2023年11月28日,核兵器禁止条約第 2 回締約国会議が国連本部で開かれた。核保有国であるアメリカ,ロシア,中国,インド,EUなどは不参加,被爆国である日本も不参加である。
日本が不参加なのは,アメリカの核の傘の下にいるからなのだが,本当にこの傘の下で安全なのか,というのが,今回のブログである。
広島や長崎,そして各国での核実験の後,また原子力発電所の事故の後を見ても,核物質による放射線被害の異常さは,普通の人間であれば誰もが理解できるはずである。外傷はもちろん,身体の中まで侵されてがんの発生リスクが高まり,さらにその影響が子孫にまで及ぶ可能性を持っている。現在の核弾頭の能力が,広島型原爆の数百倍,いやそれ以上と聞いただけで,そのような兵器を使うことは相手国を殲滅し,相手国民を根絶やしにするような卑劣な行為であることは明らかである。
しかし,核兵器による抑止力があったのは,第二次世界大戦から冷戦の間までであり,21世紀に入った現在,これらよりもっと恐ろしい「無人・集団兵器」が登場した。ドローンによる絨毯攻撃である。
ドローンに先立って,GPSを駆使して命中精度を高めた巡航ミサイルが,奇襲攻撃で相手の司令部を破壊するというピンポイント攻撃で使われた。テロ組織のリーダーを追い込み,最後は地上部隊が仕留めたとはいえ,巡航ミサイル攻撃が極めて効果的に使われた。
しかし,正確なピンポイント攻撃ができる巡航ミサイルは,数を多く所有することができない。やたらに打てるものではない。
ところが,同じGPSを利用するドローンは,1つは自爆型の低コストのドローンを大量に同時作動されることで,広範囲を一気に攻撃することができる。1機のドローンに積める爆弾は大きくなくても,これが100機集まれば相手を一気に殲滅できる。
もう1つは民間用のさらに低コストドローンに殺人兵器を搭載して,個人を狙い撃ちにできるようになったことである。カメラを搭載し,相手に近づき,簡単な銃を発砲して殺害する。建物の中に侵入して自在に飛び回ることもでき,物陰に隠れても見つけることができる。かつては人間が映像を見ながら操縦していたが,すでにAI技術を使って標的を判別して自動的に攻撃できる能力も持たせることができている。
ドローンが,「貧乏国の核兵器」と呼ばれるように,すでにウクライナ紛争でもウクライナが飛行型の自爆ドローンや船舶型の自爆ドローンでロシア軍に応戦している。そのロシアですら,他国からドローンを購入してまで,ウクライナ攻撃を続けている。終わりがない戦いになってしまっている。しかしロシアが核兵器を使うことはおそらくできない。
核兵器廃絶は,行われるべきだが,人類はIT技術を駆使して新たな残虐な兵器を手に入れてしまった。核兵器が,おそらく制御できずに相手を無差別攻撃するのと同様,IT技術で無差別攻撃するドローンやミサイルは,もっと悲惨な結果を招くように思える。ドローン兵器も禁止すべきであると,筆者は考える。