jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

男女をもっとシンプルに「生物」として考えてみる--「仕事」の意義がはっきりするのではという仮定

ヒト(人類)ほどオスとメスの外見の違う生物はいない。ほかの生き物を見ると,年1回の繁殖期以外は,オスもメスも生きるためにエサを求める。子育て中の母親も狩りに出かける。オスが獲物を持って来てくれる,などということは基本的にない。それぞれが自分が生きるため,子供が生きるために,精一杯仕事をしているように見える。

 これに対して,一年中いつでも発情期で,いつでも交尾し子供が産めるのがヒトである。しかも,子離れに20年もかかる。どう考えてもおかしい。ヒト以外の生物と,まったく違うように見える。

 このヒトのオスとメスの外見の大きな違いが,あまりにも役割分担を明確にしている原因と思える。男のパワハラ,セクハラは,ヒト特有の行動である。マウントを取ることも,ヒト特有である。

 交尾の機会を1年の限られた時期に制限すれば,人間の男ももっと謙虚になるのではないか。まあ,性犯罪を激化してしまうかもしれないが。

 子供をたとえば3人産むとして,2年置きに6年,そして保育園や幼稚園に生かせて1日の大半が手があくようになるのに4年とすると,女性の出産から基本的な子育ては10年ということになる。この10年は子育てに集中してもいいように思う。これを過ぎると,家にいる時間ばかりが長くなる。企業は,この10年間を育児期間とし,10年後の復帰を保証する形が1つの理想ではないかと考える。25歳で結婚して10年で35歳。まだまだキャリアアップを目指せる年齢である。

 加えて,10年の育児期間中も,リモートでの就業のチャンスがある。企画部門や共通部門など,外回りのない部署であれば,リモート作業を継続することで,経験を途絶えさせることなく,次のキャリアアップにつなげられると思うのである。

 正直,結婚当時の筆者の収入は,世間の平均よりもかなり高かった。パートナーに育児に専念してもらえるだけの収入があり,専業主婦の道を選んでもらった。当時は,リモート業務の仕組みもなかったし,育児後の復帰のシステムもなかった。

 その後,転職によって収入が激減し,パートナーにも仕事をしてもらうことになったが,前職とはまったく異なる業種での仕事になり,ストレスも高いようである。前職が,女性社員に対して世間一般よりは待遇がいいと聞いていただけに,復職できないことに残念さを覚えていた。

 ただ,20年以上も専業主婦で子供たちの成長をサポートしてくれたお陰で,道から外れずに育ってくれたと思う。子供たちにとって家という安心できる場所を提供できたことが,筆者宅の誇りでもある。ただ,そのために筆者は残業もいとわずに仕事をし,必要な出費には惜しむことなく使った。家屋以外の財産をほとんど残せていないのが,心残りではある。

 時代は変わったと思う。男性の収入が家庭を支えられるほど高い時代は終わり,パートナーとの共働きが基本的なスタイルになる。男性の育児休暇も進められているが,どれほど頑張っても女性による細やかな育児スタイルをマネすることはできないような気がする。しかし,出産からすぐにでも,女性に職場の復帰の場所を提供し,リモート業務を含めて経験を活かして活躍してもらう責任は,企業側にある。ただ,そんな企業がどれほど実際にあるのだろうか,という疑問も残る。

 2024年春の春闘で数年ぶりの満額回答で月1万円以上の賃上げを勝ち取った業種でも,賃上げできた理由はこれまでの利益を内部留保していたからであり,それを少し還元したに過ぎない。一方で下請け企業は内部留保などなく,同じ業種でも賃上げなどまったく話にならず,むしろ倒産の危機にある会社も少なからずあるだろう。

 男性は出産の必要がないので,育児期間の10年は必要ないが,女性はこの10年間をきちんと主張して,会社がその体制を取ることを義務づけるぐらいの法律が必要かもしれない。「男女雇用機会均等法」では,さまざまな業種に対する女性の就業そのものへの壁を崩したが,その後の社内での女性の扱いについては会社任せになっており,育児休暇後の復帰が実施されている企業は極めて少ない。

 「障害者雇用促進法」では,障害者の就業に対する壁を崩した。適材適所で仕事をしてもらっているとは思うが,営利を目的とする一般企業にとっては生産性への影響は気になるところである。それでも企業側は努力している。それならむしろ,経験ある女性社員の職場復帰は,歓迎されることではないかと思うのである。

 35歳で職場復帰しても,あと20年はバリバリ働ける。そういう雇用を保証する促進法があってもいいと思うのである。

 もっとも,現在,1つの企業が30年以上も継続して存在するのは至難な時代になっている。ベンチャーだって腰を据えて企業を大きくしようとする人は少なく,技術を大手企業に身売りして悠々自適を構える人がほとんどである。経営者に将来展望がなくなり,短期利益だけにとどまり,安定雇用も安定業務も提供できないブラック企業が増えている。

 結局は,モノづくり,食料生産,エネルギーづくりといった継続的な企業を国がきちんとサポートし,世界に方向性を示し,その必要な人材を育てる教育環境を提供することが,国の発展にとって望ましい。安定した仕事があれば,安定した家庭を設けられ,安定した子育てができ,少子化問題にも歯止めがかかるのではないかと考える。

 今のままだと日本のロケット産業ではないが,コントロールを失って空中分解するだけの国に終わってしまう。しっかりと足元を見つめた仕事の育成に必要な予算を使うべきだろう。政治家,投資家などが,バーチャルな世界でカネを儲けてのうのうとしているようでは,国という存在は崩壊する。