jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

関西の墓じまいの後,都内にペット共葬の小さい洋墓を作った件--次の世代分までは確保

墓じまいは時代の流れかー家族とは何かを考えるきっかけになった件 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/4/24 で筆者の関西にある墓を墓じまいしたことを書いた。その後,1ヶ月も経たない5月に,愛犬1匹が14歳の誕生日の3日後にあの世に旅立った。ペットと一緒に入れる墓を実際に探す段階になって,さまざまな思いが頭を巡った。

 予算の面からは,樹木葬をまず検討した。マンションのような都会型の墓も考えた。コンピュータ世代としては,インターネットで自宅からお参りできるのも便利かなと考えた。しかし,いざ遺骨が手元にある状態を見て,ゆっくり落ち着ける場所を探そうという気になった。

 ペットと共葬できる墓地を検索してみると,やはりそれほど多くはない。首都圏だけしか検索していないが,各県に数ヵ所しか見つけることができなかった。筆者の自宅のある市内には1件もなく,県庁所在地か,あるいは東京都内か,という距離感のあるところしか最初は見つからなかった。都内の案件も,一度も行ったことのないエリアにあるが,将来,お参りしてもらうには便利かもしれないとも考えられた。

 そうした選択肢の中で,隣の市に1件,隣町に1件,一般霊園でペット共葬できる案件を見つけることができた。いずれも行ったことがない地域なのだが,隣町というちょっとした安心感があった。家からもクルマで30分ほどで行くことができる場所だった。6月に契約し,9月に完成。確認をして設置を完了した。

 墓じまいした関西の墓は,普通の和墓だった。墓の土台の周りには空間があり,ぐるっと周囲を見ることができた。新たに選んだ霊園は,基本は洋墓で,これを1列にびっしりと詰めて設置する。通路から見て奥側に石のプレートがあり,そこに墓名が彫られている。お参りは正面からだけになる。専有面積も1平方メートルに満たないが,普通の骨壷なら8体は収められるという。とりあえず次の世代までは使ってもらえることを意識した。

 もう1つ,ここが気に入った理由は,この洋墓が地面に埋まっていないタイプだったことである。普通の和墓でも海外のお墓でも,通常は遺骨を地面より下に置いて「土に帰る」ことで埋葬する。妻の実家の和墓に義理の両親を埋葬する際にも立ち会ったが,関東の墓は墓の下に部屋があり,そこに降りて入り,骨壷を並べるスタイルが一般的である。ドラマで出てくるお墓もだいたいがそのようなスタイルであり,それが当たり前だと思っていた。

 一方,墓じまいした関西の墓は,墓の下には骨壷を並べて置くだけのスペースしかなく,中に入って作業するスタイルではないという。さらに,多くの場合は骨壷を使わず,サラシの布に遺骨を入れて墓の中に置くのが関西流だという。骨壷だといつまで経っても遺骨は残るが,サラシの布に入れた遺骨はいずれは土に帰るという考え方だという。たまたま,筆者の関西の墓は,骨壷のまま収める形を取っていたため,母の遺骨を分骨でき,その先祖の遺骨も骨壷の形で確認した後,共同埋葬していただくことができた。

 その関西の墓の遺骨収集を自分の手で行った経験から,今回選んだ洋墓は,関東風の骨壷のまま埋葬するスタイルと,関西風の地面を深く掘らないスタイルの両方のいいとこ取りをしていると思い,ほぼ独断で決めてしまった。変な話だが,「土の中よりは多少は居心地がいいかな」という思いである。

 通常の墓地も排水路は整備されており,雨が降っても墓の中に水が入ることはまずないらしい。ただ墓室が地面より上になっている今回の洋墓の方が,より居心地がいいかなと感じている。いずれ筆者もここに埋葬してもらうから,自分の居場所としても納得した次第である。

 今の時代に,石の墓を作るのは時代錯誤かもしれない。日本という国の将来,首都圏の直下型地震や富士山の噴火の可能性,地球規模での大災害,そして国同士の壊滅的な戦いの可能性などを考えると,「先祖代々」という言葉も死語に思えてくる。自分の骨だけ共同墓地に埋葬して終わり,とした方が,後の世代を縛ったり迷惑をかけることもないかもしれない。海への遺灰の散骨も流行っている。

 しかし,マンション型のお墓も値段が上がり続けており,希望者が減少しつつあるという。経営という観点でお任せしていいのかどうかという疑問もあった。機械式のシステムが次の世代まで維持できるのかも考えなければならないだろう。土地のない日本では,一般庶民は共同墓地でいいのかもしれない。筆者の場合は,ペットとの共葬という希望があったことで,新しい墓を作るという選択をした。

 筆者の父も,実家の墓を墓じまいし,関西の実家から行ける寺に仏壇型の室内墓を作った。一度お参りをしたきりになった。その墓は兄が墓じまいをし,また別の場所に移した。なんだかこうしてみると,結局は世代ごとに墓を移していることになる。墓を作った本人は良かれと思っても,次の世代にとっては不便だったり重荷だったりするのが,現代社会なのだろうか。何か,もっと自由なやり方があってもいいような気がするが,法律によっていろいろとがんじがらめな部分もある。

 筆者家族は,たまたま我が家の家族となった2匹の犬が強い求心力となったと思っている。「彼らと一緒に眠りたい」という強い意志で,今回の新しい墓を作る決心ができた。墓碑にも親の戒名とともに愛犬の名前も彫った。周りの墓もみな,愛犬,愛猫との思いが込められている。個人的には,いい選択だったと思っている。