jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

屋根上で広げた小型太陽電池パネルで実力発揮--ただしタマゴとニワトリ論に変わりなし

ポータブル太陽電池パネルを導入--ベランダ設置から屋根上設置に移動 - jeyseni's diary (hatenablog.com)(2023/12/30)。ポータブル太陽電池パネルを屋根の上に移動したまま,次の日の朝からの発電状況を観察してみた。朝の7時ごろ,すでに周囲は明るくなっている。ポータブルバッテリーの充電メーターが点滅し始めている。発電のワット数は2Wとわずかである。

 8時ごろ,太陽は上り,屋根にも日差しが当たっている。ワット数は一気に30W前後まで上がった。充電のパーセントも増え始めた。そして9時ごろには50W前後まで上がった。

 前日の充電が65%までだったが,その後も増え続け,11時過ぎには98%まで到達していた。午後も天気は晴れで発電は可能だったが,受け先のバッテリーがないことと,翌日が雨という天気予報だったため,屋根上からパネルを室内に取り込んだ。

 結論と今後の方針を出すには,まだまだ情報が少ないのだが,今回の実験で筆者が個人的に得た感触をメモしておくことにする。

太陽電池パネルによる発電は,設置条件をきちんとコントロールすればカタログ値に近い性能を発揮できる。

②バッテリーも,一般家庭生活に問題のない性能の製品を選択できる段階になってきた。

 今回の実験に使ったポータブルバッテリーは,容量512Wh,最大出力500Wの製品である。非常用の電源として導入した。性能の選択としては,8時間程度の停電時に家庭用の大型冷蔵庫を動かし続けられる容量と出力から選択した。

 しかし,このバッテリーでは瞬間出力1000Wにもなる電子レンジを使うことはできない。停電時に何かを加熱調理するときには,ガスボンベ方式のコンロか,旧式の石油ストーブを使うことを想定しており,照明もロウソクや小型のランタンでしのぐことを想定していた。

 ところがバッテリーの選択肢の中に,容量1000Wh,最大出力1000Wという製品が出てきた。価格は20万円近くになるが,家庭での一般使用に耐える性能と思われる。いざというときに電子レンジが使える。ただしこれでも,夜間を含めて長時間使用するエアコンを使うのは厳しいだろう。

 個人的に,嫌ってきた太陽電池発電だが,多少の認識は改めることができた。ただし,屋根にパネルを固定したり,売電契約したり,大型蓄電池を設置したり,という投資は,やはり行わないと思っている。

 その理由は,信頼できる設置業者がいないこと,固定設置によるパネルの汚損や劣化をメンテナンスできないこと,既存の屋根への負担が大きいこと,10年後の劣化時の交換工事などに耐えられないこと,などである。せっかく設置しても,陰の影響まで完全に把握できる業者がいないと考えるからである。

 実験に使用したポータブル太陽電池パネルのスペック上の電力変換効率は24%と書いてある。筆者の認識では,量産品の変換効率は15%ぐらいで止まっている。パネルの方向を正確に常に太陽の方向と角度に合わせても,24%という数字はやや眉唾に思えている。

 そしてパネルを構成する太陽電池そのものを製造するために必要な電力は,パネルが生み出す電力に比べてはるかに多い,という認識も変わっていない。10年で劣化してしまう,という認識も変わっていない。

 日本が開発中の色素増感太陽電池(ペロブスカイト型)は,製造時に使うエネルギーも少ないうえ,フィルム上に形成できるため軽量という特徴を持っている。ただし,変換効率がまだ10%前後で低迷している。面積を広く取れる場所での設置で実力を証明してほしいものである。

 もし家庭で太陽電池パネルを使う場合は,家の設計段階から設置を前提とすることが望ましい。建てる場所が陰にならないか,なるとしたら適切な並列型のパネルを選択できるか,メンテナンス契約や劣化後の交換対応ができるか,といったことをきちんと計算した上ならば,導入を考えてもいいかもしれない。

 しかし,現在の建築業界を考えると,まずコスト重視で内装ばかり華やかにするために,壁や屋根材にコストを掛けられないし,10年後にその業者が存在するかどうかも怪しい経済情勢である。人材不足により,素人同然の労働力を使う業者も多い。見積もりに見合った材料を使わないケースも多い。正直言って,これまでも何度も騙されてきたために慎重になっているのは確かである。

 実験で使っているポータブルバッテリーも,アウトドア用の太陽電池パネルも,海外製である。たしかに,今の日本でいずれも量産している会社がない。しかも,デザインも良く,作りもしっかりしている。変なガタツキもないし,縫い目のほつれのようなものもない。実に良くできた製品である。しかも,スペックに見合った性能も発揮している。

 クルマがEV(電気自動車)に急速にシフトする中で,日本の自動車メーカーが後追いの形になっている。筆者もEVなどオモチャ同然と思ってきており,安全性も含めて実力のある日本メーカーがすぐにトップに出ると思っていた。しかし,中国製のEVのデザインもクオリティも,そして量産能力も,いまや世界2位である。1位のアメリカのテスラ社は,バッテリーまで自社生産するという力の入れ方だし,ベンツやBMWといった高級車メーカーまでがEVを前面に押し出している。日本車でEVは数機種しかなく,しかも海外展開できる実力もない。高級車LEXUSのEVも海外でどこまで戦えるか疑問がある。

 EVに使うバッテリーが大量に必要になれば,太陽電池と組み合わせるバッテリーも逼迫してくる可能性がある。そして問題は,バッテリーのリサイクルがまだほとんど手つかず状態にあることと,リサイクルにまた大量の電力が必要なことである。EV用のメインバッテリーの寿命は5年。バッテリー交換に100万~300万円もかかるとなれば,2回めの車検を通さずに廃車するような流れになっており,外したバッテリーが野積みになっている。太陽電池パネルも基本的に再生ができず,廃棄して野積み状態である。

 天候の不安定な高緯度地域での太陽電池発電は向いておらず,サンベルトと呼ばれる赤道近くの天候の安定した地域で太陽電池や太陽熱発電をし,この電力でグリーン水素を生産し,高緯度地域では水素エネルギーを利用する,という世界一体となったエネルギー政策を取ることを,もう一度提案したい。雨の少ない地域での太陽電池パネルの劣化は少なく,発電効率も発電可能期間も延ばせるからである。

 さて,我が家ではもう1台ぐらい,ポータブルバッテリーを導入してもいいかなと感じている。先に紹介した電子レンジなども使える機種は魅力的だと感じているからである。ただ,現在導入している512Wh機種がポータブルと言えども重さが約10kg。高出力モデルになると重さが20kgにもなる。設置場所も考えなければならないし,太陽電池パネルからの充電時にバッテリーを移動させるのか,配線を引き回すのかについても検討しなければならない。何しろ,屋根の上のパネルから2階の照明用に使うだけならバッテリーを手元に置いたままで,使う電気機器のプラグの抜き差しをすればよく,配線も10mもあれば十分だが,1階で電子レンジやコタツなどに使おうとすると,20mぐらいの配線が必要になってくる。バッテリーを2階に持ち上げたりするのも危険になってくる。

 あとは価格と,天候に合わせた運用を誰がするか,という問題もある。仕事から引退したあと,積極的に実験を続けられるとも限らないし,もっと貧相な生活でガマンするようになるかもしれない。子供も含めて,ほかの人にオススメするわけにもいかない。

 結局筆者は,平和ボケの日本で経済成長期の技術遺産の恩恵を享受させていただき,人生を終わらせていただくことになるのかもしれない。とりあえず,いろいろ実験,体験することで,何らかの情報をお伝えし,将来への問題提起として,読んでいただければ幸いである。