jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

指導者が変わらない怖さと変わる怖さ

イギリスのボリス・ジョンソン首相が,同国のロックダウン中に首相官邸でワインパーティーを繰り返し開いていたことが明らかになり,退陣を迫られている。

 イギリスは,2020年12月31日午後11時にEUからの離脱を完了した。EU離脱を推進した同首相は,強いリーダーシップでこの一大事業を成し遂げた。前任のテリーザ・メイ前首相もリーダーシップのある指導者であると思っていたが,ジョンソン首相はその体躯や髪を振り乱して演説するその姿に,筆者は頼りがいを感じていたものである。

 国民に新型コロナウイルスに対する強い行動抑制措置を発令し,一丸となって取り組むという姿勢を示していたと思っていた裏側で,規制破りを自ら行ってしまうというのは,大変残念である。さすがに今回の事態は,退陣に追い込まれるのではないかと予測する。

 ドイツも,16年の長期政権を続けたアンゲラ・メルケル前首相に代わり,2021年12月8日にオーラフ・ショルツ首相が政権を執った。

 21世紀は,イギリス,ドイツ,ニュージーランドなど,女性指導者が多く出てきた印象がある。統計が更新されていないが,内閣府にも資料がある 平成19年版男女共同参画白書 | 内閣府男女共同参画局 (gender.go.jp)。しかし,先進国で逆行傾向となっている背景に,指導者の変わらない国の脅威があるのではないかと考える。

 指導者が変わらない国として,中国,ロシア,そして北朝鮮が挙げられる。いずれも社会主義をベースとした国である。中国の習近平主席は2012年から,ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2000年から,北朝鮮金正恩最高指導者は2011年から,いずれも10年以上の政権を維持し,引き続き政権が継続されることが予想されている。

 いわゆる自由主義国家の各国が,法律によって連続政権の期数を決めていたり,公平な選挙によって選ばれるため,なかなか長期政権は難しい。ドイツのメルケル前首相は    2005年11月22日~2021年12月8日の16年,日本の安倍晋三元首相でも2012年12月26日~2020年9月16日の約8年,アメリカのトランプ前大統領は1期4年で2017年1月20日~2021年1月20日だった。

 北朝鮮金正恩最高指導者とアメリカのトランプ前大統領は,会談を重ねていたが,現在のバイデン大統領は金正恩最高指導者と対立している。中国の習近平主席とは,トランプ前大統領もバイデン大統領も対立した状態にある。ロシアのプーチン大統領とは,話し合いは続けられているものの平行線をたどっており,ウクライナ侵攻をめぐって欧米各国との緊張がピークに達しようとしている。

 2020年初に世界中を巻き込んだ新型コロナウイルス禍の最中に,アメリカ,イギリス,ドイツ,そして日本で指導者が交代した。交代に伴って,コロナウイルスに対する対応方法も,社会主義国に対する対応方法も変わる。交渉を進める外務大臣や経済関係大臣もガラッと変わるので,継続的に行わなければならない交渉の引き継ぎや申し渡しが十分にできないこともある。

 指導者が交代すると,各国の内閣も総入れ替えになる。交渉に当たっての相性の良し悪しもある。それまでの経緯を十分に咀嚼していなければ,裏をかかれる可能性もある。立場上,長期政権側に強みがある。社会主義の3国が,いずれも軍事的な動きを進めているとき,自由主義各国がコロナ禍で足元が揺らいでおり,十分な共同歩調が取れていないのが気になる。

 ロシアは感染拡大を押さえきれておらず,2022年に入って1日1万5000人だった感染確認者数が,1/25では67,219に急拡大している。中国は数百人規模,北朝鮮は感染者ゼロと発表している。特に中国は,北京での冬のオリンピックが2/4に始まることから,北京での監視体制の強化,西安では1ヶ月のロックダウン後1/24に解除され,ゼロ封鎖に成功したとしている。

 どうも,自由主義国側の分が悪い状況になっている。足並みが揃っていない。ワクチンの世界供給でリードしたアメリカだが,ワクチン接種率が上がってもオミクロン株のようにすり抜ける変異株が突然登場するなど,完全に掌握している状況ではない。ロシアも中国も,それぞれ自国で開発したワクチンがあり,接種率などは不明だが,ロックダウンや徹底的なPCR検査によって感染拡大を押さえ込んでいるように見える。

 エネルギー対策や地球温暖化対策,食料対策など,世界全体で取り組まなければならない問題に直面しているのだが,対策の遅れが気になる。地球はどこに行くのだろうか,と不安になるのである。

 新しい自由主義各国の指導者がガッチリタッグを組んで事態に当たってほしい。イギリスの次期政権,そして3/9に迫った韓国の大統領選挙など,不安定な要素が残る。とにかくまず,コロナ禍をどう鎮めるか,日本がリーダーシップを執ってほしいものである。