jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

3Dプリンターによるコンクリート平屋住宅に,別の意味での期待

住宅も3Dプリンターの時代? 早く安く丈夫 業界にもメリット (msn.com) (2023/10/25 毎日新聞)という記事を読んだ。工場でコンクリート3Dプリンターで射出し,整形して部品を製造し,現場で組み立てるだけ,という。

 コンクリートの部材は重量があるからか,とりあえず平屋仕立ての家である。なかなか個性的なデザインである。

 この記事の中で気になった記述があった。「木造住宅の耐用年数は25年程度とされているが、3Dプリンター住宅は47年と倍近い」というのである。

 木造住宅の耐用年数は25年程度,というのは衝撃的である。つまり,1世代しか持たないということになるではないか。ならば中古住宅は,すでに耐用年数を過ぎているということになるのではないか。

 ある住宅メーカーのCMに「100年住宅」とうたわれていた。目指してもたった100年だという。これなら3世代ということになる。それでも「その程度なのか」という思いがある。

 確かに数千年続いている神社や寺も,だいたい30年ごとに材料を総入れ替えして維持してきている。25年~30年というのは,人間の手による造形物の寿命なのかもしれない。コンクリート住宅が50年として2世代。その後の解体性やリサイクル性などをかんがえると,これもまた将来的に問題が出てくるような気がする。

 個別の部材を見ても,壁や屋根の塗装は10年しかもたない。場合によっては5年である。その都度メンテナンスを依頼すると,足場を組んでの大きな作業となり,費用もバカにならない。水と太陽光の影響をまともに受ける屋根材は,最も過酷な条件にさらされ,1箇所のヒビ,1箇所の穴から一気に家全体への影響が広まる可能性がある。なにしろ,屋根材の下に敷いてある防水シートそのものが,5年ほどで劣化してしまうからである。

 海に囲まれた日本は,塩害を受ける可能性も高い。また偏西風の影響で中国からの大気汚染物質が到来し,これが酸性雨となって屋根や土壌を汚染する。コンクリート素材なら大丈夫というわけではないだろう。

 岐阜県白川郷富山県五箇山にある世界遺産の藁葺き屋根の家は,10年ごとに屋根の葺き替えをして維持してきている。素材を準備するのは大変だが,いわば稲作の廃棄物を流用しており,リユースである。葺き替えた藁は燃料や肥料として使える。文明の力で発明した素材よりも,身近な素材を応用する方が理にかなっているような気がする。

 今回の3Dコンクリート住宅が平屋づくりという点は評価したい。地震国で2階以上の建物は倒壊の危険性が高い。特に重い素材であるコンクリートを複数階使えば,下層階が弱くなる。また雪国での屋根への積雪も,建物に負担をかけるし,雪下ろしの事故も平屋づくりだと危険性は減る。

 平屋づくりであれば,自分で屋根のメンテナンスも容易になる。はしごを掛けるだけでチェックできるからである。

 筆者は,結婚に続いて新築の建売の2階建て住宅を購入した。それからおよそ30年になる。現在は子どももペットもいてオーバーポピュレーション状態だが,いずれ子どもが巣立って行けば夫婦2人の住まいに戻るだろう。すると部屋が余ってしまう。筆者夫婦が別の小さなアパートに移り,ここを子どもの家族が引き続き使ってほしいと願ってはいるが,それは次の世代の人たちの考え方次第である。筆者同様,新しい物件に入りたいと思うかもしれない。また住む地域も今のところに限定できるわけではない。

 筆者の関西の実家は兄が継いだが,阪神淡路大震災でかなり傷んでおり,また戦後の安普請のこともあり,兄はこれを解体して新しい家を建てた。もっとも,土地の半分を売却した資金があったからできたことでもある。すでに100m2単位に小さくなって分譲されている筆者宅では,売る土地もない。

 子どもが育ったら,別荘のようなイメージの家でのんびり過ごすことをイメージしていた。家の周囲にそれなりの広さの土地があって,平屋建てで日曜大工をしながら,ゆったり過ごす,といった夢を持っていた。2000年を過ぎて日本経済が低迷し,筆者の収入も低迷から激減へと変化し,唯一の財産が今の家と土地という情けない状況である。小屋のような家でもいいからどこかに持ちたいと思っても,もはや難しい状況である。

 戦後の文化住宅やアパート,そしてマンションから億ションと,日本の住宅がどんどん高層化してきているが,人口減少も始まり,そろそろ平屋建てへと見直しがあってもいいかもしれない。

 3Dコンクリート住宅のように,工場での一貫生産による品質管理ができることは重要である。何しろ,正直言って,建築,土木関係の業者の半分は悪徳商法や手抜き工事,水増し請求など,信頼が置けないからである。平民は,この3Dコンクリート住宅を安く供給してもらえないだろうか。外装がほぼ同じなので,個性は内装で出せばいい。寿命が木造の2倍,火災や地震にも強い。水害の被害も減るかもしれない。さらに言えば,ミサイルや核兵器のシェルターとしても効果が期待できる。1個,注文したいところである。