jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「津波の恐れはありません」だけは断言するメディアの不思議--「不起訴の理由を明らかにしていません」で終わる報道も不思議

2022/7/5朝、福島県地震があった。通常はすぐに震源地と地震規模、震源の深さがニュースで流れるのだが、今朝の地震では各地の震度が先に報じられた。「震源地が海底の場合、津波の恐れがあります」との放送があった。そして程なく、震源地が福島県の沖合いにあることが報じられた。

   すかさず「この地震による津波の心配はありません」と断言するコメントが続いた。

   いつも不思議なのだが、なぜ放送局は、津波がないと断言するのだろうか。「この地震による津波の心配はないと、気象庁は発表しました」と伝えるべきなのではないか。放送局に断言する根拠や権限があるのか。またもし、津波が発生したら、どう責任を取るのだろうか。

 もう1つ,ニュースでいつも不思議に思うのが,「検察は不起訴の理由を明らかにしていません」というコメントである。

 事件が起き,加害者が捕まると,メディアは「○○容疑者」と表現する。法律用語としては「被疑者」というらしい。逮捕され,送検され,起訴されて初めて「被告人」になる。さらに裁判で刑事事件において刑が確定した「犯罪者」のことを「犯人」と呼ぶそうだ。

 目の前で行われた殺人の加害者であっても,裁判で刑が確定するまでは「犯人」と呼べない。犯罪者の人権を守るため,また事件を起こしたときの精神状態によって責任が取れない場合には刑が確定せずに無罪になることもあり,「犯人」のレッテルを貼らずに「疑わしい人」と呼ぶ。変な段階で「犯人」と書いてしまうと,名誉毀損や人権侵害などで訴えられることもあるからだろう。

 逆に,近親者間での殺人傷害事件でも,何らかの配慮がほしいと感じるケースがある。報道されて気の毒だなと思うケースが,介護疲れによる殺害や,家庭内暴力に対する正当防衛での殺害などである。

 事件が起きる前に手を差し伸べられなかったのかと思うとともに,報道では「容疑者」「逮捕」などの言葉が使われてしまう。おそらく殺害などの事実は認めるため,起訴されて「被告人」と呼ばれてしまう。しかし最終的には「情状酌量」や「精神耗弱」などの理由で減刑となることが期待される。それでも刑が確定すれば「犯人」となってしまう。無差別殺人と同じ呼ばれ方をしてしまう。何か別の適切な表現ができないものかと,いつも違和感を覚えている。

 ところが,どう見ても犯罪を犯し,被害者も出ている事件において,検察が起訴しないというケースがたびたび報道される。「検察は不起訴としました。検察は不起訴の理由を明らかにしていません」と杓子定規に表現される。

 起訴しないのは,裁判で争っても有罪にできないからだとすると,「証拠不十分」とか「個人情報に関わるため」とか,何らかの理由があるはずではないかと思う。検察を取り扱ったドラマで「不起訴の理由は明確にはしません」と言ったら,それはストーリーにならないではないかと思うのである。

 この「不起訴の理由を明らかにしない」という表現が平気で報道される神経がよく理解できない。それをまた「検察が明らかにしないから」と責任を転嫁して,報道するという自分たちの責任を放棄している。ならば,「不起訴の理由は明らかにできませんでした」と報じて,取材できなかった自らの責任を明らかにすべきだと思うのである。