jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ホワイトカラーがいなくなった日本--ビジネスの凋落の印

「ホワイトカラー」と言っても、今の若い人には通じないかもしれない。ワイシャツを着用する仕事、つまり、いわゆるビジネスマンのことである。

    戦後の経済発展の中で、会社勤めの人を主に指していた。これに対して、工場で働く人は、その作業服の色からブルーカラーと呼ばれた。

     ここで誤解のないように念のため、「カラー」はcollar、つまり「エリ」のことである。

    戦後の大企業で事務職や営業職の人がホワイトカラーと呼ばれた。サラリーマンという言い方でもいいかもしれない。いずれにしても、格好いい仕事というイメージと、会社に使われているという印象の両面を持った言葉である。

 筆者が社会人になった20世紀後半は,経済成長の真っ只中。日本が世界の工場と呼ばれた頃である。モノづくりの現場も活気に満ちていたし,サラリーマンも企業戦士として活き活きとシゴトをしていた。ホワイトカラーもブルーカラーも活躍していた時期である。

 21世紀に入って経済がスピードダウンし,大手企業までが倒産し始めた。モノづくり企業も停滞し,雇用が不安定になっていった。

 2005年に,今の東京都知事である小池百合子氏が環境大臣のときに,「クールビズ」が始まった。地球温暖化が進行し,夏場のエネルギー消費を減らそうという目的で始まったクールビスにより,当時の小泉純一郎総理大臣を筆頭にノーネクタイ,カジュアルが一気に広まった。筆者のカジュアルウエアによる通勤も同時に始まった。

 それまでのワイシャツにネクタイ,背広という出で立ちから,ノーネクタイ,カラーシャツやポロシャツ,スーツというカジュアルな通勤スタイルが中心となり,「ホワイトカラー」という言葉も死語になっていった。

 同時に,日本のビジネスが凋落していったと思える。会社への忠誠心がなくなり,集団としての企業力がなくなった。ブルーワーカーも非正規雇用となり,企業のロゴの入った作業衣が,これまでの「誇り」から「お仕着せ」に変わってしまった。日本企業が社員の集中力,想像力,協調といった能力を引き出して,世界に冠たる企業に成長していった構図がなくなってしまった。

 このころから,企業内の不正行為も増えていった。中国をはじめとする東アジア企業に対抗するために,コストダウンを求められ,これが開発期間の短縮や生産・検査工程の短縮につながった。検査数値の改ざんなどが常態化していったのだろうか。それ以上に,製品の品質も落ちて行ってしまい,考えられないほどのリコールが起きてしまっている。

 新型コロナウイルス禍がいちおう下火になり(くすぶり続けていることを忘れてはならないが),筆者の勤める会社でも4年ぶりに久しぶりに年末の納会が行われた。若い社員も含めて20人以上が参加し,話もはずんだ。マスクなし,アルコールあり,接近ありで,誰も感染しないことを願うばかりである。

 その中で,参加した関連企業の年配の方が「やはりこういう機会をときどき持つべきだな」とポツッと漏らした。ふだん,あまり話をしない人,というのが社内にいないため,こうしたざっくばらんな機会に分野の異なる話を聞く,という機会もないそうである。

 こういったいわゆる「ワイガヤ」の中から,新しい発想が生まれるのが,日本企業のいいところだと思う。海外のように,才能のある人がそれぞれの発想で新しい道を切り開いて行く形も大事だが,結局はカネで企業買収したり,スピンアウトして競合会社を作ったりといった,弱肉強食の社会になってしまう。現在の世界が,そのスピード感によって急速にバーチャルな世界として拡大しており,そのスピードに日本企業のやり方が付いて行っていないことは確かである。

 その最前線にある「生成AI」も,実はコンピュータを駆使するために,これまで以上に大量の電力を消費しているという。そのエネルギーを生み出すために,結局は石油や石炭を燃やす必要があり,地球温暖化の抑制という喫緊の問題にまったく逆効果なビジネスを作り上げてしまっている。

 日本以外の国がまだ実現できていない水素エネルギーと植物工場,陸上養殖は,地球温暖化問題,食糧問題に対する積極的な解決策である。ここで頑張らなくて日本の存在はありえないと再び思う。

 しかし,企業の内部不正と同様に,政治家の内部不正も延々と続けられてきたことが発覚し,日本をリードするリーダーがまた消えていくことになる。ダイハツを傘下に収めたトヨタ自動車も,今後の進む道が怪しくなってきた。

 ならば日本は,エネルギー,食糧で世界に貢献する道を早く宣言すべきだろう。万博は即時中止すべきである。世界が戦争状態に入ろうというときに,何を間違った施策を進めているのかと思ってしまう。

 そして,もう一度,ホワイトカラー,ブルーカラーが活き活きと働ける強い企業を構築すべきだと思う。護送船団方式を再開してもいいではないか。日本全体が一致団結して,地球環境の回復と,平和の回復に力を注ぐべきではないだろうか。