jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

台風は恐ろしいが,線状降水帯はもっと怖い--英語のTrain-ing(列車のように繋がった)の方がわかりやすいかも

台風も線状降水帯も地震も,いずれも自然災害なので,どこで起きても不思議はない。たまたま筆者の自宅周辺は,ここ50年ほどは何の災害も起きていないが,実家で起きた阪神淡路大震災が70年ぶりということを考えると,とりあえず地震はいつか来るのだろうと覚悟しなければならないかもしれない。

 過去最大級の台風14号が,現在九州を縦断した後,今度は本州を縦断するコースを取っているところである。九州全体が暴風域に入るという異例の台風による各地の被害が報道されており,被害に遭われた方にはお見舞い申し上げたい。ただ,いつこれが自分が被害を受ける側にならないとも限らないところが,自然災害の恐ろしいところである。

 実際,九州も台風そのものの被害はもちろんだが,多くの地域で大規模な停電が起きたことによる精神的なダメージも大きい。正直,停電は一瞬のうちにやってくるので,地震と同じように人の心にパニックを起こさせる。筆者もちょっとした停電でも大慌てしてしまうタチなので,これが数時間,あるいは数日続くなどという状況は,耐え難い。さまざまな非常用発電機や大型バッテリー,さらにはEVの導入を考えたりするのも,停電に対する恐怖があるからである。結局,個人が管理できる安全な発電方法はほとんどないことに気づく。

 さらに今回は,台風14号が吸収に上陸した9/18の同じタイミングで,台風の影響と見られる線状降水帯もどきが,静岡から埼玉,東京にかかった。雨雲レーダーを見ていると,まさに線状で数時間にわたって局所的に連続的な大雨が降った。都内の目黒川が越水し,渋谷駅前も冠水した。埼玉県でも,越谷で街中が冠水した。筆者も実は昼間,都内にいたのだが,夜帰宅時に家の近くまでは雨が降らなかったが,直前にこの線状降水雲にぶつかってしまった。雷を伴う大雨で,家の近くも一気に冠水した。たまたま,筆者宅の近くは,ゲリラ豪雨などの集中豪雨で冠水するが,30分待てば小川に流れ込んで行くので床下までは来ないというありがたい土地柄で,今回も同じように水は引いていった。

 それにしても,イメージとしては台風の強風域の外でも雨雲が発達することは考えられるが,それが線状になるのはあまりイメージできなかった。台風12号のときに,北海道や秋田県で大雨になったときは,東西に前線ができたためと思われるが,今回は風の向きによって南北に雨雲が連なったということなのかと思われる。

 今回の14号は,中心気圧が最大で910hPaまで下がり,九州上陸時でも930hPaだった。伊勢湾台風並みの最大級と言う事ができる。風も瞬間風速が70m/sと非常に強かった。

 移動速度が自転車並みに遅くて影響が長引いたと言われているが,それでもピークは数時間程度だったと思われる。台風の移動に伴って,雨も風も弱まることは予測できる。

 台風による降水量が,500mmあったとしても,大部分は重力の法則に従って短時間に流れ去ってしまう。台風の移動に伴って広い範囲に降水するとしても,移動しながらの降水なので,積算されることは少ない。

 これに対して線状降水帯は,どこで起きるか分からないことと,いったん発生すると半日から2日と長時間,雨が連続して降る。同じ500mm降るといっても,広範囲にわたって常に降り続くので,下流に流れていく流れがどんどん積算されてしまう。これによって,一級河川のような大きな川でも堤防を越水したり,堤防が崩壊したり,内水氾濫につながる理由である。

 さらに長時間降ることによって下流に流れ去らずに地面にもどんどん染み込んでしまう。これが,土石流や土砂崩れなどの二次災害を引き起こし,大きな被害が出るのである。

 地震も,震災クラスになると被害範囲が広く,また水道,電気,ガス,道路などのインフラが広範囲にわたって被害を受けるため,確かに復旧に時間がかかる。しかし,2度3度まで同じ揺れを受けることは少ない。多くは1回目の揺れによって被害が出るだけで,その後の復興生活はある程度の平穏な状況で進められる。東日本大震災津波熊本地震の2回の大きな揺れによる被害は,地震そのものというより,二次災害によるものである。特に津波は,水による土地そのものへの災害であり,復旧という考えが成り立たないかもしれない。

 線状降水帯による水の被害も,インフラどころか,土地そのものが崩壊してしまう。家の土台ごと流されたり,地形そのものが変わってしまう。津波と同様,水の力の恐ろしさを見せつけてくれる。

 地震や台風は,いわばボーリングである。威力のある球を投げればボーリングのピンは吹っ飛んでしまうが,コースをはずれればガターに落ちて当事者国は被害を受けない。1発勝負で短時間で勝負が決まる。

 一方で線状降水帯は,例えは悪いが電動パチンコかもしれない。多くの玉を撃ち込むことで,クギの振動に変化が起き,当たり穴に入る確率が上がる。これも悪い例えだが,フィーバーで大量に玉が連続的に出てくる様子が,土石流にも見えてしまう。

 地球温暖化によると見られる海水温度の上昇で,日本へのスーパー台風の襲来が増えると予想されている。前回の12号の進路予測の正確さについてこのブログでも紹介した 台風11号の進路予測が正確だった件--スーパー台風が今後どんどん発生するのが不安 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/9/7。今後もぜひ予測を当ててほしいものだが,突然発生する線状降水帯も,ぜひ予測していただきたい。

 しかし,根こそぎ広範囲に被害が及ぶ線状降水帯は,実は台風よりも恐ろしい存在かもしれない。ただし,線状降水帯を名乗らせるなら,その幅と長さ,それぞれの領域での連続時間確率,そして線状降水帯を構成する複数の雲が基本的にどの方向に動きながら次々とやってくるのかを表示してほしい。実際,線状に見えても線の方向に雲が連なっているのか,前線のように線の直角方向に動いていくのかによって,連続して降る時間の見当が付けられるからである。

 ちなみに,英語では「Training」と呼ぶようである。いわゆる「トレーニング」と同じ言葉なのだが,むしろ「Train」(列車=トレイン,繋がっているもの)から連想した方が適切だろう。逆に「連結豪雨現象」と言い直した方がわかりやすいかもしれない,とは勝手な発想である。