jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

SLIMの発電回復は偶然の結果オーライ--送られてきた画像の不鮮明さにガッカリ

「SLIM」の月面着地は,減点-1.0の“失敗”ミッションと認めよ--何でも倹約はダメという話 - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2024/1/27)と書いたあと,太陽電池パネルによる発電が回復したとの報道があった。さらに,月面を撮影したという画像も公開された。

 報道では「通信回復に成功」「画像送信に成功」と,やたらに「成功,成功」と報道している。たしかに地上チームは必死になって機能回復に努力をし,その結果,太陽電池パネルの機能,送信機能,撮影機能が「回復した」と言えなくはないのだが,頭からの着地姿勢でもパネルの一部が太陽に当たる方向に偶然向いていた,というだけで,単なるラッキーな状況だっただけに過ぎないのではないか。おそらく,現在の装備では逆噴射をすることもできず,何かアームのようなものを動かしてバランスを変えるといったこともできない。このままの姿勢なのか,正常な方向に倒れるのか,あるいは背中の方向に倒れるのか,これも偶然にしか過ぎないだろう。

 SLIMとともに月面に着地した探査ロボットの「SORA-Q」「LEV-1」は,自律で動いたり,ジャンプしたりできる。このロボットを使って,SLIMの態勢を正常に戻す,ということもおそらく試みようとしているだろう。倒れてほしい側に穴を掘って倒すとか,SLIMに体当たりして倒すとか,何かそういうことをすれば,拍手を送ってもいい。ぜひ実施してもらいたいものである。

 これだけならまだ偶然だが何とかいい方向に向いそうだ,という希望が持てたのだが,月の表面の岩だという画像には,正直がっかりさせられた。NASAの火星探査機キュリオシティが火星に着陸したのが2011年。このときの画像が,まるでCGで描かれたような鮮明な光景だったことを,今でも覚えている。それから10年以上が経ち,画像センサーの能力も桁違いに向上し,しかも目の前の月からの送信画像があれとは,どういうものなのだろうか。電圧がまだ十分回復していないからノイズが多い画像なのか,それとも画像センサーはおまけで付けていただけなのか。SORA-Qが送ってきたSLIMの着地姿勢の画像も,何だかボケボケで,初期のデジカメ画像(10万画素)レベルに見えてしまった。正直,よくこの画像を恥ずかしげもなく「撮影に成功」として発表できたものだと呆れてしまったのである。

 北朝鮮偵察衛星の画像が公表され,その不鮮明さに「技術レベルはこの程度」などと平気でコメントしている専門家がいたが,まさか敵に手の内を正直に明かすほどバカじゃない。何しろ,日本のカメラセンサーが搭載されている可能性もあり,実際ははるかに鮮明な衛星画像が得られていると思う。

 JAXAがわざとボケた画像を公開するほど戦略に長けているとは思えず,発表された画像はまさにその通りの画質だったのだと思う。各国からの嘲笑の声が聞こえてきそうである。

 せめて画像処理をして発表し直した方がいいと思う。

 画像取得のコンセプトはまったく異なるが,ハッブル宇宙望遠鏡や,ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でも,最初は画像に歪みが生じていた。これを完全に補正することで,まさに宇宙の果てを捉えそうな画質に調整された。SLIMのカメラにその能力はないのかもしれない。それにしてもお粗末なミッションに見えてしょうがないのである。