jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

災害時のトイレ問題--大と小を分けることでカサを減らし移動させやすくする

能登半島地震から4ヶ月になる。いまだに断水が続いている地区もある。断水で問題なのは飲み水だが,もう1つ問題なのがトイレである。

 水洗トイレが当たり前になっている現在,トイレを使うたびに大量の水を使って下水に流す。その下水も地震で破損している。水道が復旧して,水洗トイレが使えるようになっても,その流した先の下水が復旧していなければ,どこかで汚水が溢れてしまう。

 災害時のトイレの扱いとして,ビニールに吸水性のあるシートを敷き,水分を吸収させてしまう方法が一般的だが,吸水性マットは水を含むとカサが増える。ほかには漏れないが,どんどん溜まるという問題がある。

 そこで,なかなか実際には難しいとは思うが,大と小を分けることで別々に処理する方法を考えてみた。

 まず,大は固形物として「生ゴミ」扱いで密閉する。生ゴミを捨てる際に,水分を切るのと同様に,小と混ぜないようにするのがコツである。一般のゴミ用の大型袋はにおい漏れの可能性が高いので,二重にしておく必要があるようである。

 一方,小は液体として別途,ペットボトルに入れて密閉保管する。長距離ドライブの必需品として,ペットボトルに小を取るためのゴム器具が売られており,用をたす際にまず小をペットボトルに入れるところから始めることで,大と小をかなりの確率で分離できる。

 ペットボトルは密閉性に優れており,小を集めたあとキャップを閉めて保管しておく。応援が来た際,帰りに持ち帰ってもらい,処理を依頼する。仮に1ヶ月溜まったとしても,外ににおいが漏れなければ後の処理は任せられると考える。

 さて,分離した大の方だが,こちらを密閉して移動させる方法はなかなか見つからない。家族の排泄物でも多少の遠慮は出てくる。なるべくにおいをかがない工夫がほしい。手軽に使えるものとして,食パンなどの包装に使われるPP(ポリプロピレン)袋は,におい漏れが少ない特徴があるので,いざというときに活躍するかもしれない。とりあえず,ゴミ袋単位で保管するしかないのだろう。

 筆者が最も期待しているのは,「電気焼却式トイレ」であり,世の中に複数の企業が簡易トイレとして製造販売しているのだが,残念ながらこれまでの地震災害時に活躍したという報道を聞いたことがない。能登半島地震で話題になったのは「トイレカー」だが,これはただ溜めるだけで,容量がいっぱいになれば移動しなければならない。移動した先で処理できるかどうかも分からない状況では,導入しても長期の運用は難しいかもしれない。

 一方で焼却式トイレは,加熱して乾燥焼却することで,1/10以下の量の衛生的な灰が残るだけなので,これを濡れないように保管しておけば後の移動処理も楽なはずだと思うのである。断水が復旧するのに3ヶ月もかかったが,孤立地区を除いて電気は1ヶ月で復旧した。こういう場合に,焼却式トイレは役に立つと思うのである。メーカーはもっと積極的に活躍してほしいと思うし,自治体も災害時装備として常備し,他の自治体で被害があった際には応援に持ち込むような体制が広がってほしいと思うのである。

 個人的には自宅のトイレ問題用に,家族5人が1週間使える簡易トイレセットは備えてある。しかし,とりあえずその程度である。吸水シートを使い,におい漏れもなく保管できると思うが,大地震の際に1週間後にゴミ収集ができるとは考えにくいし,仮に水道が復旧したとして,一般的な水洗トイレの水を下水に流していいかどうかも疑問である。下水管も被害を受けている可能性が高く,流した汚水がどこかで噴出するなどの問題を起こすかもしれないからである。

 それほど,今の日本は「水洗トイレ」に慣れ切ってしまっている。トイレットペーパーの使用長さの件 - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2021/3/11)は,東日本大震災から10年の日に書いたブログだが,汲み取り式トイレの時代に生まれた筆者にとって,今の若い人のトイレットペーパーの乱用は目に余るものがある。おそらく筆者が使う紙の量の5倍は使っているのではないかと思われる。正直,災害時にタンク式の公衆トイレのトイレットペーパーがあっというまに消費されるだろうし,ゴミの量も半端なく,タンクがあっという間に満杯になるのではないかと恐れている。これも,水に流せば溶けてくれる,という思いから,いくら使ってもいいと思っているからではないかと思うのである。しかし,水洗トイレの水の使用量が節水設計によって減り,トイレも下水も詰まりやすくなっている。ここにも矛盾が起きている。

 災害時には,「水が使えない」ことを前提として,扱いやすい方法としてまず小を分離することを考えたいと思う。女性にとっては慣れないことだろうが,先に紹介した緊急用のゴム器具は男女兼用になっている。慣れは必要かもしれないが,トライしてほしい。筆者家族もクルマでの旅行用に車内に常備しているが,幸か不幸か何とかサービスステーションにたどり着いており,使用するには至っていない。用をたすためのポンチョも用意してあるが,これも使ったことはない。災害時には役に立つと思っている。