jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

辺野古や万博は「今」必要なのか--世界情勢が変わった今,日本に利するかどうかの再考を

2023年9月,沖縄県名護市辺野古アメリカ軍基地移転先の地盤改良工事について,最高裁判所沖縄県側の敗訴が確定した。工事の総額は90億円,着手から完了まで9年3ヶ月かかるという。辺野古へのアメリカ軍普天間基地の移設問題は,1995年に遡り,2015年に政府と沖縄県が協議するなど,紆余曲折がすでに30年近く続いていることになる。

 正直,これから10年かけて地盤改良をしたとして,おそらくそこに基地は作らないのではないかと筆者は考える。2000年を境に世界情勢がまったく変わってしまい,日米安全保障条約がおそらく機能しなくなっているからである。

 今,もしアメリカ軍が沖縄の基地を必要と考えているなら,それは日本を守ることではなく,台湾を守るのが目的だと考える。2000年を境に中国の軍事力が急速に増大し,これに対して台湾の政権が,中国寄りか台湾独立かで大きく体制を変える可能性が出てきている。仮に中国寄りの政権が誕生した場合,アメリカ軍は沖縄から撤退するだろう。兵站(武器の供給)力が中国本土と沖縄ではまったく勝負にならないからである。

 辺野古への移転を裁判で確定するというのも変な話である。裁判所は「憲法」「法律」に照らし合わせてどちらが正しいか間違っているかを判断するだけで,今回の裁判も「手続きに問題なし,法律に問題なし」という判断だけで沖縄県の提訴を退けたと考えられる。そこには,変化する世界情勢も,危機に陥っている地球環境も,反映されていない。手続きだけが進んでいるだけのように思える。

 同じように,2025/4/13~10/13に大阪で開かれる予定の万博(万国博覧会)も,会場の工事が進んでいない。海外パビリオンや会場インフラの整備が、建設業界の人材不足や資材価格の上昇などで遅れている。当初の建築費は1850億円だが,これが大きく上回るようである。

 万博の建設費を見ると,辺野古の地盤改良工事のなんと20倍である。海外の建設業者も二の足を踏んでいる。日本の業界の人材もおそらくまったく足りない。海外から人を雇ってまで突貫工事をして,まともな設備ができるとは思えないし,それを半年で取り壊すことになるのだから,まともな考えとは思えない。1970年の万博は経済効果と日本の存在感アピールができたが,これと比較するまでもなく今回は経済効果も日本の存在感アピールもほとんど期待できない。海外からの観光客もわざわざ万博を見にくることは考えられない。

 政治家は,自分の成し遂げた業績をアピールすることだけが生き甲斐のようである。「中止する」という決断ができない。今回も,カネの行き先である土木建設業界の圧力が目に見えるが,カネが回ったとしても人材がなく,また危険作業をする人が日本にいなくなりつつある状況で,この2つのプロジェクトを中止するという決断はできないものだろうか。

 新型コロナウイルス禍で1年間の延期をしてまでも開催した東京オリンピック2020(開催は2021年7月)。このときも何度も中止を提案した。経済効果はまったくなかった。その後,ロシアによるウクライナ侵攻が2022年2月に勃発し,いまだに収束していない。米中関係,米ロ関係もますます険悪になってきている。こんな世界の緊張状態の中で,箱物行政でお祭り騒ぎをする日本が,世界の人たちにどのように映っているのか,考えてほしいところである。ちなみに,東京オリンピックの経費は1兆4238億円だった。

 そのカネの使い道は正しいのか,もう一度考え直さないと,日本は壊滅する。