jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

保守だけでは維持できない日本--人材育成,産業育成で「日本を潰すわけにいかない」と世界に思わせる政策が必要

最近,「保守」という言葉が頭に浮かんできた。高度成長期から50年が経過し,鉄道や道路,橋などの交通インフラや,集合住宅そして個人の家まで含めて,「結局,人が作ったものの耐用年数は50年」だと改めて認識したことがきっかけである。特に公共のインフラを維持するためのメンテナンスに膨大な労力と時間と費用がかかるため,「橋守」の業務を一般人のボランティアに委託するなどの話題がある。しかし,それで寿命がさらに何十年も延びるわけではない。点検や補修を先延ばしするための仕組みでしかなく,いずれ崩壊して事故を起こすことは,トンネル天井崩落などを見ても明らかである。これらを事前に知ることはほぼ不可能に近い。センサーを付けて監視するといっても,正直言えば取り付けて1年ぐらいは24時間監視をしていても,その後は惰性でおろそかになる。気が付いたときには事故になっている,というのが関の山である。

 クルマにも膨大な数のセンサーが付いており,不具合を事前にキャッチしてくれる。これを車検のタイミングで人が判断し,事故につながる前に部品交換などを勧められる。しかし,本当にそのメンテナンスが必要だったかどうかの責任は誰も取れない。予防策としてのメンテナンスがまったく不要なこともあるし,メンテナンスによって別の不具合の引き金となって事故が起きる場合もある。最近,100万キロ走破したクルマが話題になったが,エンジンは最初のままだが,ほかの部品はそれなりに交換をしている。まさにこれがメンテナンスだが,最終的には設計者も不在となり,仕組みを理解できる技術者もいなくなってしまう。

 日本の木造建築で1000年以上という例も少なくない。伊勢神宮法隆寺東大寺なども歴史が長い。しかし,これらは約50年周期でほぼすべての材料を入れ替えて建て直しを繰り返している。伊勢神宮の周囲の膨大な土地と森は,その資材を確保し続けるためだという。火災で消失した沖縄の首里城の復元には,材料集めに困窮しているといわれ,前回の消失では台湾の木材がかろうじて手に入ったが,今回は足りないようである。間伐材の集成材を使うことも検討されている。

 さて,保守(メンテナンス)の話から始まったが,実は気になったのは「保守(conservative)」の方である。保守系政党と言えば現時点では政権政党である自由民主党公明党かなと思ったのだが,「コトバンク」の定義によると,保守政党は「現体制を維持し、伝統的価値を重視することに利益をみいだしている政党。急激な変化を嫌い漸進的改革を好む」とあり,「共産党を除くすべての政党が保守政党に変質した」と定義されていた。

 conservativeの訳として「消極」という意味もあるようで,独創的な政策は結局取れないということのようである。

 戦後の政党が,新しい日本を発展させるためにゆっくりと改革を進めてきたのだが,いまや世界の回転するスピードにまったく乗り遅れているように見える。経済で中国に抜かれ,技術開発でも中国・韓国・台湾に抜かれている。SDGsという国連のキーワードに1人振り回されている間にEVも中国にお株を奪われた。先進的なロボットはアメリカ,先進的なAIもアメリカ,そしてパンデミックとなった新型コロナウイルスでも,ワクチンも特効薬も開発できず,まったくお手上げ状態だった。ウクライナ紛争に至っては,アメリカやNATOに不用意に同調したためにロシアから非友好国とされ,天然ガスの輸入ができず,北海漁業交渉もストップしてしまった。そのうえ,「ウクライナ侵攻に先立って日本が侵攻目標だった」という話も出てきており,防衛能力も反撃能力もない日本は,恰好のカモ状態にある。これに乗じて北朝鮮も日本を標的にミサイルの性能向上実験を一気に進めている。防衛費を拡大しようが,ロシアのICBMが1発飛んでくれば日本は消え去るという緊急事態とは思えない対応である。

 永世中立国であるスイスが国家を維持しているのは,強力な軍隊を持っているからである。ロシアと2400kmもの国境を接するフィンランドが何とか自国を守っているのは,有事に国民が都市部から田舎へと分散して国民を守れるだけの土地の広さと,ほぼ全国民が都会以外に別荘を所持していることが挙げられるという。仮に核攻撃を受けても国民に被害は最小限に抑えられるという読みである。

 戦後に構築してきた経済大国日本は,すでにメッキが剥げて,土台から崩れてしまっている。核攻撃の実験台になる前に,「日本を潰すわけにはいかない」と思わせるような政策を打ち出し,国民をリードしなければ,本当に日本は存在価値のない国になってしまう。筆者が提案している水素エネルギー大国,農水産物の工場生産,微細藻類の大量生産などの魅力的な付加価値産業に「選択と集中」をかけて臨むしかないのではないか。それにはmaintenanceもconservativeも必要ない。もちろんcommunistとも違う,日本人らしい礼節と温かさのある世界貢献のある政治を望みたい。ただ,その前に経済的,文化的,教育的にも破綻・崩壊のシナリオが見えているのが厳しい現実である。

 筆者が問題意識として取り組んでいる教育の多様化と社会の多様化で人心を安定させるとともに,しっかり外貨を稼げる上記産業の育成と,GNP拡大,個人収入増による安定した家庭づくり,これにつながる人口の健全な増加というプラスのスパイラルをぜひ実現させたい。日本を経営破綻・破産させてはならない。