jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「かしこまりました」が言える若者--サービス業のバイト経験か

若い人と話をしていて、ときどき分からない略語を出てくるのは、もはや仕方がないと思っているし、これも1つの言語の進化と思う部分もある。「ダブチ」「エグチ」と聞いて,野球選手の名前かと思ったら,ハンバーガーのメニュー名というのでビックリした。ダブチ=ダブルチーズバーガー,エグチ=エッグチーズバーガーなのだそうである。お店も若者に焦点を合わせているのかもしれないし,単なる商品CM上の演出かもしれない。

 さて,そんな若者と話す機会はそれほど多くないし,知り合いもいるわけではないのだが,たまたま街中で聞こえた若者とその上司との会話の中で,若者が「かしこまりました」と受け答えをしたのを聞いて,またビックリした。こんな言葉を知っているんだ,と逆に驚いたのである。

 筆者はずっと「わかりました」「了解しました」という受け答えしかしてこなかったように思う。ところが,この言い方は対等な立場同士の間では問題ないのだが,たとえばお店の客に対して受け答えする場合は,客の方が上なので「かしこまりました」「承りました」という謙譲語を使う必要がある,ということを最近になって知った。

 「わかりました」「了解しました」は“理解した”という意味なので,場合によっては「あんたの言っていることは理解できたよ」といった響きにも聞こえるらしい。目上の人からすると,カチンとくる言葉なのだそうだ。そういう意味では「なるほど」という相づちも,失礼な言葉になるようである。

 メディアの仕事をしていると,つい相手と同じ立ち位置で会話をしてしまう。別にへりくだらなくても,聞き手に徹していればいいと思ってきたからである。この歳になって,相手に対してへりくだることになるとは思わなかったが,そういう指摘も受けたので,意識するようになった。

 若者の口から「かしこまりました」という言葉が発せられたのは,コンビニや飲食店などの接客業界でのアルバイトの経験があるからなのではないかと思った。そういえば,某家電ショップで携帯電話を契約する際,応対してくれた店員の受け答えは「かしこまりました」一本だった。何十回聞いたことだろうか。そういう教育もされているのだと感じた。飲食店でも,店主が客を大事にする姿勢をバイト店員も含めて指導するのだと思う。そういう経験が,社会に出ても生きているのかとも思った。

 ちなみに筆者は,上司との間はフラットであるべきだと思っている。メディアの世界はフラットだという意識があり,社内でも役職で呼んだことがないし,後輩に対してもずっと「さん」付けだった。もちろん社長に対しても「さん」付けである。今の会社でも基本はフラットを通している。ぜんぶフラットな方が面倒くさくなくていい。そういう意味で,客商売,接客業は自分には合わないかもしれないと思ったりする。

 接客業の基本は,客とのコミュニケーションである。商品を通じて価値を提供するとともに,客の心を動かす会話が求められる。一言の誤りで関係が一気に崩壊してしまう。そういう環境を経験するためのバイトであれば,その後の人生に役に゙立つはずなのだが,近年のバイトが学費や生活費のために学業そっちのけで時間を割いてしまっているようでは,本末転倒なような気もする。そのストレスがバイトテロといった悪事に回ってしまっている可能性も否定できない。

 天狗になるのは問題だが,接客の経験の中で蓄積したエネルギーをプラスに昇華して,新しいビジネスに展開するエネルギーに変えてほしい。実際,アルバイトやボランティアの経験を基にした若者の起業の話題もよく聞くようになった。一般就職がブラックになりつつある現在,行動力のある若者も増えているのかもしれない。新しいパワーに期待している。