jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

路線型飲食店だけができる新しい物流作戦の提案

新型コロナウイルスの感染者が,下げ止まりどころか,やや増加に転じている。感染力が1.7倍という変異ウイルスの割合も増えてきている。2021/3/21の緊急事態宣言解除については,筆者は否定的である。

 国民の行動制限があるために,打撃を受けているのが観光業,交通機関,そして飲食業である。今回は,飲食業の今後を考えてみたい。

 密にならない飲食の典型は,高級飲食店である。客単価が高いので,1日の客数が少なくても売り上げが上がる。仕入れ値が下がっている分,利益も出やすい。客は政治家だったり,経営者だったりで,固定客をつなぎ留められれば,継続も可能である。時間短縮の影響はあるだろうが,表看板を下ろしてしまえば,中で営業継続していても問題ない。自粛期間中に起こった政治家や役人の接待などの問題は,このパターンで生じたと言える。

 固定客のない街中のお店が厳しい。これまでもテイクアウトや弁当,宅配などで販売数を確保する作戦が取られ,ある程度成功したお店もあれば,失敗したお店もある。

 もともと評判のお店は,そのネームバリューでお客を集めることはできる。ハンバーガーショップなどはもともとテイクアウトの割合も多く,それほど影響がなかったのではないか。人気のラーメン店で,テイクアウトの工夫をしたお店もあった。

 しかし,通りすがりのお客さんに看板や価格表でアピールしていたお店は,お客様へのアプローチがそもそも難しい。味の評判もできていないため,店頭で弁当を販売してもなかなか売れないという状態ではなかったろうか。固定店での販売は,たとえメインストリートでも難しい。

 固定店舗から移動できるキッチンカーに業態を変える選択をしたお店も多い。待つ作戦から攻め込む作戦で,お客様に近いところに移動して,個数を確保する。ニーズのある病院や高齢者施設,団地など,新しい市場を開拓できたお店もあるようだ。

 新型コロナウイルス禍の中で,人の動きが制限されているが,逆に動きが活発になっているのが物流である。これまで,ショッピングでお店に足を運んでいた客に代わって,在宅でのオンライン注文が増え,これを宅配便が届けるというパラダイムシフトである。

 食材についても,家からのオンライン注文,宅配便でのお届け,という動きが起きている。飲食店においても,オンライン注文を受けて新しい「出前」のスタイルが始まったが,ショッピングの宅配の場合は,その物量作戦によって「送料無料」を実現しているが,「出前」の送料は,お客様の負担になっている。お客様側も収入源などで倹約をしているため,「出前」も限界が来ている。次は「送料無料」をどう実現するかが,この作戦におけるブレークスルーになるだろう。サブスクリプションでの定期的な配送,Amazonなどの宅配のシステムとのコラボなど,大胆なパラダイムシフトが必要だと思う。

 もう一つの新しい提案は,キッチンカーをお客様側だけでなく,食材側にも利用し,食材の調達から調理,そして販売まで,飲食店が物流も担うスタイルである。

 このスタイルのいいところは,食材の調達の自由度が増えることにある。特に,市場に出回らない,廃棄直前の食材を低コストで仕入れることで,利幅を増やすことができる。運送にかかるガソリン代や時間のロスは,販売場所も移動することでかなりカバーすることもできるのではないだろうか。

 たとえば,2組でチームを作れば,同じ販売場所を交互に使うことで,販売と調達を1日置きにするなどの自由度が増える。せっかくの販売場所をほかのキッチンカーに取られてしまう危険もなくなる。

 筆者の好きなテレビ番組の「鉄腕DASH!」の企画に,「0円食堂」というのがあった。廃棄寸前でほかに使い道のない食材をただでいただき,これを料理にして食材を提供していただいた方におもてなしをする,という企画である。捨てられてしまう食材を使うという点もSDGsにかなっている。これの本物版が,キッチンカーによる調達・販売である。

 クルマの積載容量に余裕があれば,食材そのものを恵まれない家庭に届ける役割を持ってもいいだろう。一人や二人では難しいが,1,000軒もの店舗が集まれば,大きな力になる。飲食店にとっても,農家にとっても,お客さまにとっても,そして恵まれない家庭にとっても,Win-Winになるのではないだろうか。

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