jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

耳ナビ続々報--「WeWalk」というセンサー付き白杖を使うアプリを評価開始

耳ナビ続報--「 Lazarillo」という視覚障害者向けのアプリで歩きながら店名などを音声案内 - jeyseni's diary 2023/9/13 に引き続き,いろいろなAndroidアプリを探してはインストールして評価を続けている。

 「Lazarillo」がスペインでの開発で,今回出会ったのがトルコ人視覚障害者が開発した「WeWalk」というアプリである(WeWALK Smart Cane – Smart Cane for the Visually Impaired)。これは,種々のセンサーを内蔵した白杖との組み合わせで,障害物の検出から目的地への接近予告などを,杖への振動やスマホの音声案内で知らせることができる。登場は2019年で,その後イギリスでクラウドファンディングが立ち上がり,Microsoft社も後押ししている。この電子杖は,全世界の「59か国以上で数千人に使われている」としている。

 残念ながら,日本のサイトでWeWorkを検索すると,フリーオフィススペースを提供する企業が検索結果に表示される。ITメディア関係の記事の検索には,「WeWork,白杖」などと記入すると,記事がいくつか検索できる。

 筆者が求めているアプリ上でのGPSを使った場所情報の音声案内についてはまだ検証中だが,こちらもややクセがあるように思える。普通に街中を歩いていると,喫茶店や複数の企業の建物の位置と方向が案内される。筆者宅の近所で1年ほど前にできたコーヒーショップが案内されたのには驚いた。おそらく,WeWorkアプリとリンクしているGoogle Mapの情報から取得しているものと思われる。

 一方,交通機関については,バスの停留所の位置をかなり細かく表示することができる。筆者の自宅近辺のローカルバスについても,登録されている。ただ,そのバス停名は読み上げてくれないようなのである。バス停名は,多くはランドマークや住所を含んているので,これを読み上げてくれると完璧なのだが,と思ったりする。何しろ,設定項目が非常に少ないので,自分に合ったようにアレンジするのは難しいかもしれない。

 さらに,筆者の使う私鉄駅が,なぜか登録から漏れている。JRや東京メトロは登録されているのだが,ちょっと理由が分からない。これは行先を入力して交通機関の利用してのルートを検索する場合も同じで,バスとJRで迂回するようなルートしか案内してくれなかった。もちろん,地下鉄路線内でのGPSによる位置捕捉ができないのは,どのアプリでも同じである。地上に出ると,いきなり場所が飛ぶのも仕方がない。また,Google Mapとの連携も今一つ取れていない。現在地の住所はかなり正確に表示されるが,いざマップに切り替えると表示が安定しない。

 日本では,ITニュースサイトで取り上げられたほか,障害者関連の公益財団法人でもニュースとして2019年の開発時には取り上げられていたが,その後のフォローも国内での普及もまったく進んでいないように思われる。センサー付き白杖の売価は500ドル,つまり5万円程度で購入できる。通常の白杖は,先端で障害物に触れない限り,障害物がそこにあることが分からないが,センサー付き白杖は,障害物そのものの存在を事前に検出して案内しれくれる。さらに,足元だけでなく,顔の前に突き出した障害物も検出することができる。

 上記のコメントで紹介した『Eye Navi』は,iPhoneのアウトカメラで捉えた映像を解析して障害物を知らせてくれる。AIで情報をどこまで整理できるか,またバッテリーの持ちはどうかなどにやや疑問が残る。2015年に開発を始め,製品としての発表は2023年4月である。実績もまだほとんど報告されていない。狭い日本の道路・交通事情で画像解析方式が採用されたと思われるが,こちらもまたガラパゴスアプリになるのではないかという気もしないではない。早く,インターナショナル仕様にして,海外での評価もしてもらうべきだろう。

 結局,日本はITの開発能力でも劣り,発想力も欠けており,海外の後塵を拝する結果になっているのではないだろうか。やたらにカーナビアプリはあるのに,歩行者や障害者をサポートするアプリがほとんど見つからない。言い方は悪いが「金にならないモノづくりはしない」というケチ根性が働いているのではないか。楽して金儲けをする投資や詐欺が横行する日本は,障害者や高齢者には結局は無関心なのだと言えるのかもしれない。