が1個所だったり,面積を最小にしたり,さらにはシールなしでボトル本体にレーザーで刻印する技術まで実用化しつつある。大手の飲料メーカーだからこそできる方法なのだろう。一般食材向けに認識が広がることはないのかもしれない。

 次に怒られたのが,色付きパックである。「透明ケース」のボックスには入れてはいけないという。たしかに透明ではないが,素材は同じである。中には2色成形で,蓋は透明,底は色付きというパックもある。この場合は,色付きの底の部分は切り取って,家庭のプラスチックごみとして処理する必要があるのだそうだ。

 さらに,半透明のパックもそのものにはリサイクル可能と書いてあるのだが,「透明ケース」のボックスには入れてはいけないと言われた。これも「うーん」と思ってしまったが,たしかに透明パックとは材質が異なるから混ぜてはならない点は理解したのだが,なかなか納得し辛い部分もあった。

 一方で,発泡スチロールは,白であっても色付きであってもOKなのだという。ところが,同じ発泡スチロールでも,納豆のパックはダメだと言われた。たしかに納豆メーカーのホームページにも「納豆菌の残量や臭いなど、リサイクルに必要なレベルまでの洗浄が難しいため」と書かれている。

 これは大いなる矛盾を感じる。すでに,ハンバーガーチェーンでは発泡スチロールのパックや,ドリンク容器をほぼなくし,紙製のパックやドリンク容器に置き換えている。紙パックの納豆も販売されている。発泡スチロールを大量に廃棄していることになる。コスト優先,生産性優先のこの体制はおかしいだろう。これは業界に改善要求を突きつけなければならない点ではないだろうか。

 さて,担当者によると,そこのリサイクルボックスでの分別があまりにも酷いため,ペットボトル以外のプラスチック容器の回収はなくす予定なのだという。たしかに中を覗いてみると,家庭でレジ袋に詰め込んだままボックスに入れているモノもあった。さすがに担当者の怒りも理解できた。

 ほかにも,コンビニエンスストアにあるゴミボックスに,家庭ごみをそのまま捨てる人もいると聞いている。こうなるともう,リサイクル意識などまったくない。観光地やスポーツ施設,駅などからゴミ箱がどんどん消えているのも,ゴミ捨てに対する意識の低さ,マナーの悪さが原因と言われている。それにしても,皇居の敷地内にすらゴミが捨てられているのを見ると,「日本にはゴミがなくてキレイ」という海外観光客の言葉が白々しく聞こえる。彼らの多くは,サービスを提供するホテルや指定飲食店など,キレイなところばかり歩いているからそういう感想を持ちがちだと思われる。しかし,「戦後の高度経済発展を遂げて成功した日本」という付け焼き刃はもう剥がれており,実際,「自分たちの国よりは多少はマシ」程度の印象に変わっているだろうし,面と向かって日本批判も聞こえてくる。当然である。

 ビジネスとしても,産業廃棄物から家庭ごみまで,海外の貧しい国に運んで廃棄処理しているのが日本である。クルマもかつては,ぺしゃんこに潰して鉄くずとして流通していたが,今,そういう処理をしているのを見たことがない。個別にバラバラにして部品転売した後は,山の中に放置するのだろう。バッテリーのリサイクルも結局ほとんど行われていない。乾電池や蛍光灯ですら,おそらく成り立っていないはずである。

 ペットボトルですら,おそらくリサイクル率は50%ぐらいで,あとは廃棄か焼却である。プラごみも,家庭用ゴミで分別回収はされるが,結局は焼却炉で焼却処分している。環境意識の高さをアピールするためのスーパーマーケットのリサイクルボックスだが,残念ながら今の日本人にはリサイクル意識がなくなっているために,サービスを止めざるをえないという状況のようである。

 レジ袋を配布から有料に変えたスーパーマーケットだが,見ているとまだ半分ぐらいの客がレジ袋を購入してでも買い物をしているように思える。もっと思い切って「レジ袋は販売していません」と銘打ち,入店する際にエコバックを持っていない人は入店できないぐらいの規制をしてもいいかもしれない。

 リサイクルも,担当者が常駐し,1点1点指導しながら分別回収することで,地域の住民の意識を高めることができるのではないか。筆者は怒られたが,指導してもらったお陰でリサイクル意識は高まっているのを感じている。「うるせーな」と言う若者ばかりではないと思うのである(おそらく,年寄りの方が「うるせーな」と言って言うことを聞かないのではないだろうか)。

 この指導担当者も,スーパー側が手配するのではなく,自治体,自治会など,地元で協力することではないかと思うのである。実際,ご近所でも自治会に入らない家もたくさんある。ゴミ捨てルールも守られない。災害時に助け合いができるのかどうかも心配である。首都圏直下地震とその影響が心配されるこの頃である。