ハマスによるイスラエル攻撃が2023年10月7日に始まって1週間が経過したが,戦いがますますエスカレートしている。イスラエルの地上部隊による侵攻も準備が進んでおり,これにアメリカが武器供与を宣言した。
イスラエルは世界有数の軍事大国である。今回ハマスも奇襲攻撃で3000発ものミサイルをイスラエルに一気に打ち込み,ほかにドローン攻撃も加わった。鉄壁の防衛システムもこの集中攻撃で破られ,イスラエルにも多くの犠牲者が出た。民間人が標的になっている今回の紛争は,戦争と言ってもおかしくない。
ロシアとウクライナの紛争は,ロシアは節度を守って侵攻を始めたことが分かる。チェルノブイリ原発やザポリージャ原発への攻撃は,展開が予測できなかっただけに卑怯はやり方と思ったが,基本的には軍事拠点への攻撃だった。逆にウクライナがNATOを味方に付け,アメリカも味方に付け,そしてドローン攻撃という新しい手法で抵抗を続けている。核兵器を持つロシアが,通常兵器の整備まで手が回らなくなり,小国ウクライナに手を焼いてしまっている。核兵器を使えないなら,もはや早々に手を引いた方がいいと思える。ここで核兵器を使ってしまえば,もはやおしまいである。
しかし,ロシアは北朝鮮から通常兵器の供給を受け始めた。これがウクライナ侵攻に使われることになるだろう。イスラエルからの自爆型ドローンの供給も,ハマス-イスラエル紛争によって停まってしまうからである。
一方でアメリカは,友人国であるイスラエルを全面サポートするだろう。その分,ウクライナへの関与は減る。武器の供給も減る。ウクライナ紛争もまた新しい段階に入り,厄介な状況が生まれてしまうような気がする。
さらにこれらの混乱に乗じて,北朝鮮がハマスと同じような奇襲作戦を決行しないとも限らない。正直,金正恩総書記の思考レベルはゲリラ組織とあまり変わらないからである。その攻撃先は,アメリカではない。韓国および日本である。まず韓国の軍事拠点を叩き,反撃能力を減らしてから日本にも攻撃を加えるだろう。
アメリカは,ロシア,ハマス,そして中国の3つの相手と同時に戦いを余儀なくされていると言われている。そこで重要なのが中国の立場である。
まず,アメリカはイスラエルによるハマス侵攻に全面的に協力するだろう。その隙をついてロシアのウクライナ侵攻が激化する。北朝鮮も動き出す。
これらを止められるのは,中国の習近平国家主席しかいない。テロ組織であるハマスの殲滅を容認し,その間にロシアのプーチン大統領と協議して,ウクライナとの打開策を提案し,双方に対して経済的な支援を約束することで,紛争を収める。同時に,北朝鮮にも軍事国家から経済国家への転換をうながす。核兵器をオモチャにすることがないように金正恩をなだめる。
要するに,新型コロナ禍を救ったのがワクチン開発で先行したアメリカだったのに対し,現在の紛争状態を救ったのが中国であるという事実を生み出し,「世界の中で優れているのはアメリカと中国である」ことを不動の事実にすることが,今の中国にとって重要なのだと考える。その説得力を持っているのが,習近平だと思うのである。
まずは,国連に協力して人道街道の設置に協力するべきだろう。早急な決断が必要と思う。