「MS365」障害ほぼ復旧 米マイクロソフト (msn.com) (2024/6/28)。世の中、何でもクラウド、何でもサブスクが当たり前になってきた。ローカルPC がトラブルを起こす確率よりも、サーバーがトラブル確率は圧倒的に低い。
しかし、所詮は人間が作ったモノであり、人間が運用しているモノである。トラブルゼロということはない。
バグもたくさん含まれる。そのバグを解消するためにアップデートする作業も人間がおこなう。ヒューマンエラーをゼロにはできない。
そのトラブルがいったん発生してしまうと,影響が大きいのがサーバー系であり,クラウド系である。要するに,クラウド系のトラブルは,いわゆるライフラインのトラブルであり,インフラのトラブルと言うことができるからである。
ローカルPCのトラブルの多くは,電源をいったん落としてリスタートすると9割以上は正常に戻る。トラブル時に作業していた内容は保存されていないことが多いので,本人にとってダメージは大きいが,所詮,個人が触っていたデータなので最初から作り直してもたかが知れている。ソフトによっては,トラブル発生時の状態まで修復できるように自動バックアップ機能を搭載していることもある。
もっとも,ハードディスクやメモリーそのものが動かないほど破損してしまった場合は,そのデータの取り出しには専門の業者に依頼する必要があり,時間とコストがかかる。どこかに定期的にフルデータをバックアップしていれば,そのPCを廃棄して新しいPCに乗り換えるという選択もできる。しかし,個人ではなかなかバックアップを習慣にするのは難しい。
ところがサーバー系,クラウド系のトラブルは厄介である。基本は,ローカルPCと同様,電源を落としてのリスタートだが,そもそもサーバー系のコンピュータの規模が大きいため,リスタートにも時間がかかる。またシステムはリスタートできたとしても,運用するまでにユーザーデータも大量に復帰させて読み込まなければならない。
さらにそのトラブルの原因がソフトのバグだったりすると,バグを見つけるのにも時間がかかるし,その修正にも時間がかかる。
もっと厄介なのは,トラブルの原因として,外部からの不法侵入,いわゆるハッキングを受けたり,複数のPCからサーバーに同時アクセス攻撃を行うDDoS(Distributed Denial of Service)を受けた場合に,引き続きその攻撃の影響を受けてしまう可能性があることである。
今回のトラブルは,MicrosoftのOffice系である。個人のデータはローカルPCに残っているだろうが,処理系が動かなくなっては同社にとっての信頼度も下がってしまう。
ここのところ頻繁に起きている電話系キャリアでの通信トラブルや,銀行,郵便局,デジタルマネー系の決済システムのトラブルなどによって,場合によっては世界中で何百万人,何千万人というユーザーがトラブルに巻き込まれてしまう。
ケータイ通信系では,固定電話の利用やLAN経由での情報通信でバックアップできるし,決済系もいざとなれば現金のやり取りで代用できる。ただ,ATMにカードが吸い込まれたまま返ってこないなど,代用の効かないトラブルもないわけではない。
個人利用のPCソフトでは,クラウド系に全面以降しつつあるのがMicrosoftのOffice系とAdobeのクリエーティブ系で,サブスクリプションによる毎月の支払いが前提となっている。筆者ご愛用のファイルメーカーも,最新の2024はクラウド系になっている。
クラウド系のメリットとしては,バージョンアップをユーザーがしなくてもクラウド側で自動的に進められる点が大きい。その分,ユーザーサポートも減らせるし,常に最新の状態にできるため,外部からの攻撃に対しての守りの強化を常に図ることができる。しかし,今回のようなトラブルがあると,ユーザー側のデメリットとなってしまう。システム的には課金を止めるなどで代償するのかもしれないが,その運用も大変である。
筆者は,Officeは2021のパッケージ版で止めている。またAdobe系はかなり古いがCS4を使い続けている。ファイルメーカーは2024でクラウド系になってAI機能を搭載するなど,お化けシステムになりつつあるので,個人としては最後のパッケージ版と言われる2023をようやく導入した。
個人的な感覚から言えば,Officeなら2003で十分だし,AdobeもCS4で十分である。PhotoshopのAI機能による背景伸ばしが場合によっては欲しいときもあるが,おそらくあと1回ぐらいしか使わないので,デザイナーに任せればいいと思っている。
ファイルメーカーもリレーション機能が付いたVer.8で実はほとんどやりたいことは実現できる。ただ,条件に従ってセルを色分けするといった細かい使い勝手はVer.12が必要になる。個人ベースでの利用は基本的にはこのバージョンで続けたいと思っているところである。
とにかく,利用頻度に関わらず,毎月費用がかかるサブスクが嫌いなのである。買い切りの方がスッキリするのである。インフラとして提供されている電話やネットワーク,電気・ガス・水道は仕方がないが,情報処理系はローカルで十分だと思っている。いやむしろ,クラウドと常時つながることで,クラウドのAI化が加速する中で,情報の勝手な拡散に対する不安も増えている。すでにgoogleにはメール情報もメールの連絡先情報もmapによる位置情報も,すべて把握されているはずだし,AppleはiPhoneやApple Watchから個人の健康情報まで収集をしている。これ以上,勝手に情報収集されては困るのと,その情報が非友好国や不適切団体に流れないという保証がまったくなくなっている点が,恐ろしく思っているところである。
詐欺事件においては,暗証番号を聞き出すのが詐欺側のテクニックであり,人的にパスワードを聞き出すことで被害を受けてしまう。ところが,クラウド系の場合,パスワードの解析はコンピュータが自動的に高速にほぼ総当たり方式で読み取ってしまえる時代になっている。いくら複雑にしても,その複雑さを作る個人のパターンをAIが分析することで,いとも簡単にパスワードを取得できる時代になってきている。
いざというとき,ネットワークからうまく遮断できるか,また遮断しても必要な処理が続けられるか,そういうことまで考えると,これ以上クラウド系に身をさらすのは嫌だなと思っている。すでに,google,Yahoo,Amazon,LINEには相当な量の情報を提供してしまっていると後悔もしているところである。