jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

食品ロスゼロをとるか、プラスチックをとるか--樹脂パッケージではなく,市場方式での販売を復活させる必要性

食品ロスの削減が叫ばれている。

 方法は,食品の賞味期限や消費期限を長くすることである。すでに冷凍や冷蔵は幅広く使われているが,いずれも腐敗菌の活動スピードを抑えることが目的である。

 菌そのものをゼロにするには,高温殺菌などの殺菌方法が取られることが多く,また食品添加物として菌の増殖を防ぐ防腐剤などを混ぜる方法も採用される。

 添加物をできるだけ使わない方法としては,真空パックにすることが採用される。缶詰や瓶詰めが最初に採用され,近年では樹脂製のパウチが多く使われる。

 缶やガラス瓶は再生しやすいが,取り扱いはやや不便である。ガラス瓶はさらに,念入りに洗浄すれば再利用もできる。ただし,重いことと,取り扱いが不適切だと割れて危険である。

 最も取り扱いしやすく,しかも低コストなのが,真空パックできる樹脂製パウチである。主に生ものや加工品のパッキングに使われる。

 肉類なども樹脂製のパックや,樹脂ラップなどで包まれる。流通後,冷蔵庫や冷凍庫に入れることが前提で,真空処理は行われない。

 菓子類も多くは樹脂製の袋で密封される。賞味期限を守るというより,湿気を防ぐためである。また油の酸化を防ぐために,複数の層を重ねた樹脂袋が使われることも多い。

 取り扱いのしやすさ,軽さ,量産性などから考えて,最も経済性があって合理的なのが,樹脂パックである。空気も透さない,水も透さない,酸素も透さない,腐敗菌ももちろん通さない。食品ロスを減らすのに最も使いやすい方法である。

 しかし,樹脂パックの大量使用は,環境問題につながってくる。使われ始めてから50年経った今,深海の底に菓子の袋が沈み,分解もされずに残っている。クジラやカメなどの大型動物が間違って食べたりするほか,バラバラになったとしても今度はマイクロプラスチックとしてサカナがエサと間違えて食べてしまう。

 樹脂製のパックは,燃やすと大量のCO2を排出するし,不完全燃焼すれば煤塵を撒き散らす。さらに燃焼温度が高くなり,焼却炉を破壊してしまう可能性も高くなる。

 逆に一切の樹脂製パックをやめてしまえばどうだろうか。現在のような流通はありえなくなる。冷蔵,冷凍を駆使しても,腐敗菌への暴露は避けられず,賞味期限,消費期限は短くなり,食品ロスは増えてしまう。

 賞味期限が近づいた商品を,値引き販売することでロスを減らす運動は,コンビニやスーパーなどで行われている。廃棄するためにもコストがかかるので,その分を売り切ってしまえば一石二鳥にはなる。しかし,店の売上には貢献しない。

 かつて,賞味期限が近づいた商品を,完全冷凍して貧困国に送れないか考えたことがある。完全冷凍により,通常の賞味期限から1週間をプラスすることで,移動できると考えた。しかし,もちろん,冷凍のコスト,運送コストを掛けてまで運ぶほど,お人好しな行動はないかもしれない。それなら,古米を運んだ方が効果的かもしれない。

 賞味期限切れの商品を販売する代わりに,もともと市場に流されていないB級品,規格外品を低価格で市場投入することで,低所得層の貧困世帯に適切に供給することも,最近行われるようになった。市場に流れない規格外品でも,うまく調理すれば問題なく食べることはできる。いまや,日本でも低所得者層が増えている。こども食堂などでの食材としてうまく利用できれば問題なくなる。

 規格品は,丁寧に樹脂パッケージで包装される。規格外品は,包装なしで搬送されることが多い。いわば,昔の八百屋や果物屋の店頭のように,商品を積み上げるだけで販売することで,無駄な樹脂包装を減らすことができる。

 スーパーマーケットやコンビニで販売されるものは,ほとんどすべてが樹脂パッケージ品である。消費者が自分の手で商品を選び,レジで精算する,という方法を取るためには,樹脂パッケージが必要になる。逆に,市場で商店主が商品を選んで,紙に包んで手渡す,という販売方法であれば,無駄な樹脂パッケージを減らすことができる。

 もう一度,市場形式を復活させる必要があるのではないか。